査定というと、一般的には不動産価格や自動車の買取価格の評価のことを意味するようです。しかし、調達購買の人間にとってみると、「査定」という言葉が通じない人は恐らくいないでしょう。

中には「調達購買」=「査定する人」という認識のバイヤーもいるかも知れません。いずれにしても、サプライヤから提出された見積を評価し、コストの妥当性を検証することを「査定」と呼びます。

こういう品目は、どのように査定すればいいのでしょうか?とか、査定というものは難しい、といった話をよく耳にしますが、今回はこの査定の原則について理解していきましょう。

査定は、ただある基準に基づいて感覚的にやればいいものではありません。査定を進める上で重要なのは、「説得力」です。つまり、サプライヤに理解してもらい、納得してもらわなければ査定になりません。この点から、まずは「説得力」があるかどうか、が極めて重要なポイントになります。

しかし「説得力」を高めるために、いくらでも時間をかけて良いかというと、それは違います。時間をかければかけるほど、「説得力」は高まるかも知れませんが、「効率」とのバランスが取れていなければ意味がありません。
このように査定は「説得力」と「効率性」のバランスが重要です。

それでは「査定」の方法としては、どのような方法があるでしょう。

つきつめていくと「分解する」「比較する」「基準を持つ」の3つの方法に層別されます。これらの単体もしくは、組合せによって様々な「査定」手法がつくられるのです。

例えばコストテーブル法、ですが、これは自社としての基準、もしくはサプライヤ毎のコスト基準を持ち、それと比較をする手法になります。多くの場合、コスト基準はコスト構造毎(材料、加工、その他)に分解可能です。

つまり、コストテーブル法は、コスト構造毎に「分解」されたコスト要素を、自社のコスト「基準」であるコストテーブルと「比較」して、コストの妥当性を評価する手法と言えます。

市場価格比較法は、市場価格という「基準」と「比較」してコストの妥当性を評価する手法です。

このように、様々な査定手法を上げていくと、13種類位の手法が上げられます。コスト削減手法と同様に、このように、手法をより体系的に捉えて、抜け漏れがないか、チェックすることは極めて重要です。

ここで、先ほどの「説得力」という点を考えてみましょう。
おそらくサプライヤに対して、一番説得力が高いのは、コストを「分解」し、他社の見積りコストを「基準」にして「比較」することです。これは、言い換えれば「競合見積法」。

また、一番「説得力」が低いのは「予算対比法」です。これは予算コストを「基準」として「比較」することになります。「今回予算がこれしかないから、これでお願いします」的な
査定手法です。(査定と言えるかどうか微妙ですが)

いずれにしても査定手法についてバイヤーと話しだすと、話がとまりません。私は13種類に分類していますが、各バイヤー毎に様々な手法を活用している筈です。
重要なのはこれらの手法を活用し、「効率的」かつ「説得力」ある査定を実行することでしょう。
そういう点からも、様々な査定手法を層別化し、体系化し、捉えることはバイヤーにとって役立つことです。

最後に、これは13の査定手法には入っていませんが、究極の査定手法について。それは「査定しないこと」です。
言い換えると「査定する必要がない見積を提出させること」でしょう。ある自動車メーカーの調達購買部門では、競合や査定は、能力のないバイヤーのやること、究極は「査定する必要がない」見積りが常に提出されるように、日頃からサプライヤとの関係を強化したり、見積り能力を高めたりすること、と言われています。

これはこれで理にかなったやり方と言えるでしょう。見積りや査定には正解なんてありません。実は本当のコストなんて、誰も分からないのです。コストの妥当性を評価する能力はバイヤーの機能・役割にとって必要ですが、それだけを持っていれば十分かというと、そうではないかも知れません。