およそ23年ぶりに『アークザラッドI・II』の原作スタッフが再集結し、衝撃的な結末の先を描いたスマートフォン向けゲーム、光と音のRPG『アークザラッド R』がリリースから1年4か月を迎え、Ver2.0にリニューアル、そして2月12日にはVer.2.5が実装されました。


「大崩壊」から復興しつつある世界に再び危機が訪れ、主人公たちが世界を救った英雄たちとともに冒険を繰り広げて来ました。ストーリーはいよいよ佳境に入って目が離せない状況です。このタイミングでのリニューアルは、「ストーリー」という縦軸だけではなく、「バトル」「ゲームシステム」「設定(人物、群像劇)」など様々な要素を広げることで横軸でもユーザーに楽しんでもらうことを目的としています。

そこで、『I・II』を生み出した原作スタッフらと『R』の開発陣による特別座談会を再び開催。1年4か月の振り返りと、Ver2.0から実施される新要素「記憶・浄化」「装備改造」「衣装変更」「世界復興(Ver.2.5実装)」の説明と狙い、2 パートに分けてお届けします。

後編となる本稿では、『アークザラッド』の“世界”のこれまでの振り返りと、2月からの新要素「“世界”復興」を絡めた、『アークザラッド R』の“世界”のこれからについて語っていただきました。

前編はこちら

左奥から安藤浩之さん、望月さん、南さん、西川ヤスヒロさん。
左手前から米坂典彦さん、小山英二さん、土田俊郎さん
■スタッフ紹介

●原作スタッフ
土田俊郎企画・原案・ゲームデザインを担当。『アークザラッド R』を作り出す上での世界観やゲームデザイン全てを統括する。

米坂典彦世界観やキャラクターの設定、シナリオなどのテキスト周り全般を担当。

小山英二アート原案・監修を担当。土田氏や米坂氏らと共にキャラクター設定や企画を推進。背景アートなどソースとなる2Dのビジュアルシーン(イラスト)を主に仕上げる。

●『アークザラッド R』から開発に関わるスタッフ
安藤浩之『アークザラッド R』のクリエイティブディレクターとして全体を統括

西川ヤスヒロ『アークザラッドI・II』のキャラクターのリデザインや今作の主人公・ハルトやヒロインのミズハなどの新キャラクター、あとモンスターを含めた全てのキャラクターデザインを担当。
キービジュアルのイラストも制作。

望月『アークザラッド R』の一部キャラクターのデザインや、衣装替えのデザインを担当。

南 3Dモデルやモーション、ストーリームービーやモンスターアクションの作成などを担当

◆原作スタッフの関わり方はどう変わったのか?
――早速ですがリリースからの約1年4ヶ月を振り返っていかがですか?

安藤浩之(以下、安藤)『アークザラッド』シリーズは、『I・II』から続くファンによって支えられてきたコンテンツです。最新作『アークザラッドR』をリリースして約1年半が経過しましたが、その熱気のおかげでここまで来ることができました。一方で、『アークザラッド』シリーズを遊んだファンの中には、それぞれの『アークザラッド』への想いがあったと思います。ユーザーから評判が良くない部分もあったのも理解した上で、開発時に大事にしようと決めたことをもう一度整理して、ユーザーにお届けしたい気持ちは強いです。


――原作スタッフの皆さんの関わり方の変化を教えてください。

土田俊郎(以下、土田)リリース時は第三章までストーリーが実装されていたので、第四章が作れるような段取りをしてから、原作者として定期的に監修する立場に移行しました。


――第五章からは現場で直接指示を出さなくなったという意味ですか?

