一世を風靡した名ハード「プレイステーション」の成熟期となる1999年には、ゲーム史に名を残す名作から、多くのユーザーに愛された思い出に残る1本まで、数々のタイトルが登場しました。

『ファイナルファンタジー』シリーズで知られるスクウェア(現 スクウェア・エニックス)も、当時プレイステーションに力を注いでおり、1999年には『聖剣伝説 レジェンド オブ マナ』などの様々なシリーズ最新作を投入。また、新規IPにも意欲的な姿勢を見せ、アクションRPG『デュープリズム』を1999年10月14日に発売しました。

心優しい少年「ルウ」と、わがままな東天王国の王女「ミント」。2人の主人公を据え、それぞれが活躍する全く異なる2本の物語を描いた『デュープリズム』は、そのスタイルでシリアスとコミカルを両立させることに成功。また、それぞれが得意とする戦い方も違っており、アクションの楽しさも幅広く味わえる作品でした。

魅力的な登場人物、キャラクター性が伝わる豊かなモーション、印象深い名シーンの数々など、記憶に残る場面が多い本作は今も多くのユーザーに親しまれており、SNSなどで話題になることも。筆者個人も、思い入れが深い作品の一つです。

魅力溢れる体験を提供した『デュープリズム』も、2019年10月14日で生誕20周年を迎えました! この記念すべきアニバーサリーを祝い、当時本作を手がけた開発陣にインタビューを実施。『デュープリズム』誕生の道のりや当時の思い出などを伺ったほか、『デュープリズム』ファンから届いた生の声を開発陣にお届けしました。その一部始終を、どうぞご覧ください。

◆『デュープリズム』はこうして動き出した!
──まずは、当時どのような立場で『デュープリズム』の開発に当たっていたのか、お訊かせください。


杉本 浩二(以下、杉本)ディレクターとして、最初に企画を立案しました。はじめに“子供向けでカジュアルなフル3Dのアクションゲーム”といった方向性を決めて、「こういうゲームを作りたい」「こんなストーリーで」みたいな話をしながら進めました。あと、プログラマーは自分と小林正樹の2人しかいなかったので、大量のプログラムも書きました。

■杉本 浩二氏
シニアリードエンジニア
代表作:
・クロノ・トリガー
・ゼノギアス
・ファイナルファンタジー X,X-2,零式
・クライシス コア -ファイナルファンタジーVII-
・スクールガールストライカーズ
■小林 正樹氏
リードプログラマー(Luminous Productions)
代表作:
・RADICAL DREAMERS 〜盗めない宝石〜
・ゼノギアス
・ファイナルファンタジー X,X-2, XV, 零式
・クライシス コア -ファイナルファンタジーVII-
渡辺 大祐(以下、渡辺)自分が開発に加わったのは、そういった形で『デュープリズム』の企画が立ち上がってから半年くらい経った後でした。その頃は、キャラクターの設定や世界観などは、“出来ていたものもあれば、出来ていないものもあり”という感じで、シナリオを書きながら設定を固めていきました。

なので、後から決めたことも結構いっぱいあるんですよ(笑)。でも、後から決めていったからこそよくなったものも色々ありまして。

■渡辺 大祐氏
プランナー
代表作:
・メビウス ファイナルファンタジー
・ファイナルファンタジー X,X-2,XII,XIII,XIII-2,
・ライトニング リターンズ ファイナルファンタジーXIII
・キングダム ハーツ チェイン オブ メモリーズ
──足元を固めながらの制作だったんですね。そんな『デュープリズム』ですが、まずはどんなきっかけで本作の企画が動き始めたのでしょうか?

杉本当時のスクウェアは大作タイトルを数多く作っていたのですが、会社の方針で「小規模でもチャレンジャブルな作品を」という動きが出てきたんです。その中で「やりたいヤツは手を挙げろ」みたいな話が出て、そんなチャンスがあるならやってやろうと思って飛びつきました。

当時、『ゼノギアス』の開発が終わったばかりだったので、(ちょうど手が空いた)スタッフに声をかけて20人くらい集めました。プレゼンでは実際に動作している試作プログラムを持っていったので、承認されやすかった気がします。

──当時のゲーム制作において、20人の開発チームというのはどれくらいの規模になりますか?

杉本だいぶ小さかったと思います。その頃、小規模プロジェクトがたくさん立ち上がりましたが、20人規模のところはあまりなかったですね。

──当時は多くの作品が販売されましたよね。『デュープリズム』の前の月に『フロントミッションサード』が出て、翌月にはPS版『クロノ・トリガー』と『クロノ・クロス』、その後は更に『パラサイト・イヴ2』と、発売ペースが相当でした。

杉本1999年の末頃は、特に凄かったですね。

──開発チーム20人で3Dアクションゲームを作るのは、すごく大変だったように思いますが、いかがでしたか?

杉本まず、ゼノギアスで3Dゲーム開発のノウハウが蓄積されていたのでその点は有利だったと思います。ただ人数的に、たくさんのデータを作れる自信がなかったので、主人公を2人にして、ストーリーも2本作ることで、データを使い回そう……と考えました。

──ストーリー面でボリュームを増やした、と。

杉本それでなんとかするしかない、と思ってました。若かったので、無謀だったかもしれませんね(笑)。

──そしてボリュームを増やす一環として、ストーリー部分の比重が渡辺さんの肩にかかったわけですね?

