アトラスの人気RPG『真・女神転生』シリーズ。その最新作となる『真・女神転生V』が、全世界で2021年に同時発売されることが発表されました。

さらに、7月15日にシリーズ第1作目となる『真・女神転生』がNintendo Switch Onlineに追加。『真・女神転生III-NOCTURNE』のHDリマスター版も同じくNintendo Switchで発売予定となっています。

というわけで、今回の「ゲーム19XX〜20XX」は、この名作として名高い初代『真・女神転生』が発売された1992年のゲームを、この年の出来事とともに紹介していきましょう。

◆アルベールビル、バルセロナ五輪開幕
フランス・アルベールビルで冬季オリンピックが開催され、ノルディック複合団体の金メダル、フィギュアスケートの伊藤みどりの銀メダルなど日本勢の躍進が話題になりました。この大会が夏季と同年に行われた最後の冬季五輪となっています。

スペイン・バルセロナで行われた夏季オリンピックでは、女子平泳ぎ200mで14歳の岩崎恭子が金メダルを獲得。「今まで生きてきた中で一番幸せです」というレース後のコメントは流行語になりました。また、アメリカ・プロバスケットボールNBAのスーパースターたちで結成されたドリーム・チームの活躍も注目を集めました。

◆毛利衛さん、スペースシャトルで宇宙へ
科学技術者の毛利衛さんが、スペースシャトル・エンデバー号に搭乗。宇宙に行った2人目の日本人となりました。毛利さんはスペースシャトル内の実験施設・スペースラブでの、さまざまな実験に参加。日本人宇宙飛行士の活躍に多くの人が熱狂しました。

◆『サザエさん』の原作者・長谷川町子さんが死去
長寿人気アニメ『サザエさん』の原作者・長谷川町子さんが、5月27日に心不全のため死去しました。日本初のプロの女性マンガ家として活躍した長谷川さんの功績をたたえ、7月28日に国民栄誉賞が授与されました

◆1992年のおもな流行
ヒット曲:『君がいるだけで』(米米CLUB)、『悲しみは雪のように』(浜田省吾)、『BLOWIN'』(B'z)
映画:『氷の微笑』、『紅の豚』、『ドラえもん のび太と雲の王国』
マンガ:『金田一少年の事件簿』(原作:天樹征丸、金成陽三郎、作画:さとうふみや)、『H2』(あだち充)、『魔法陣グルグル』(衛藤ヒロユキ)、『アカギ−闇に降り立った天才』(福本伸行)
テレビアニメ:『美少女戦士セーラームーン』、『クレヨンしんちゃん』、『幽遊白書』

アニメやマンガは今でも人気の作品がけっこうありますよね。それでは、1992年を彩った名作ゲームの数々を見ていきましょう。この年は累計出荷本数200万本を超えるメガヒットが続出しています。いずれも伝説となっているゲームですので、ぜひ注目してみてください。

真・女神転生
発売日:1992年10月30日
機種:スーパーファミコン
発売元:アトラス

当時、すでにRPGは人気ジャンルとなっていましたが、その中にあって本作は異色の存在だったと言えるでしょう。現代の東京が舞台という日常と地続きの世界。永井豪の傑作マンガ『デビルマン』を彷彿とさせる世紀末的な雰囲気。宗教的対立をモチーフに、シンプルな善悪二元論を排したストーリー。どれをとっても先鋭的で、決して万人向けの作品ではありませんでしたが、その“攻めの姿勢”は多くのゲームファンに支持されました。

3Dダンジョンマップをはじめとするゲームシステムも注目を集めました。なかでも個人的にハマったのが属性システムです。ファンにはおなじみですが、本作には秩序を重んじる「ロウ」、混沌を好む「カオス」、どちらにも属さない「ニュートラル」という3つの属性があり、プレイヤーの行動や選択によってこれらの属性が変化。同時に、物語の展開も変わっていきます。ことに属性をニュートラルに保つために試行錯誤するのは楽しく、非常にやりがいがありました。システムとシナリオが絶妙にマッチしていて、非常に重いテーマを扱っていながら、しっかりと娯楽へと昇華させたスタッフ陣の手腕には、ただただ感心させられます。

『女神転生』シリーズの代名詞というべき悪魔合体システムの存在も際立っていました。仲魔にした悪魔を材料にして、より強力な悪魔を生み出すというのはどこか背徳的で、ゾクっとしたのを覚えています。金子一馬氏がデザインした多彩な悪魔の造形も見ていて楽しく、本シリーズで各国の神話に興味を持ったという人もけっこういたと思います。サイバー感たっぷりの画面やハードロック的なサウンドも非常に秀逸で、その魅力は現在でも損なわれていません。ゆえにPCエンジン、プレイステーション、ゲームボーイアドバンスなど、さまざまなハードに移植され続けてきたのでしょう。90年代を代表する1本にして、ゲーム史に燦然と輝く、不朽の名作です。

ドラゴンクエストV 天空の花嫁
発売日:1992年9月27日
機種:スーパーファミコン
発売元:エニックス(現スクウェア・エニックス)