土田そうですね。第四章まではシナリオを細かくチェックし、グラフィックの発注もし、世界設定に合わせたアートの依頼では、2Dと3Dのどちらで見せるかなど全部を決めていました。自分がチーム内で直接指示を出さなくても大丈夫な所まで道筋を立てたので、第五章からはコンセプトのすり合わせの後は出来上がったものを確認し、さらに楽しんでいただけるよう、米坂さんとメインストーリーやキャラクターに関して打ち合わせしています。

小山英二(以下、小山)私は第四章までは『アークザラッド R』の2Dのビジュアルシーンなどを新たにデザインしていましたが、第五章からは『アークザラッドI・II』の過去シーンが頻繁に出てくるんですね。なので、20数年前に私が描いたものをもう一度描いています。昔の名所巡りみたいな感じで、「ああ、こんなんだったよね」と当時の気分で描いています(笑)。

それもやりつつ、キャラクターデザインの部分で原作のキャラクターがクローズアップされた時に、「こうだったんだよね」など色々と意見をさせてもらっています。


米坂典彦(以下、米坂)私は配信前とあまり変わっていなくて(笑)、ユーザーさんに喜んでもらえるよう一生懸命シナリオを書き続けています。メイン、キャラクター、イベントなど流石にストーリーの文量が多くなってきたので、泣きながら書いています(笑)。

小山付き合い悪くなっちゃって(笑)。

――メインストーリーでは『I・II』と絡む話も増えていますよね。過去と現在を繋げる上で設定を練り直す部分もありそうですね。

米坂もちろん、付け加えた部分もあるんですけど、基本は『アークザラッド I・II』制作時に皆で考えていたことを掘り返し、当時ユーザーに伝えられなかった部分を解像度を上げて伝えています。なので、全部が全部新しく考えたわけではないです。

<cms-pagelink data-text="ストーリーに合わせてキャラデザは変化していった?" data-page="2" data-class="center"></cms-pagelink>

◆『アークザラッド R』から携わって感じた魅力
――西川さんも、キャラクターが増えた部分はあれど、開発当時から大きな変化はない感じですか?

西川ヤスヒロ(以下、西川)そうですね。僕は、第五章からストーリーの都合上、デザインするために原作の方と関わる機会が増えました。このキャラクターは当時こういうふうに考えていたとか、制作秘話みたいなのがたくさん聞けて、結構ビックリすることもたくさんあるんですよ。濃密なやり取りができて結構楽しいですね。


小山そうですよね。密にやっています。

――西川さんは、プレッシャーは大きくなかったですか?

西川Twitterをよく見ているんですけど、『アークザラッド R』から登場するキャラクターを描いてくれている人が多いんですよ。それを見ると手応えを感じることができました。ハルトとミズハは第五章に入ってからどんどん関係性が可愛くなって、仲良くなっていくんですね。その流れで『アークザラッド R』から登場するキャラクターをもっと好きになってもらえたらと思いますね。

――逆に、描くのが難しかった原作キャラはいましたか?例えば、アークやククルなど。

西川アレクですかね。やっぱり、原作とはビジュアルがかなり変わるとあって、最初は「本当にこれで大丈夫なのか?」と思っていたんですけど、ご好評頂けて安心しました。まぁ、仕様を考えたのは土田さんなんですけど(笑)。


アークやククルも小山さんや國末さんに原案を頂いて描いたので、全部が自分の上にのしかかったわけじゃないです。皆で考えてブラッシュアップする感じです。


――ストーリーが進むにつれてデザイン面でも変化がありますよね。

西川ストーリーの雰囲気に合うように絵柄を少しずつ変えていっていますね。最近はどんどん深刻になっているので、影をちょっと増やしてみるなどシリアス風な絵面にしています。例えば、初期の頃のハルトやミズハは親近感を抱きやすいように丸々な頭身で描いているんですけど、最近は少しずつ頭身を上げていています。


あと大きな変化は、リリース後半くらいから望月さんと共に取り組むことで、デザインの幅が広がったことです。望月さんは可愛いキャラクターを描くのがめちゃくちゃ上手で、そういう所でアドバイスをもらうことが多いです。最近だとココナやアイーシャの衣装も望月さんがデザインしています。

――望月さんはいつからスタッフに加わったんですか?

望月リリース1年前くらいからです。最初にデザインしたのはリアなんです。ただ、ここにいない原作スタッフのはやしひろしさんから元になるデザイン案をいただいていたので、一からデザインしたのはフィルが初めてです。最初は清書がメインでしたが、今では西川さんと相談をしながらキャラクターデザインをさせていただいています。


――南さんは振り返っていかがでした?