杉本(渡辺が加わった頃は)プランナーの島本誠がストーリーの大筋やキャラクター設定を作っていましたが、細部までは完全に固まっていない状態だったので、そこから渡辺君に少しずつ引き継ぐ事になりました。


渡辺僕が入った時は、ルウやドールマスターがもう出来ていて、「ルウはクレアを復活させたいから宝を求めたいんだよ」といった骨格があったんですが……ミントが宝を求める動機はまだ決まっていなかったんです。その状況を打開するべく、分かりやすくキャラを立てる必要があったので、「なぜ、宝を求めるのか……それは、世界征服のためだ!」となりました(笑)。

──確かに分かりやすい(笑)。

渡辺秒で分かる特徴をつけました(笑)。で、皆さんご存じのキャラクターになっていきました。

杉本難題をこなしてくれたと思います。

──ルウとミント、それぞれにとってドールマスターが重要な役割を果たしていますが、ミントとドールマスターの繋がりも後から追加されたものなんですか?

渡辺ルウとドールマスターの因縁は決まっていましたが、ミントとの関係は当初まっさらでしたね。でも、何かないと盛り上がらないので、「じゃあ、故郷が一緒ということにしよう」という話になり、そこから東天王国が生まれ、ミントが王女という設定もその時に生まれました。

こうして、ミントがトレジャーハンターから世界征服を目論む王女となりましたが、2つの物語を別々の雰囲気で作っていこうとなった時に、2人の主人公の間に立つキーキャラクターとして最後に追加されたのがミントの妹・マヤでした。

──今度は、マヤが重要な役目に。

渡辺マヤは、ルウ編で見せる顔と、ミント編で見せる顔が全然違います。でもそれは二重人格とかではなく、人って相手によって雰囲気変わりますよね。家族の前と職場では、やはり違いますし。そんな感じで、キャラクターが相手や状況によって違った一面を見せてくれるゲームにしていこうとなりました。

──確かにマヤは、ルウ編とミント編で、印象が全然変わります。

杉本マヤが一番美味しいキャラですよね(笑)。渡辺君がマヤを作ってくれたことで、ストーリーが綺麗にまとまりました。

──他の方々も含めてですが、杉本さんがいたから『デュープリズム』が始まり、渡辺さんのおかげでキャラクターとストーリーが結びついていったんですね。

◆動きが臨場感を醸し出す! 衣装の“ひらひら”は全て手作業
──ちょっと個人的な体験の話になるんですが、『デュープリズム』のNPCって、操作キャラに視線を送るじゃないですか。キャラを動かしても、首を動かして視線を追従させて。自分があの動きを初めて味わったのが『デュープリズム』で、当時もの凄く驚きました。


杉本技術的に表現出来ることは全部やろう、の精神で作っていました。首は元々、計算で角度を変えられるようになっていたので、思いつきで入れたんですが、驚いてくれて嬉しいです。

──大変刺激的な体験でした。

杉本小さいから分かりにくいかもしれませんが、黒目と白目のテクスチャを合成して、ちゃんと視線が動くようにしてあるんです。キャラクターが生きていると感じるかどうかは、そういった部分に出てくると思いまして。視線や首、腰など、全部計算で動かせるように作りました。

──生きてるといえば、キャラ本体と服装だけでなく、小物とか装飾品も凝っていますよね。

杉本当時、他のゲームでは手ぶらのキャラも多かったので、「我々は小物とか装備品もちゃんと持たせてディティールで差別化しよう」という話をしましたね。プログラムの高速化も進んでいたし、他のゲームよりポリゴン出せるから! って。

渡辺そうそう! ルウを初めて見たとき、足回りとか旅の装備がしっかりしてたので、「あ、コイツは慎重派だな」とか思いましたよ。勢いでつっこむタイプじゃないぞ、と。

──モデルやモーションを見て、キャラクターが育っていくような面がありましたか?

渡辺ありますね。特にモーションに教えてもらった部分は大きいですね。

杉本『デュープリズム』のチームを作る時、最初に声をかけたのが神田毅というモーションデザイナーです。『ゼノギアス』で彼と仕事をしていて、彼の作るモーションを最前面に出したゲームを作りたいと思っていたんです。そのくらい、当時としてはずば抜けた技術を持った方でした。

『デュープリズム』でも主人公2人をはじめ、たくさんのキャラクターの動きを担当してもらいました。彼がデータを作るだけで、クオリティがどんどん上がっていくのが目に見えて分かるんですよ。

──それから、今回のインタビューに先駆け、読者の方々からコメントをたくさんいただいたのですが……。

杉本これですか。いっぱいありますね、嬉しいです!

──モーションを推す声もかなりいただきました。「ミントの地団駄がいい!」など(笑)。

杉本地団駄とか、当時あの動きを思いつけて作れた人が他にどれだけいただろうかって考えるくらい斬新でした。本当にずば抜けた方でしたね。

あとは、(衣装を)ひらひらさせるのも彼のアイディアでした。最初は計算でやろうと思ってたんですが、プログラムを準備する前に彼がすごく上手く動かしてくれたので、「ひらひらは安心して彼に任せよう」と。

──では、あれは手動ということですか?

