国の文化審議会は3月19日、ともに越前市の陽願寺(ようがんじ)(本堂など9棟)と、越前和紙を製造している信洋舎(しんようしゃ)製紙所(4棟)を、登録有形文化財(建造物)とするよう萩生田光一文部科学相に答申した。県内の登録有形文化財(建造物)は今回を含めて計209件。

 本町にある陽願寺は浄土真宗本願寺派の寺院。1852年の武生大火で伽藍(がらん)の大部分を焼失したが、多くの門徒が復興に協力し再建された。

 答申されたのは明治後期から昭和中期にかけて建築された建造物で、本堂と庫裏、対面所、御殿、洋館、客殿、納骨堂、土蔵、鐘楼の9棟。1902年に再建された寄棟造(よせむねづくり)の大型本堂など、格式高い伽藍が状態良く残されている。

 定友町の信洋舎は1886年に有志十数人で創業した製紙会社で、88年に解散。同年に初代西野弥平次氏が新たに創業した。

 4棟は、紙をすく「漉場(すきば)棟」と、その南側の「旧休憩場及び張場(はりば)棟」、「ボイラー及び旧ロール場棟」、最終工程を行う「旧塵取場(ちりとりば)及び仕上場(しあげば)棟」。建物の骨組みはいずれも建築当初の明治中期から後期のもので、地元の伝統産業を支え、今に伝えている。

 答申を受け、陽願寺17代住職の藤枝聖さん(37)は「先祖代々大切にしてきたお寺を広く知ってもらい、地域の人たちが自分のまちに誇りを持ってもらうきっかけにしていきたい」。信洋舎5代目の西野正洋さん(46)は「コロナウイルスで世間が不安なときの答申となったが、先人たちも明治期から多くの動乱を乗り越え、今の越前和紙がある。そのことを建物を見て感じてもらえたら」と話した。
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