南期間を経て技術的にできることが増えていったのですが、一番大きいなと感じるのはモデル作成だけでなく、スキルでシネマが再生されるキャラの担当も増えたことですね。デザインを頂いてモデリングの段階から、「こういう演出にしたい」と思い描き進めるようになりました。


――4コマ漫画はデザインチームが作っているんですよね?反響はいかがでしょう。

安藤はい、チームみんなで考えつつ進めてきたので、ご好評いただいているようでよかったです。

小山4コマ漫画を読んでくれた方からは、「そうそう!こーいうのアークっぽいよね!」という意見は結構多いんですよ。『アークザラッド』はシリアスなストーリーと面白さが共存しているので、ゲームだけで表現できないところを4コマ漫画で描いてもらっています。『アークザラッドI・II』の時も、キャラクターデザインを担当した國末竜一、はやしひろしがアンソロジーを描いていました。

安藤4コマ漫画はこういうのやったらダメというのはあまりなく、「こうしたらいいんじゃないか?」とブラッシュアップしてデザインチームと一緒に作っていく感じです。それができるのも『アークザラッド R』が熟成されてきたからできるようになったと思っています。ストーリーだけを楽しむのではなく、4コマ含めた新しい要素も楽しんでもらいたいです。これから情報をお出ししていく、新要素「世界復興」も、ストーリーだけでない、世界全体をみんなで楽しんでもらえるコンテンツを目指していますので、ぜひご期待ください。

<cms-pagelink data-text="気になるユーザーの声は?" data-page="3" data-class="center"></cms-pagelink>

◆『アークザラッドI・II』のキャラクターたちとの再会を楽しんでもらいたかった
――この約一年半はユーザーからどのような声が多かったですか?

安藤『アークザラッドI・II』を遊んでくれているファンからは「復活してすごく嬉しい」という声がある反面、リリース当初は「これちょっと違うんじゃない?」という意見もありましたよね。それでも『アークザラッド R』を遊んでもらうことで「これはアークザラッドだ」という声がだんだん増えていったと感じています。土田さんなりのゲーム作りや米坂さんのシナリオ、小山さん達が思っていることを表現して来ましたし、それはユーザーにも順々に理解してもらっていると思います。

例えば、最近は新キャラクターのダニーロが実装されましたけど、Twitterでは「こういうキャラが出るのがアークザラッドらしいよね」と言った声が上がっていました。

――土田さんは「大崩壊」の続きをうまく描けたと感じていますか?

土田『アークザラッドII』は続きがすごく作りにくい終わり方をしたので、続編を作る上では本当に苦労しました。新規ユーザーが新主人公の視点で遊べるものにしつつ、『アークザラッドI・II』をやった人がキャラクターと再会した時に彼らの成長を感じられるものにするにはどうしたらいいかを考えたんです。

結果的に、エルクが登場した時に「やっと来た!」と喜んでくれた声があったように、『アークザラッドI・II』のキャラクターが再登場した時のユーザーの反応が良かったので、上手くできたのかなという気はしましたね。


――『アークザラッドI・II』のキャラクターが再登場する順番はどのように練られているのでしょう。

土田ストーリーの盛り上がりのバランスですね。エルクがあのタイミングで出るので、前半はユーザーから支持の強いキャラクターとしてトッシュを起用しようと考えました。ゴーゲンは一旦扱いが難しいなと思ったので、ストーリーを進めながら米坂さんと相談して、ミズハをサポートする役割なので五章から登場させるのがいいんじゃないかといった感じで決めました。

――ブラキアが早い段階から舞台になるのに、グルガがなかなか登場しませんでしたよね。

土田その後の世界を考えた時に、かつての英雄達がそのまま世界を指導しているだけだと変化が出ないじゃないですか。そこで、国によっては英雄が不在になっている事情があって、さらに『アークザラッド R』の伏線になるようにするなど考えました。


その仕掛けの一つがグルガだったんです。グルガがいないブラキアは不安定な状態で、逆にトッシュがいるスメリアは安定した状態から始まっていますよね。ユーザーが国を巡っていく中で、色の違いを感じて欲しかったのが狙いです。

安藤そういう意味では、また、世界復興の話になってしまうんですけど(笑)、世界復興は、土田さんが今お話いただいたように、それぞれの国が現在、どうなっているんだろう?あの英雄やキャラクター達は、今どうしているんだろう?といった、ユーザーの皆さんが知りたい内容を、みんなで一緒に「世界復興」をしながら、確認できるコンテンツです。まだ、ちょっと想像できないかもしれないんですけど。


――SNS上などでかわされるユーザーの様々な意見をどう見ていますか?