杉本はい、全部手動です。『デュープリズム』以降、ひらひらさせるモーションが少し流行った気がします。他社さんも、手でつけていたみたいですね。


読者からのコメントに、開発陣からは喜びの反応が

◆ミントの“カボチャ嫌い”は後から加わった設定だった!?
──『デュープリズム』を開発するに当たって、印象的な思い出などはありますか?


渡辺そうですね……「もう全部だよ」って言いたいくらいです(笑)。本当にもう必死にやってましたね。当時の僕は、ゲームのシナリオを書くのも初めてでしたし。

それまでは出版の方面にいたんです。角川さん(現 KADOKAWA)のドラゴンマガジンと富士見ファンタジア文庫の編集部に。そっちの世界での物語づくりは、ひとりの作家が壮大な想像力を広げてナンボみたいなところがあるんですが、(『デュープリズム』の開発だと)思い思いにアイディアを出したとしたら、あっという間に製作が追いつかなくなるんですよ。

人数も期間も限られている中で、何が作れて何が出来ないのか。作れそうな範囲で想像力を広げて──と言いつつ、結構無茶もしたんですが(笑)──面白くするにはどうすればいいか考えながら、無我夢中でやりましたね。

──開発当時は、本当に大変だったんですね。

渡辺先ほど話したミントに関する設定のように色々固まっていったんですが、その後はオープニングからエンディングまで順番にシナリオを書いていったのかと言えば、そんなことは全然なくて。例えば、本作にはボイスがないので、開発の最後の方まで(台詞が)弄れるんですよね。ソフトは10月に発売されたんですが、当時のデータを見てみたら、「7月に修正した」というメモが残ってるほどでして(笑)。

──流通やプレスなどを逆算すると、かなり間際ですね。

渡辺設定に沿って作るだけじゃなくて、ゲームを作っていく中でそれが設定に返ってくる、みたいなこともありました。これに関してはひとつ大きな話がありまして……ミントのカボチャ嫌いは、後から付いた設定なんですよね。

──ミントと言えばカボチャ嫌い、というイメージもあるのに!?

渡辺プランナーの西田晴幸と、どんな雑魚モンスターを出したらいいだろうと話をしていたら、なぜか「カボチャが転がってくるとか、どうかな」みたいな話が持ち上がりまして。その時に、「じゃあ、ミントはカボチャが嫌いという設定にしたら、面白くない?」という感じで、設定が新たに追加されました。

──ミントのカボチャ嫌いは、ゲーム開始直後から出てくるじゃないですか!?

渡辺実は、オープニングは結構後の方に作ったんですよ(笑)。

杉本あと、ミントのカバンはカボチャのデザインっていう、キャラデザイナーの寺田努による裏設定があったりして(笑)。

渡辺あ、そうなんですよね。それはいいのか、っていう(笑)。

──苦手を克服するために、敢えてのチョイスかもしれませんね(笑)。それにしても『デュープリズム』という作品は、開発しながら育っていったような印象を受けました。

杉本そうですね。作りながら育ったというのは、間違いなくあると思います。

渡辺ガシッと計画を立ててバシバシッと作っていく、という感じではないですね。

──開発チームの方々は、各々の仕事をこなしながらも、アイディアを出していったという感じだったんですね。

杉本そうですね、特に最初の頃はそんな雰囲気でした。チームみんなで集まって「ファンシー・メルのステージは、こんな感じのステージがいいんじゃない?」みたいなネタ出しをしていましたね。「星の恰好してたら面白いよね」とか。

渡辺あー、「スターライト・デューク」とかそんな感じでしたね(笑)。

杉本次第にみんな忙しくなっていくと、自分とプランナーチームで固めていく形になりました。

あと、開発の思い出といえば、「ベタなギャグには積極的に乗っていこう」と決めたりしましたね。「ブーツのヒモが……」みたいな(笑)。

──ミントが飛び蹴りしたら、ほどけていたブーツのヒモを直そうとルウがしゃがんで、見事空振りというアレですね?(笑)。

杉本「お約束とは、確固たる面白さがあるからこそお約束と呼ばれる物になったんだ」みたいなことを西田が言っていて。ネタとしては本当にベタなんですけど、実際に出来たシーンを見たらやっぱり笑っちゃいましたね。みんなが避けてしまうネタなら、子供向けの我々が最初になれかもしれないし、「こういうノリは楽しいので推していこう」と思いました。

──今回いただいたコメントにも、「あ、ブーツのヒモが……」はたくさんありました(笑)。

渡辺古典はやっぱり強いですね(笑)。

──ちなみに、コメントをいただいた方々の年齢層ですが、30代が約半数を占めていました。発売されてから20年が経っているので、その分を引くと当時10〜19歳くらいのユーザーさんなんですよね。本作のターゲット層は、その辺りだったんですか?

