伊勢新聞政経懇話会2月定例会が14日、三重県津市大門の都シティ津であり、ウォール・ストリート・ジャーナル東京支局長のピーター・ランダース氏が「ウォール・ストリート・ジャーナルが見る米大統領選挙」と題して講演した。ランダース氏は「アメリカ政治のトランプ化現象が起こっている」と述べ、既成概念を打破し続けるトランプ大統領のみならず、サンダース上院議員ら有力な民主党候補も過激な政策を打ち出し、一様に米国政治が“トランプ化”しているとの認識を示した。

 ランダース氏は「トランプ氏のツイッターの発言を日本語に翻訳してもあまり伝わらないが、原文はかなり過激」と述べ、日本人が思う以上に、米国社会が受けるトランプ大統領の衝撃度は大きいと強調。

 一例にロシア疑惑に絡み、検察の求刑に対し被告を擁護するツイートをしている司法制度介入問題に触れ、「これまでの大統領では考えられないことだが、それが普通になっている」と述べ、従来のワシントン政治の既成概念を破る「トランプ現象」が起きているとした。

 一方の11月の米大統領選に向けた民主党の候補者指名争いで、第二戦のニューハンプシャー州予備選で勝利した急進左派のサンダース氏について、「実は支持を集めるため、無理なことを提示するのはトランプ氏と同じやり方」と指摘。サンダース氏が主張する国民皆保険制度は実現性は低いと見られているが、これはメキシコ国境に壁を作ることを打ち出したトランプ氏と同じで、「イメージに訴える政治手法が似ている」と話した。

 初戦のアイオワ州で大躍進した38歳のブティジェッジ氏はワシントン政治との決別を訴え、政治経験の少なさをむしろ武器にしている。これも政治、軍経験が一度もなく初めて大統領に就いたトランプ氏が用いた手法だと指摘。

 本命視されていた中道派のバイデン前副大統領が失速する一方、今後、台風の目となりそうな来月のスーパーチューズデーから本格参戦する大富豪のブルームバーグ前ニューヨーク市長もトランプ氏と類似しており、「本来、大統領になれないような人物も有力候補となる。民主党もトランプ化している」と語った。

 日本の政治についても語り、安倍晋三首相がヤジ問題で野党から追及されているが、「トランプ大統領ほどではない」と強調。将来の首相候補と目される小泉進次郎環境相も自民党政治の中で段階を踏んでいるとし、「日本の政治は良くも悪くも安定しており、当面トランプ化しないのでは」との見方を示した。

 ランダース氏はニューヨーク生まれ米出身。AP通信東京支局記者などを経て九九年に同社入社、2014年から現職。TBS番組のゲストコメンテーターなど務める。