2017衆院選・課題を追う 1 人口減少 進む高齢化、空き家増

2017衆院選・課題を追う 1 人口減少 進む高齢化、空き家増

海と山に挟まれた日立市で、山の斜面に並ぶ「山側団地」。市によると大規模団地だけで13カ所ある。その一つ塙山団地は山の中腹にあり、坂道続きだが日当たりは最高だ。眼下には太平洋が広がる。
 ぽかぽか陽気の中で女性2人が話し始めた。「あら、あそこも空き家になったの?」「柿がずいぶん実ってきたね」。井戸端会議に花が咲く。
 秋田県出身の主婦、橋本せつ子さん(74)は結婚を機に同市に移り住んだ。2人の子どもは独立して水戸市内に住んでいる。
 橋本さんと話し込む「塙山学区住みよいまちを作る会」会長の西村ミチ江さん(69)は、島根県から移住した。工都と呼ばれる日立市の住民は、就職や結婚を機に全国から集まった人が少なくない。
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 塙山団地のある塙山町1、2丁目は、高齢化率が市内トップクラスの53・0%(4月1日現在)に上る。2004年4月には15・1%だった。市内で急速に高齢化が進む地域の一つだ。日立市全体の30・3%より20ポイント以上高く、県内最高の大子町の43・0%(7月1日現在)も上回る。
 原因は、新設された団地に住み着いた同世代の人たちが年を重ねたためだ。山側団地は日立製作所の系列会社などが1970年代から造成し、社員らが競って購入した。住宅建設も系列会社、かつて団地内にあったスーパーも系列経営で「供給」と呼ばれた。総合病院も同社の経営。企業城下町といわれるゆえんだ。
 運転免許を持たない橋本さんは1人で行動する際、主にバスを使う。「昔は待たずに乗れたけど、今は多い時間帯でも1時間に2本」という。
 市のまとめによると、1992年に年間延べ2千万人を超えた市内の路線バス利用者数は6分の1以下に激減。本数が減るに伴って利用者数も減る悪循環となっている。
 団地の高齢化の進展に対し、同市地域創生推進課は「現在は住民の共助が保たれているが、楽観はしていない。コミュニティー維持と若者の増加を図りたい」とする。
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 現在、同市内では路線バスを「みんなで乗って残そう」という運動が繰り広げられている。
 住民と市、バス事業者が会議を設けて2010年度に協定を結び、小学生向けの乗り方教室を開くほか、JR常磐線のダイヤに合わせて運行時間を毎年改正し、時刻表を配るなど利用促進を図る。
 県によると、02年の道路運送法改正で路線バス廃止が許可制から届け出制に緩和され、県内の路線バスは同年から16年の間に330系統1718キロが廃止された。
 公共交通の空白地域対策として、県内では現在、21市町がコミュニティーバス、24市町村が必要に応じて利用するデマンド型タクシーなどを導入している。
 「残念ながら、人口減少を今すぐ止めることは困難。鉄道廃線やバス路線廃線が相次ぎ、生活を下支えする地域公共交通は危機的な状況にある」。9月に就任した大井川和彦知事は所信表明で、公共交通の現状を訴えた。
 西村さんは、国の地方創生絡みでバス路線をつくっても「乗る人がいなければ意味がない」と注文する。「地域活性化には、旗振り役やつなぎ役の人づくりも必要。県民や市民の目線を忘れないで」(黒崎哲夫)
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 舌戦が繰り広げられている衆院選。人口減少、原発再稼働、医師不足など県内の課題には、個別の自治体だけでは解決が難しいものも少なくない。22日の投開票を前に課題を追った。

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