杉本はい、そのくらいの年齢を意識していました。というのも、その前に作っていた『ゼノギアス』は、漢字もいっぱいあるしストーリーも難しいので、小学生くらいが遊ぶのはちょっと大変かなと思いながら作っていたんです。

将来のお客さんにスクウェアのファンになって欲しかったというのもありますし、小さい子が楽しめるゲームを作りたいという想いもあったので、若い子に向けた作品を開発しようと思ったのが『デュープリズム』の最初のきっかけですね。

あとは……当時のスクウェアに求められていたのは、SFとかじゃなくて、もっとベタなファンタジーじゃないかと思い、こういった方向になりました。

──確かに『デュープリズム』はファンタジーですが、当時多かったいわゆる中世ファンタジーではなく、どこか民族感が強いような印象を受けました。


渡辺当時の環境でいえば、ザ・中世といった『ファイナルファンタジータクティクス』が発売されたり、ウチのチームの隣に『ベイグラントストーリー』チームがいたり。そういった状況の中でオリジナリティを加えていき、最終的な『デュープリズム』の方向性になりました。

杉本東天王国は、渡辺君からの発案だったよね?

渡辺遠くの国から来た感じを出したくて。僕は元々、D&Dとかが好きなファンタジーおじさんなんですが(笑)、そういった方向ではなく、色々と取り入れていこうかなと模索した結果ですね。ちなみに、当時は『パンツァードラグーン』とかも好きでした。サターン派だったんですよね。

──『パンツァードラグーン』の独特なファンタジー感もいいですよね。

渡辺(当時)彼女と一緒にプレイステーションを買って『FFVII』を遊んでいたんですが、フラれてプレステごと持っていかれまして(笑)。そこで「もうやってられるか!」「好きなことして生きるんだ」と心に決めて、スクウェアに応募したんです。そして『デュープリズム』が完成した後、杉本さんにプレステを買ってもらいました(笑)。

──フラれていなかったら、『デュープリズム』が全然違う作品になっていたかもしれないんですね(笑)。

渡辺かもしれないですね(笑)。

──舞台となる場所も秘境感があり、一般的なファンタジーとはひと味違って、独特ですよね。

杉本あれは、デザイナーの寺田が頑張ってくれたおかげですね。主人公のキャラクターデザインだけでなく、背景もいくつかデザインしてくれていまして。

渡辺アートディレクションってこういうことなんだ、と実感しましたね。森ひとつを取っても、木をいっぱい並べて終わりではなく、主人公の冒険の舞台にふさわしい雰囲気の森として描かれていました。背景から世界が生まれる。


『デュープリズム』の挑戦と、その成功体験に迫る

◆ミントの成功体験が、後のキャラクター作りにも影響を与える
──2人の主人公について、もう少し詳しくお聞かせください。


杉本ミントについては、島本から「こういうキャラはどうだ」と提案がありまして、想像以上に天真爛漫なキャラが出てきて驚いた覚えがあります。当時、ああいったキャラクターがゲームの主人公を務めているのは多くなかったと思いますし、そのせいか女性プレイヤーさんがすごく喜んでくれました。男性に守られる女性キャラではなく、自ら頑張っていく姿が評価されたのかなと。

──インサイドは男性向けのゲームを扱うことが多いので、女性の読者さんは相対的に少なくなるのですが、今回コメントをいただいた方々の男女比は、男性53%に対し、女性が47%でした。これだけ女性側のコメントが集まるゲームは、ウチとしてはかなり珍しいですね。

杉本ありがたいお話です。

──当時のアクションRPGは、男の子が遊ぶジャンルでしたよね。

杉本確かにそうでした。『デュープリズム』を考えた最初期の頃は、女の子の主人公だけにするつもりだったんです。でも当時の空気として、ゲームを買うのは男性が多く、ゲームの主人公はまだ基本的に男の子だったので「女の子の主人公は難しいのでは?」とまで言われて。じゃあ主人公は男女2人にしようとなりました。

渡辺(男の子は)女性主人公を選ばないよね、みたいな感じでしたね。

杉本小学生の男の子は、恥ずかしくて女の子を選びにくかったかもしれません。逆に、これまで男性キャラばかり使っていた(=選択の余地がなかった)女の子プレイヤーは選んでくれるかなと思いました。

──最近は、女性主人公もごく当たり前になりましたね。

杉本ですね。それだけユーザー層が広がってよかったです。


渡辺あと、「見て楽しいヒロイン」と「動かして楽しいヒロイン」は違うんでしょうね。

元々僕は、守られるタイプのヒロインがあまり好きではなんですよね。ゲームのシナリオを書くときも、主体性があってドンドンやっていくキャラじゃないと、前に進んでくれないんです。立ち止まって待っていたらたまたま巻き込まれて事件が起きて、というのはゲームだと難しいんですよね。だって、事件が起きる場所までプレイヤー操作で歩いていく必要がありますから。

その後、『ファイナルファンタジー X』でユウナを書いたり、『ファイナルファンタジー XIII』でライトニングを書いたりしましたが、ミントが僕にとってのゲームヒロインの源流になった感じもあります。可愛いアピールしながらグイグイくるようなことをせず、背中で語ることができるヒロインもいるんだと、そういう自信を僕にくれたキャラクターですね、ミントは。

──ある意味の原点、と。

渡辺成功体験、と言い換えてもいいかもしれません。

──そんなミントが紡いだ物語は、マヤと深く関係する、いわば姉妹の物語でもあります。またルウも、ドールマスターとの関係性が明らかになる、兄弟の物語と言えるでしょう。それぞれ、姉妹と兄弟を描く物語となったのは、なぜですか?

