茨城県のアーカスプロジェクトに参加したアーティスト、渡辺拓也さん(30)の映像アート作品の展示が14日、日立市幸町の日立シビックセンターの1階ギャラリーで始まった。渡辺さんが同市内に滞在し、住民へのインタビューを基に創作した作品などを展示。かつての日立鉱山就業者たちがつくっていた“ユートピア的”なコミュニティーのありようが独自の感性で浮き彫りにされ、県北地域の未来を展望する視座を提示している。

県が実施している県北芸術村推進事業の中の「交流型アートプロジェクト」の一環で、展覧会のタイトルは「隣の人の肩にのる」。

渡辺さんは東京芸大大学院修了。個人の境遇を掘り下げることで、社会の構造を浮かび上がらせる手法の創作を、映像表現により追求している。

渡辺さんは、住民との会話を重ねながら、地域の特色を踏まえた創作の思いを練ったという。その中で、戦前の日立鉱山で働く人たちのコミュニティーが「助け合い、公平などの精神が行きわたりユートピア的」だったことに着目。当時を知る複数の人にエピソードなどを語ってもらい、その音声と当時や現在の映像を組み合わせた13分ほどの作品を制作した。

展示では、この作品のほか、アーカスプロジェクトで手掛けた日系ブラジル人を巡る作品など2017年以降の計4作品を展示、上映している。

会期は16日まで。入場無料。最終日午後1時からは、渡辺さんとアーカスプロジェクトの小澤慶介ディレクターによる「世界の片隅から、世界の大きさを測ること」(定員18人、先着順)と題したトークイベントが行われる。(佐川友一)