歴代『ドラクエ』シリーズの中でも屈指の人気を誇る伝説的作品です。スーパーファミコン初の『ドラクエ』ということもあって、当時の注目度は非常に高く、累計出荷本数280万本というスーパーヒットを記録(※)。少年が大人へと成長し、生涯の伴侶を得て、父親になるという、ひとりの人生を描いた壮大なストーリーは大きな話題となりました。

言わずもがなですが、特に注目を集めたのが、おなじみの「花嫁選択イベント」です。ビアンカとフローラのどちらをパートナーにするのか、友だち同士で激論になったという経験を持つ人は多いことでしょう。このイベントは後世の語り草となり、現在でもたびたび論争になっているのは、ご存知のとおりです。

堀井雄二氏の職人的こだわりも随所で光っていました。モンスター仲間システムなどの新要素を盛り込みつつ、フィールドマップや画面構成などシリーズの好評な部分をしっかりと引継ぎ、さらに完成度を高めた本作は非常にスキの少ない作品になっていました。

当時、ライバルとされた『FF』シリーズがグラフィック面を追求していたこともあって、本作の映像は旧態依然であると批判する声も一部にありました。しかし、あえて“ドラクエらしさ”にこだわったからこそ、名作として語り継がれているのだと、今プレイすると気づかされます。そして、それはシリーズの伝統として、以降の作品にも脈々と受け継がれています。

※数字はいずれも一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会発行の『2019 CESAゲーム白書』より

ファイナルファンタジーV
発売日:1992年12月6日
機種:スーパーファミコン
発売元:スクウェア(現スクウェア・エニックス)

『FF』シリーズ5作目もこの年の発売です。こちらも大ヒットとなり、累計出荷本数240万本を記録。シリーズ初のダブルミリオン超えを達成し、『ドラクエ』に劣らぬ存在として認知されることとなりました。

本作最大の魅力は、やはりジョブチェンジシステムに尽きます。ナイト、竜騎士、シーフ、黒魔導士などなど、各キャラクターはさまざまなジョブにチェンジすることが可能で、戦闘を繰り返すことで、そのジョブ特有の能力=アビリティを覚えていきます。それらアビリティとジョブを自由に組み合わせてキャラクターをカスタマイズする――これが非常に楽しく、誰もがキャラメイキングにハマりました。

このシステムはかなり完成度が高く、多くのプレイヤーが支持。『VI』の魔石システムや『VII』のマテリアシステムなど、以降の作品にもさまざまな形で受け継がれていきました。また、スクウェア・エニックスの人気RPG『ブレイブリー』シリーズなどにも、本作のジョブシステムをベースにしたものが取り入れられています。

システム面ばかりに目がいきがちですが、クリスタルが次々に砕けていくスリリングな展開、パーティーメンバーのひとりであるガラフの壮絶な一騎打ち、妙に憎めない敵キャラ・ギルガメッシュとの死闘など、ストーリーも非常に見応えがありました。特に「泣かせる」演出にはさらに磨きがかかっており、今プレイしても十分楽しめるでしょう。

この年はRPGが豊作で、ほかにもいくつもの注目作が登場しています。特に話題となったのが『ロマサガ』シリーズ第1作目となる『ロマンシング サ・ガ』(スクウェア)です。8人の主人公のいずれかを選んでプレイする複数主人公制や自由度の高いシナリオなど、独自性の強いシステムが受け、『FF』シリーズに続くスクウェアの人気RPGとなりました。

PCエンジンで発売された和風RPG『天外魔境II 卍MARU』(ハドソン)も話題になった作品のひとつです。ケレン味たっぷりのイベントムービーの数々は、CD-ROMというメディアならではで圧巻のひとこと。ゲームとしても非常に歯応えがあり、多くの支持を集めました。PCエンジンminiにも収録されていますので、ぜひ一度プレイしてみてください。

そして、個人的に推したいのが『ヘラクレスの栄光III 神々の沈黙』(データイースト)です。ギリシャ神話を題材にしたオーソドックスなRPGなのですが、とにかくストーリーが秀逸なのです。ことに、あるイベントが発生してからは怒涛の展開の連続で、一気に目が離せなくなります。システムやグラフィックが少し野暮ったく感じるなど、欠点も少なくないのですが、それらの短所を補って余りある魅力があると断言できます。なお、これからプレイする人は絶対にネタバレを避けてください。

弟切草
発売日:1992年3月7日
機種:スーパーファミコン
発売元:チュンソフト(現スパイク・チュンソフト)

チュンソフトのサウンドノベルシリーズ第1作目です。画面に表示されるシナリオを読むことでゲームを進めていく。選択肢によってストーリーがさまざまに分岐していく。背景の画像やバックで流れるサウンドがストーリーを盛り上げる。今ではノベルゲームと言われることも多いですが、このスタイルは本作によって生み出されたと言っても過言ではないでしょう。