小山個人的にSNSで、『アークザラッド』がすごく好きな人達の意見を見て、自分たちはもっとやらなきゃいけないことがあるなと感じました。「このキャラクターはもうちょっとこうしたらいいかな」「本来こうしたかったんだけど表現しきれなかった」みたいな後からの補正をできるタイミングが今なので、そこに着手させて頂いています。

――米坂さんはストーリーを担当するので、一番意見を肌で感じることが多かったのではないでしょうか。

米坂そうですね、私の場合はお話が面白いかどうか皆さんの声がストレートに返ってくるので、いつも戦々恐々としています。ただ今のところ私が考えている続編のテイストをユーザーの皆さんが受け入れてくださっているのをすごく感じられますので、ありがたく思っております。


――新ヒロインのミズハに関しては、当初は否定的な意見も多かった気がします。

米坂最初、ヒロインとしてミズハが受け入れづらいユーザーが多かったのは確かですね。「ミズハは可愛らしさがないよね」という声も上がっていましたが、それもストーリーが進むにつれて、「ミズハはポンコツだけどいろいろ考えていて、可愛らしいじゃないか」という声も多くなってきているのを見て、私としては「してやったり!」という思いですよ(笑)。

◆『アークザラッド R』と『アークザラッドI・II』のシナリオの大きな違い。新規ユーザーに向けて理想的な形とは?
――『アークザラッド R』では敵側の背景やキャラを深く描いていて、対立する側であっても完全な悪ではないキャラクターが多いのも『アークザラッド I・II』との大きな違いでした。

米坂『アークザラッドI・II』では悪は悪だと分かりやすく描いてはいたんですけど、『アークザラッド R』は「本当に悪なのか?」と思えるような、自分の信念をしっかり持ったキャラクターも敵側に置いています。それはなぜかと言うと、物語の後半で色々と話が展開していく中、そういった信念を持つ彼らがどう変わっていくのかを描くための仕掛けになっているんです。

――『アークザラッド R』は『アークザラッドI・II』のキャラクターとの再会を大事にしていたと思うですが、『アークザラッドI・II』をプレイしたことがない新規層に向けて気をつけたことは?


米坂『アークザラッドI・II』を遊んでくれた方が読むと楽しいネタやお話もやっぱり沢山ありまして、私的にはそういうのをふんだんに盛り込みたい所はあるんですけど、新規の方がお話に付いていけなくなるのもまずいので、土田さんと打ち合わせを重ねてバランスに特に気を使いましたね。

土田『アークザラッド』『アークザラッドII』をプレイした人向けの書き方をしないように、すごく米坂さんと何回か序盤の作り直しをする時に話し合いましたね。やりすぎるといけない。『アークザラッド』『アークザラッドII』をプレイした方にはこう見えて欲しいというのはあるんですけど、それを全ユーザーに向けるとすごく押し付けがましくなる。

なので、『アークザラッドI・II』のキャラクターに関しては、新規の方からは全く違う印象に見えても構わないと思い切りました。ストーリーが新規層に染み込んで、自分から気になったキャラクターのエピソードを拾って補完してもらう形にしたほうがは情報としてはいいんですよ。その部分では、ストーリーは理想的な形でここまで進められたと思っています。

◆これからの『アークザラッド R』について
――ストーリーについて、ユーザーの皆様に好評いただいている、『アークザラッド R』ですが、今後に関しては、どんなことを目指していきますか?

安藤『アークザラッド』は、『I・II』から繋がってきた様々なストーリーが連なって、世界が形づくられてきた歴史のあるコンテンツです。『R』を遊んでくださっているユーザーの皆様にも、その部分を楽しんでもらえていると感じています。
今後は、衣装変更、装備改造、記憶浄化に加えて、世界復興、そしてその後に続くコンテンツで、皆さんと一緒に『アークザラッド』の未来をつくっていきたい。と思ってます。ぜひご期待ください。

『アークザラッド R』は好評配信中。基本プレイ無料のアイテム課金制です。


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