松阪市出身で、北海道の名付け親として知られる松浦武四郎の未刊の紀行本「自由訳 西蝦夷日誌七編」を刊行した井村屋グループ(本社・津市)の浅田剛夫会長が26日、県庁を訪れ、鈴木英敬知事に百冊寄贈した。浅田会長は「武四郎の偉業と歴史を少しでも多くの県民に知ってもらいたい」と語った。

 同書は松浦武四郎が北海道宗谷地方を中心とした日本海沿岸地域を探査した全七編の紀行本。六編までは既に出版されているが、最後の七編のみ未発表で、世に出されることはなかったという。川筋や沼、地名などが文字だけでなく絵でも描写され、旅の記録が詳細に記されているのが特徴。

 今回、七編の中に井村屋と関わりの深い豊冨町の記述があったことなどから、同社が現代語訳版を刊行することにし、取材・編集をたけしろうカンパニー(津市)が手がけた。井村屋が武四郎の著書を刊行するのは「十勝日誌」に続き二冊目。

 たけしろうカンパニーの下村友恵さんは「これまでの日誌と違い、描写は淡々としているが、どの場面も克明に記されている。少しのことも逃すまいと真剣なまなざしで筆を走らせる武四郎の姿が見て取れる」としている。

 この日、知事を訪問した浅田会長は「豊冨町は良質で美味な生クリームを提供していただいているセコマ社の牧場があり、大変素晴らしいところ。武四郎も訪れており、ご縁を感じた」と強調。浅田会長自身も現地を訪問したとし、「実際にこの地を歩いて探査した武四郎をぜひ多くの人に知ってもらいたい」と述べた。

 鈴木知事は「本は県立図書館や総合博物館、県立学校だけでなく市町図書館にも配置し、多くの人に読んでもらいたい」と話した。

 同書は2千冊作成。県内のほか、北海道などに寄贈するという。本に関する問い合わせは井村屋グループ経営戦略部=電話059(234)2146=へ。