千波湖畔を歩く市民らの憩いの場として親しまれた茨城県水戸市千波町の「好文茶屋」が、6日の営業を最後に38年間の歴史に幕を下ろす。落ち着いた雰囲気で、手作り団子や抹茶などが人気を集めた同店。周辺では再開発が計画されており、閉店を目前に控え常連客らからは別れを惜しむ声が相次いだ。

同店は1986年に開業し、水戸観光コンベンション協会が運営する。千波湖の周回コースで運動する利用者や千波公園を訪れた家族連れなどが、店内やテラス席から千波湖を眺めながら休憩する甘味所としてにぎわってきた。

店内のテーブル席に加え、軒下にはベンチも設けられるなど落ち着いた雰囲気を提供してきた。自家製団子やウメのソフトクリーム、梅干しを使った「偕楽園梅うどん・そば」も人気を集めた。

同店が立地する千波湖西側の黄門像広場周辺では、市のにぎわい創出拠点整備が進んでいる。2025年の開業に向け、新たな施設としてサウナやスポーツラウンジ、マルシェ、カフェなどが整備される予定だ。事業に伴い同店は閉店する。

20年以上にわたり店員を務めた荘司三千子さん(71)は「毎朝通ってくれる人たちもいて、本当にお世話になった」と振り返る。同協会から委託を受け店を運営する前田拓也さん(42)は「多くの人から『残念』と言葉をもらい、愛されていたと改めて実感した」と目を細めた。

常連客の同市見川、小松崎洋子さん(81)は「お団子と抹茶の組み合わせが最高だったので、閉店は寂しい」と肩を落とした。