「高級車の維持」などに1億円を流用した日本和装元社長、会長として辞任後3カ月で復帰

「高級車の維持」などに1億円を流用した日本和装元社長、会長として辞任後3カ月で復帰

 着付け教室を展開する日本和装ホールディングス(HD、東証2部)は3月20日、かつて私物のロールスロイスの維持費など計約1億1000万円を同社の資金から拠出し、責任を取って2018年10月に社長職、12月に代表取締役を辞任した吉田重久氏が代表取締役会長として復帰する同日付人事を発表した。

●「経営体制の一層の強化を図るため」

 18年10月から代表取締役社長を務めていた道面義雄氏は取締役社長となる。わずか約3カ月で吉田氏が復帰することに対し、日本和装HDの担当者は「経営体制の一層の強化を図るためであり、(復帰の)タイミングに特に意味があるわけではない」(総務人事部、以下同)と説明する。

 吉田氏が経営を退いていたことのデメリットや、今後経営面で強化したい点については「回答できない」、人事が決まったプロセスは「取締役会で決まったとしかお伝えできない」とした。

●ロールスロイスなどの維持費・税金は会社負担

 日本和装HDが18年10月に公表した資料によると、吉田氏は16年12月期〜18年12月期にかけて、私物のロールスロイスの維持費・自動車税・保険料として計181万3378円を会社に負担させていた。

 また、14年12月期〜18年12月期にかけては、私物のクルーザー船の維持費や係留料として計2312万2652円を負担させていた。

 一連の経費申請に当たっての稟議書には、事前に吉田社長や常務取締役らが押印し、決裁後に常務監査役、内部監査室が押印していたという。

●引っ越し代も会社負担

 さらに、吉田氏は10年12月期〜16年12月期にかけて自宅とは異なる物件を借りており、麻布十番から六本木、虎ノ門へと定期的に場所を移したが、その際に生じる敷金・引っ越し代金と、賃料を合わせた4911万366円を会社に負担させていた。

 16年12月期〜18年12月期には自宅の転居も定期的に実施し、田園調布・元麻布・日本橋に居住。その際の会社負担額は3526万7992円だった。

 一連の転居費用を巡る稟議は特別扱いとし、取締役会で正式な承認手続きは経ていなかったという。

 また、今回の人事で取締役社長となった道面氏も、17年3月に大阪から東京に転勤になった際の転居費用とその後の賃料計906万6200円を会社負担としていたことが分かっている。

 こうした事態が発覚したため、同社は18年7月に東証1部への指定替え申請を「内部管理体制の見直しが必要」との理由で取り下げていた。その後は、利害関係のない弁護士と社外取締役からなる特別調査委員会が調査し、吉田氏らに対し「公私の区別がついていなかった」などと指摘。これを受け、責任を取る形で吉田氏が経営から退いたのは前述の通りだ。

●上場企業としてふさわしいコンプライアンス管理はできるのか

 吉田氏の再登板により、資金流用が繰り返される心配はないのか。取材に対し、同社の担当者は「内部の詳しい体制はお知らせしていないが、引き続き再発防止策を構築している最中だ」と回答するにとどまった。

 ただ、同社が開示している資料には再発防止策の例が記されている。具体的には、(1)19年3月末の取締役会で付議して外部から管理本部長を招く、(2)コンプライアンスに関する研修を行う、(3)内部管理体制に関する業務フローを再検討する、(4)モニタリング体制を強化する――などを進めるとのことだ。

 大規模な私的流用に手を染めた人物が、退陣からわずか3カ月で復帰する異例の人事を発表した日本和装HDは、一連の改善策によって上場企業としてふさわしいコンプライアンス管理を実施できるのだろうか。

(取材・文:濱口翔太郎)


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