福井空襲(1945年)や福井地震(48年)の犠牲者を弔うために70年ほど前に作られ、福井市内を中心に各地に祭られた「復興慈母観音像」の一つが、福井県福井市の県立歴史博物館で展示されている。戦争や災害、人々の鎮魂の思い、復興の歴史を今に伝えている。

 復興慈母観音像は、50年ごろに市内を中心に寺院や民家など約40カ所に安置された。「西国観音三十三札所」に倣い「札所」と位置づけられ、かつてはそれらを巡る「巡拝バス」も毎年運行されていた。

 今回展示されている像は、札所第9番の「牧島観音」として市内の寺に祭られ、同市花月1丁目の医王寺に移されてからは「医王観音」と呼ばれた。高さは約17センチ、木造で金色に彩色された八臂(はっぴ)の不空羂索(ふくうけんじゃく)観音坐像(ざぞう)。同寺が廃寺となったことから、今年2月に同館に寄贈された。

 8月9日の4万8千日分の功徳があるとされる「四万八千日」には、安置された寺や民家の関係者が観音像の前で福井の安全を願い、祈りをささげているという。今回の展示では、観音像の分布を記す地図のほか、観音像をたたえる御詠歌本、歌のリズムを取る鉦鼓(しょうこ)なども披露されている。

 学芸員は「犠牲者の慰霊や復興に向けた住民の努力を観音像を通して振り返ってほしい」と話している。31日まで。
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