渡辺20年前の僕が何を思っていたのかは分からないんですが(笑)……ルウとドールマスターが同じ人形という設定は決まっていました。ミントについては、こちらも“秒で分かる特徴”として盛り込みました。

関係性を描く時に「○○魔法学園のライバル」とかだったら、それを描かないといけないんですが、「姉妹」だとそれだけでもう伝わるじゃないですか。関係性の設定を説明するために割く時間が最小限で済むので、分かりやすくしようとした結果、姉妹という設定になったんだと思います。

当時は、複雑な設定があり、それを説明するのに必死な作品がいっぱいあった感じがしたので、「設定を考えてはいても、全部言わなくていい」と考えました。例えば、『デュープリズム』の設定用語はあまり長々としたカタカナを使わず、単純な言葉にしてあるんです。

情報量を減らして、分かりやすくする工夫ですよね。減らせれば減らせられるほどいいな、と。

杉本3Dキャラが演技(モーション)で表現してくれるので、そこもかなり補佐してくれた部分だと思います。

◆幻となった“ミントの父親”は、肉体派魔法使いだった!?
──続いては、本作のアクション面についてお聞かせ願えますか?


杉本(プレイヤーとしては)自分があまりアクションが得意ではないので、なるべく簡単にしよう、というのはありました。敵の近くでボタンを押せば、自動で振り向いて攻撃を当てる、少なくともそこに高度な操作は求めないようにしました。……ただ、結果的にアクションが簡単ではなかった場所もあったかもしれませんが(笑)。

──心当たりは……あります(笑)。

杉本ルウとミントのアクションはだいたい同じバランスを目指したつもりです。ジャンプ力も同じですし、攻撃力も数字で調整しました。ただ、差をつけた覚えはないんですが、ミントの飛び蹴りが好評でしたね(笑)。動きが気持ちいいからなのか、飛び蹴りだけでクリアする人もいたみたいで。

──飛び蹴りにこだわりたくなる気持ちも分かります。ミントはやっぱり、飛び蹴りのイメージが強いですからね(笑)。

渡辺物理で戦う魔法少女、みたいな(笑)。これは当時考えていた設定……というか裏設定なんですが、東天王国には家訓があって、「魔法使いは武器や鎧を装備できない。ならばどうするか? 身体を鍛えるのだ!」みたいな。多分、鉄下駄とか履いて訓練したんですよ(笑)。

──ミントの飛び蹴りは、努力の賜物だったんですね(笑)。

渡辺だから、あれだけたくさん食べるんですよ(笑)。

──そう言えば、ミントの父親を登場させる案もあったと聞きましたが。

渡辺はい、肉体派魔法使いとして(笑)。東天王国の家訓を作った人かもしれませんね。

──もし作るとしたら、ミントの父親はどんなキャラですか?

渡辺肉体派ですね(笑)。「このコブシは魔法だー」と言いながら殴る、みたいな感じで。あくまで、ここだけの冗談ですが(笑)。

──ミントに繋がる血筋を確かに感じます(笑)。

杉本牛魔王みたいなイメージかなぁ。

渡辺そうですね。魔法使いなのに、物理の方が強いっていうね(笑)。

──それは是非見てみたかったです(笑)。ミントとルウと言えば、使う武器も特徴的ですよね。ファンタジーの主人公だとやはり剣を連想してしまいますが、斧(アーク・エッジ)と輪っか(デュアル・ハーロウ)を持たせるのは、当時珍しかった印象があります。

杉本輪っかは珍しかったですよね。

渡辺デュアル・ハーロウを振った時のモーションを見た時、「これはカッコイイ!」と思いました。あと、ルウのほうは「こいつ、大人しい顔をして凶悪な武器を持ってるぞ」と(笑)。

杉本2つの輪っかをあんな風に組み合わせて魔法を撃つとか、モーション担当のイマジネーションが凄かったですね。輪っかはこういう風に使えるんだ、みたいな。

渡辺杖とかでは出ないですよね、あの感じは。

──あの動きは、モーション担当の方が生んだものなんですね。

杉本はい、動きについてはその通りです。輪っかそのもののアイディアは島本からですね。

──ミントは魔法を使い、ルウはモンスターに変身しますが、まったく異なるものを用意するのは大変でしたか?


杉本「変身」のアイディアはプランナーから上がってきたんですが、ルウは変身、ミントは魔法で個性を出そうと考えて、あの形にしました。プランナーの西田がこういうアイディア出しが得意で、魔法や変身後の絵コンテを描いてくれたので、それを片っ端から実装していった感じです。

──ゲームにおける魔法は、ひとつずつ独立しているイメージがあるんですが、『デュープリズム』の場合は「色」と「効果」の組み合わせですよね。数が結構あるので、こちらも大変だったのではと思うのですが、いかがですか?