基本は古びた洋館を舞台にしたホラーなのですが、途中でギャグ小説に変化したりするなどストーリーの内容は千変万化。『特捜最前線』、『人造人間キカイダー』、『快傑ズバット』などの脚本で知られる、長坂秀佳氏が手掛けたシナリオは非常に読み応えがありました。今でいうチャート機能がなかったりするので、分岐条件を見つけるのがなかなか大変なのですが、それだけに新たな展開を見つけたときの喜びは大きく、何度も繰り返しプレイしたものです。

以降、サウンドノベルはチュンソフトの看板ジャンルとなり、ミステリーを題材にした次作『かまいたちの夜』がスマッシュヒット。他社からも同スタイルの作品が次々に生み出されていきました。

当初はホラーやミステリーが主流だったのですが、恋愛、青春、SFなど題材となるジャンルがどんどん拡大。Leafの『To Heart』、TYPE-MOONの『Fate/stay night』、07th Expansionの『ひぐらしのなく頃に』などの名作が作り出されてきたのは、ご存知のとおりです。後世に与えた影響は絶大で、ゲームの歴史を変えたというべき偉大な1本です。

星のカービィ
発売日:1992年4月27日
機種:ゲームボーイ
発売元:任天堂

ご存知、任天堂の人気キャラクター・カービィの初登場作品です。任天堂の十八番である横スクロールアクションですが、初心者でも楽しめる内容になっていて、敵を吸い込んで吐き出すというアクションとジャンプを覚えるだけでスイスイ進んでいけます。決して簡単すぎるわけではないのですが、アクションが苦手な人でも着実に上達できるようにデザインされているので、気がつくと上手くなっている自分がいました。

このお手軽さが本作の一番の魅力ですが、カービィの造形も大きかったと思います。まん丸のボディ、羽のような手、ポテっとした足――すべてがキュートで、ひと目見たら忘れないインパクトがありました。パッケージのイラストは、現在よりも目が小さかったのですが、それでも十分愛らしく、このカービィのラブリーさも人気に一役買ったと言えるでしょう。

また、メルヘンチックな世界観やポップな映像もゲームと絶妙にマッチ。画面はモノクロながら見ていて非常に楽しく、子どもはもちろん大人も遊び応え十分なゲームになっていました。かくして本作は国内累計出荷本数172万本、全世界で513万本というスーパーヒットを記録。任天堂を代表する人気シリーズのひとつとなりました。

この年は『カービィ』以外にも任天堂の話題作が多数登場しています。最大のヒットとなったのは『マリオカート』シリーズの第1作目となる『スーパーマリオカート』(任天堂)です。コース上のパネルを踏むことで、「バナナの皮」や「こうら」などのアイテムを入手。これらのアイテムを駆使して相手のジャマをするというシリーズの基本システムはすでに確立されており、国内累計出荷本数382万本という驚異的な数字を打ち立てました。

『マリオペイント』(任天堂)も人気となりました。いわゆるお絵かきソフトなのですが、マウスに対応していて基本的な描画機能もしっかり搭載。パソコンのペイントソフトがまだまだ一般的ではなかった時代に、本作の存在は異彩を放っていました。そのほか、『スーパーマリオランド2 6つの金貨』(任天堂)が累計出荷本数270万本を記録。『スーパーマリオUSA』(任天堂)、『ファイアーエムブレム外伝』(任天堂)もヒットしました。

『ストII』フィーバーがさらに過熱した1年でもありました。アーケードではパワーアップ版となる『ストリートファイターIIダッシュ』(カプコン)が登場。ゲームセンターはさらなる熱狂に包まれました。そして、6月10日にスーパーファミコン版『ストリートファイターII』(カプコン)が発売。こちらも発売前から注目度は絶大で、累計出荷本数290万本というとてつもないヒットとなりました。

アーケードでは『バーチャレーシング』(セガ)も注目を集めました。ポリゴンによる3Dグラフィックは画期的のひとこと。ドライバーズ視点や俯瞰視点に切り替えることも可能になっているなど、鈴木裕氏率いるセガAM2研の実力をまたも見せつけてくれました。

また、アメリカでは対戦格闘ゲーム『モータルコンバット』(ミッドウェイゲームズ)が稼働開始。ゲームとしての出来は決して高くありませんでしたが、敗者を惨殺するグロテスクな残酷描写が大受け。のちに映画化もされるなど超人気シリーズとなりました。日本での認知度は今ひとつですが、現在でも欧米での人気は絶大で、新作が登場するたびに大ヒットとなっています。

そのほかのヒット作は人気競馬シミュレーションの第2作目となる『ダービースタリオン全国版』(アスキー)、名作バカゲーとして名高い『半熟英雄 ああ、世界よ半熟なれ…!!』(スクウェア)など。パソコンゲームでは恋愛アドベンチャーゲーム『同級生』(エルフ)、女生徒たちを卒業まで導く育成ゲーム『卒業〜Graduation〜』が登場。ギャルゲー人気の火付け役となりました。

いかがだったでしょう。このように1992年はダブルミリオン以上が5本という驚異的な1年でした。また、こうしたメガヒットタイトルが続々登場してほしいですね。