※リアルの生物の写真が出てきます。苦手な方はご注意ください!</B>
実は臆病!『あつまれ どうぶつの森』で釣れるピラニアってどんな魚?
……海外に行きたいんですよ。猛烈に、海外へ。魚や虫を捕まえに行きたいんですよ。異国でいろんな生き物を捕まえて回るのが僕のライフワークなんですよ。
しかし新型コロナウィルスのあれこれで、とても海外渡航なんてできる状況ではありませんね……。

いざ本格的に行けないとなると、余計に恋しくなってしまうのが人情というもの。いや悲しいです。
いっそ、昨年のうちに日本から一番遠いアマゾンとかに行っとくべきでした…。ピラニアとか釣って遊びたかったです……。


と思いつつ『あつ森』をプレイして気を紛らわしていたところ、釣れちゃいましたよ。ピラニアが。
ピラニアが、あつ森が、任天堂が、海外断ちされた僕を慰めてくれているんでしょうか?

……というわけで!国際社会的な事情とごく個人的な感情から、今回のテーマは「ピラニア」になりました!

ピラニアの種類
▲あつ森のピラニア。意外とカラフルです。
意外と知られていませんが、実は一口にピラニアといっても広い広いアマゾンとその周辺の水域にはたくさんの種類のピラニアが生息しています。


ではあつ森に登場するピラニアはその中のどの種か?
ゲーム中では単に「ピラニア」と表記されるばかりで明言はされていませんが、オレンジ色に染まった腹部や白黒に染め分けられた尾ビレを見るにおそろく「ピラニア・ナッテリー」という種だと推察されます。

▲水族館で展示されるピラニア・ナッテリー
ピラニア・ナッテリーは数あるピラニアの中でももっともメジャーで、あつ森のみならず創作物に登場するピラニアは大抵本種がモデルにされているように感じます。
観賞用に東南アジアなどで盛んに養殖も行われており、水族館やペットショップで展示販売されている光景もよく見かけます。

他にもジャイアントイエローピラニアや非常に大型になるブラックピラニアなど色や体型の異なる種がたくさん。掘り下げていくとかな〜り深いとこまでいっちゃう魚たちなのです。

▲ジャイアントイエローピラニア(ブラジルにて)
▲数あるピラニアの中でも特に大きくなるブラックピラニア(ガイアナ共和国にて)
歯は唇に収納されている
ところで、ピラニアというのは実に不思議な響きの名前です。
これはアマゾンの先住民たちの言葉で「歯の魚」という意味(※「ピラ(pira)」が魚で「ラーニャ(ranha)」が歯を表す)なんです。日本ではピラニアと表記、呼称されることがほとんどですが、実際の発音はむしろ「ピラーニャ」といった感じです。

▲ピラニアの口。意外と歯が目立たないような…?
やはりその名の通り、ピラニアといえばなんといっても強靭な顎とカミソリのように鋭い歯がイメージされることでしょう。
しかし、実際に釣れたピラニアの口内を覗いてみても、意外とその歯は目立たちません。

あれ?もしかして「ピラニア=すごい歯並び」というのはイメージ先行の思い込みだったのでしょうか?

▲唇をめくると白く光る歯がズラリ!
ご心配なく(?)!!
間違いなく彼らは鋭利で硬い、凶悪にすら思える歯を整然と上下の顎に並べています。
ただし、むき出しではなく唇の裏に収める形で、です。
唇をやさしくめくってやると…ちょっと引いちゃうくらいの歯並びが露出します。
Piranhaの名に偽りなしですね。

▲アマゾンやパンタナールの土産物として有名なピラニアの剥製。迫力を演出するため、唇は切除されてます。小細工!!
この歯で獲物を咬み裂いて食べるわけですが、基本的には自分より小さな小魚を襲うことがほとんどです。
ピラニアはどの種も普段は臆病な性格で、大きな動物を狩るのはその獲物が著しく弱っていたり怪我をしている場合のみだと言われています。


実際に僕もピラニアがウヨウヨいる川で水浴びをしたり泳いだりしたことがありますが、襲われるようなことは一切ありませんでした。
でも一旦テンションが上がってしまうと割と見境がなくなるようなので、みなさんはピラニアが群れている水辺で遊ぶ際は周囲に生きながらにして食われている牛やジャガーなどがいないか十分に注意を払いましょう。

食べられるよ!
ちなみにピラニアは美味しい魚で、生息地では普通に食べられています。

▲魚屋さんに並ぶピラニア(ブラジルはマットグロッソ州にて)
揚げ焼きにしてご飯のおかずにしたり、ぶつ切りをじっくり煮込んで塩と唐辛子で味付けしたスープが定番レシピです。
特にスープは絶品なので、もしアマゾンへ行かれたら一度ご賞味あれ!


■著者紹介:平坂寛
Webメディアや書籍、TV等で生き物の魅力を語る生物ライター。生き物を“五感で楽しむ”ことを信条に、国内・国外問わず様々な生物を捕獲・調査している。現在は「公益財団法人 黒潮生物研究所」の客員研究員として深海魚の研究にも取り組んでいる。著書に「食ったらヤバいいきもの(主婦と生活社)」「外来魚のレシピ(地人書館)」など。
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