杉本そうですね、全部の組み合わせを用意したわけではないですけども。

──それでも、30種類以上ありますよね。当時のアクションRPGだと、かなり多いような印象ですが。

杉本ひとつの魔法を選んでポンと出すよりは、「効果」と組み合わせて色々出来る方が面白いかなと思いまして。魔法のエフェクトは、プログラマーの小林が、いっぱい作ってくれました。

渡辺輪っかが広がるやつは、「これ、グラディウスみたいだな」とか思いながら見てました(笑)。

──青の魔法の「リップル」ですね(笑)。

杉本プログラムの下地もだいたい完成して、後は手を動かして作り込むだけだったので、ノリノリで作っていた記憶があります。


開発陣とユーザーに愛された『デュープリズム』

◆ファンのコメントと共に『デュープリズム』を振り返る

──これもいただいたコメントですが、思い出深いシーンとしてルウのエンディングを推す方が多かったです。

杉本なるほど。

──クレアと再会したルウが、「うまく話せない、相手の顔をまともに見られない」というリアルな反応で驚きました、といったコメントも。

渡辺「言葉にすればするほど嘘くさくなる」というのは、いまだにシナリオを書くときに悩む永遠の課題ですよね。

杉本カットシーンを担当したプランナーの佐藤弥詠子が、台詞を出さずにカメラと「間」で雰囲気を作る演出を時々入れてましたね。それが効果的だったんじゃないかなと思います。

■佐藤 弥詠子氏
プランナー
代表作:ファイナルファンタジー VIII,XI,XII,XIV
──ミント編のシーンだと「ボコボコよ!」に関するコメント(?)も多かったですね。で、ラストバトルの前に、ミントの「ボコボコよ!」に加えて、マヤが「ボコボコですわ!」と(笑)。あそこは、「やっぱり姉妹だな」って感じる場面ですよね。

渡辺同じ台詞を繰り返してニュアンスが変わる、というのが好きなんですよね。それまでずっと言ってきた台詞が、カッコイイ感じに変わるのっていいですよね。ルウの方も、元々は制限するための呪文だったものを、今度は解放するために使って、みたいな。前振りがあってこその展開とでも言いますか。

杉本マヤの「ボコボコですわ!」は、最後に狙ってたんだよね? 本当はこういうキャラなんだけど、自分を律しているので、ずっと出さずにいて。

渡辺ルウ編だと、そういった面がほとんど出ないのも面白いですよね。おそらくルウ編では、ホテルで殴り合ってる時くらいじゃないかな。姉妹というのも、ルウ編ではずっと言わずにいるんですよ。

──ミント編から遊ぶとルウ編で驚きがありますし、ルウ編から始めるとミント編で驚きがありますよね。

渡辺当時、ザッピングという手法がちょっと流行っていたんですが、「ザッピングは、結局ひとつの話を半分見せるだけだよね」という話になりましたね。見る順番によってネタがバレてしまう状態になるよりは、それぞれ別の話を用意した方がいいかなと。

──そこも、『デュープリズム』らしい特徴のひとつですね。

渡辺最初、マヤはちょっと掴みにくかったんですが、ミントがああいうキャラだったので、その対比として今のようなキャラになりましたね。

──ルウの方で、印象に残ってる場面などはありますか?

渡辺これは、割と最近思い出したことなんですが、ルウとクレアが雪の山小屋で暮らしていますよね、ゲーム開始直後に。あれのイメージは、ムーミンなんですよね。

──おお!


渡辺あくまでの僕の中ではですが、山奥でのほほんと暮らしている感じが、ムーミントロールに通じるものもちょっとありまして。おっとりしていて世間知らずだけど芯が強くて、みたいな。あと、どことなく育ちがよくて、何となくまわりの人に応援してもらえる感じとかも。

──全般的にルウは、どこか品のよさがありますよね。

渡辺たまーにキレることはあるにせよ、そういった雰囲気は保とうかなと思っていました。

(ファンからのコメントを眺めながら)ああ、スカタン号も懐かしいですね。あれは、「スカタン号」という名前にするのが先に決まっていたんですよね。「スカタン号でいいよ」みたいな感じで(笑)。

──「スカタン号」からよく、「スカーレット・タイフーン・エクセレントガンマ」に辿り着きましたね(笑)。いただいたコメントでは、やはりミントとルウの人気が二強ですね。

渡辺ありがたいですね。

杉本差が出なくてよかったね。

──ミントを推す人の中には、「ミント様」と呼ぶ方も少なからずいました(笑)。

杉本開発内ではみんな「ミントさん」と呼んでいましたね(笑)。敬称を付けていました。

──ミント、ルウに続く人気ぶりは、やっぱりマヤですね。それ以外だと、デュークにも声が集まっています。「スターライト・デューク」の印象が大きいようで(笑)。あとは、ベルとの関係性がよくて推す方もいましたね。

渡辺『デュープリズム』に出てくる女の人は、基本みんな強いですよね(笑)。

──確かに(笑)。



渡辺印象に残っているシーンと言えば、ルウ編でラスダンに挑む前にファンシー・メルのところへ行き、「何のために行くの?」みたいな会話をする場面がありまして。そこは選択肢があって好きなように答えていいんですが、最終的に「頑張れ」って言ってくれるんですよ。あそこは、ラスダンに向かう前だったので、どんな選択肢を選んでも「頑張れ」に辿り着くようにとフローチャートを書いて台詞を組み立てました。

ゲームのシナリオを長いこと書いているんですが、究極的には(ゲームは)遊んでもらうためのものなので、プレイヤーの皆さんに「やったるで!」と盛り上がってもらうシナリオが一番ですからね。

──プレイ意欲をかき立てるのが大事なんですね。

杉本それにしても、こんなにコメントをいただけるなんて、ありがたくてたまらないです。皆さんの「好き」が、ここに詰まっていますね。

──ミントはわがままで自分勝手ですから、一歩間違うと嫌われかねない属性を持っていると思うんですが、なのにここまで人気があるのってスゴイですよね。

杉本面白いキャラになりましたね。

渡辺ミントは、書いているうちに「この人は強いから、自分にも他人にも正直でいられるんだ」と気づいたキャラクターでした。

──確かに、ミントの言葉に嘘はないですよね。

渡辺ミントは、欲望にも正直なのでわがままなんですが、基本的には善人なので、いいこと言うのも躊躇いがないんですよね。

──お世辞がないので、ミントに何を言われても信じられます。


杉本コメントを見ていると、動きを褒めてくださる方も多くて、狙ったところに上手く刺さってよかったなと思いますね。あとやっぱり、「ブーツのヒモが……」が多いですね(笑)。

渡辺ベタは大事ですね(笑)。

杉本あのイベントは確か、『ファイナルファンタジー VIII』が終わってチームに合流してきたプランナーの佐藤が最初に作ったシーンなんですよ。面白く演出してくれました。

渡辺ノベルゲームみたいに立ち絵でテキストが流れるだけだったら、全然刺さらなかっただろうなという感じはしますよね。(3Dキャラが)芝居をちゃんとやって、掴むことができたというか。

あとシーンで言えば、エンディング後の町を歩けるというのも印象的でしたね。ラスボスを倒して平和になった世界を歩きたい、という。ちゃんとみんなに、「さよなら」と「行ってきます」をしたくて。

──ラスボスを倒すとエンディングやスタッフロールに突入し、そのままEND表示というゲームがほとんどなので、そこも『デュープリズム』は珍しいゲームでしたね。

杉本前述のプランナーの佐藤はエンディングが大好きで、彼女がプレイした色んなゲームのエンディングを個人的にコレクションしていたほどなんです。そんな彼女から「エンディングの前にセーブをしたい」という希望が出て、セーブポイントを設定しました。

ラスボスを倒してからエンディングまでのイベントは、ほとんど佐藤が担当しました。「エンディングを盛り上げたい」という彼女の強い意志が感じられます。

──個人的な話になるんですが、大事なシーンの前はセーブして、そのデータを保存しておきたいタイプなので、エンディングにセーブできるのはすごく嬉しいですね。今はギャラリー機能があるゲームも増えましたが、当時はほとんどなかったので、手動セーブでギャラリー代わりにしていました。

杉本ギャラリー的な機能は、当時も「あったらいいよね」という話はしましたが、さすがにちょっと余裕がなかったです。

◆ユーザーから、そして開発陣からも愛された『デュープリズム』
──ちなみに、『デュープリズム』のディレクターをされた時、杉本さんはおいくつだったんですか?


杉本23でした。とはいえその時点で勤続5年だったので、そこそこ古株に見られていたのかな。

渡辺あの頃は、5年で古株ですもんね。

──プレステの登場で、ゲームの作り方が変わった時期でしたよね。

杉本そこは、自分にとって運がよかった点のひとつですね。社内にはファミコン時代から作り続けてきたベテランの方もいらしゃったんですが、3Dになって、プログラミング言語もアセンブラからC言語になって、ゲーム開発の経験値が一旦リセットされたような状態になったんです。そこで、当時の我々のような若造も同じスタートラインに立てて、前に出て来る事ができました。本当に時代に恵まれていました。

渡辺無制限に何でも作れるわけではなく、逆に“制限の中で何が出来るのか”だったから、全てに必然性があってバシッとハマッたのかもしれませんね。

さきほどのカボチャの話もそうですが、「こういう設定があるんだよ」ではなく、「こういうモノがあるから、この設定にしていこう」と。その流れで、設定とキャラクターが噛み合っていき、無駄がなくなっていったような感じです。

無駄を作る余裕がなかったから無駄がなかったのかもしれないですけど(笑)、ある意味で“コントロールしきれる物量”だったのかなと思います。まだ、「個人の徹夜でなんとかなる」みたいな(笑)。

杉本『ゼノギアス』で、3Dゲームのノウハウが相当溜まっていたのも大きいですね。ゲーム制作って、2本目、3本目と重ねていくと、どんどん強くなっていきますので。

──『デュープリズム』が生み出されるタイミングとしては、まさに絶妙だったんですね。

杉本ただ、1999年の末って、他社も自社も大作のラッシュで、発売のタイミングとしてはよくなかったかもしれませんが(笑)。

──ライバルが多いタイミングでのリリースでしたね。

杉本小チームプロジェクトなので、当初はあまり大きく期待されていなかったんですよね。投資は最小限に、チャレンジャブルな作品を世に出すという座組だったので。

でも『聖剣伝説 レジェンド オブ マナ』に同梱された体験版をリリースした時に、「『デュープリズム』の体験版がすごく面白い」とネットなどで盛り上がっていただけて、それがきっかけで海外版のリリースが決まったりもしたんです。

そういう流れが開発中にどんどん増えていき、作品への期待値が次第に増していったのが印象的でしたね。

──それまでの積み上げが報われた瞬間ですね。

杉本そうなんです! ですが、発売初日の売上速報で「全然ダメでした」という報告を貰って。ああ、やっぱりこういう結果か、という気持ちにはなりました。ただ、その後にマーケット調査などをしたら、品質に対して認知度がまったく足りていないという調査結果が出たりして。(なので)少し胸を撫で下ろしました。まあそれに、世に出せただけよかったですよね。

渡辺しかも、20年経ってからこういう話ができるなんて、まさかですよ。

──これだけの方々がコメントを寄せてくれるほど、今も愛されていますからね。これは余談になりますが、『デュープリズム』の開発が終わった後は、どういったタイトルに移られたんですか?

杉本残念ながら『デュープリズム』の続編は作れなかったので、私たち2人は『ファイナルファンタジーX』に行きましたし、他の方も『ファイナルファンタジーX』や『ファイナルファンタジーXI』に移りましたね。

渡辺ごそっと『ファイナルファンタジーX』に行きましたよね。

杉本『デュープリズム』について、北瀬佳範さんは好意的に見てくれたようで、うちのチームの人は声がかかりやすかったですね。

■北瀬 佳範氏
第一開発事業本部長、『FINAL FANTASY VII REMAKE』プロデューサー
代表作:ファイナルファンタジー V,VI,VII,VIII,X,X-2,XIII/メビウス ファイナルファンタジー 他
渡辺この前やった『メビウス ファイナルファンタジー』の生放送に北瀬さんと一緒に出演した時には、僕の経歴について「お前、『デュープリズム』出さなくていいのかよ。言っといた方がいいよ!」とコメントして下さったり、「このキャラクターは、渡辺君の『デュープリズム』からの流れを汲んでいるよね」なども仰っていただきました。

──スクウェア社内のクリエイターの間でも、『デュープリズム』の評価は高かったんですね。

杉本ありがたい事に(笑)。先ほど話したように、小規模ながらもちゃんと形として出せたのは大きかったかもしれません。あとは、2D表現を中心にやってきた人たちが、3D表現を見直すような流れにもなった気がします。

渡辺居酒屋で飲んでいたら、松野泰己さんがやってきて「おお、渡辺君!」とか声をかけていただいたこともありましたね。あ、認識してもらえてる、って猛烈に感激しました(笑)。

──ユーザーに愛されたのはもちろん、クリエイターにも響いた作品だった『デュープリズム』。今回は、その20周年を振り返るインタビューでしたが、最後にお二人のお言葉をいただければ嬉しく思います。


渡辺僕らが作ったものですが、もう僕らのものではなく、皆さんのものなんだなって思いますね。もちろん、どのゲームを作る時も、そういう形になって欲しいと思って作っているんですけど。

世の中に送り出して、皆さんのものになり、今も熱意のあるコメントをこんなに下さる作品になるなんて、20年前には想像もしていませんでした。こんな素晴らしい場所にいられるのは、全て皆さんのおかげです。

作中のルウは、結構色んな人に背中を押されていたんですが、本当に皆さんの声に押してもらっているんだなと実感するばかりです。本当にありがとうございます。

──色んなキャラがルウを支えたように、『デュープリズム』も多くのユーザーに支えられているんですね、今も。

杉本カッコイイこと言うなあ(笑)。

渡辺一応ライターですから(笑)。

杉本渡辺君のようないい台詞は出てこないんですが(笑)……20年前に遊んだ時は子供だった方々が、大人になってもまだ覚えていてくれており、記憶に強く残るゲームを作れたことが非常に誇り高いです。当時思ってもいなかった層にまで届き、あの時頑張ってよかったなと改めて思いました。

『デュープリズム』が忘れられないよう、10月14日には自分もTwitterで喋ったりして、ブランド維持の努力はしてるつもりなんです。Twitterに“#デュープリズム“とあったら、それは可能な限り見ていますので、よければ呟いてください。

──本日はありがとうございました!



お忙しい中、今回は2時間もの時間を設けていただき、『デュープリズム』に関する濃密なトークを伺うことができました。また、読者の方々から寄せられたコメントを開発陣に直接届けたところ、大変喜んでいただけました。

今回のインタビューは以上で終わりますが、最後に「『デュープリズム』について、今ユーザーさんが出来ることって何かありますか?」という質問を投げかけたところ、スタッフの方を交えて、いくつかの方法を教えていただきました。

まずは、現在発売中のゲームアーカイブス版『デュープリズム』の購入が、販売実績という形でスクウェア・エニックスに届きます。ゲームアーカイブス版は、PS3/PS Vita/PS Vita TV/PSPでプレイできるので、プレイ環境があり、もう一度遊びたい方はこちらもお勧めです。

■『デュープリズム』ゲームアーカイブス URL
https://store.playstation.com/ja-jp/product/JP0082-NPJJ00384_00-0000000000000001
そして杉本氏の発言にもありましたが、ハッシュタグを通してツイートすれば、開発陣の目に届くかもしれませんし、ファンアートを含めてコミュニティが盛り上がるのも、ユーザー側で出来る活動のひとつです。

活動が必ずしも何かに繋がる訳ではありませんが、当時と比べると今は、ユーザーの声が届けやすい時代となりました。この20周年を機に、『デュープリズム』をプレイした感想や、遊んだ思い出などを、開発陣や同好の士に向けて発信してみてはいかがでしょうか。