50万人突破のドコモポイント投資 裏技を封じテーマ投資を始める理由

50万人突破のドコモポイント投資 裏技を封じテーマ投資を始める理由

 資産運用の重要性がさまざまな形で叫ばれる中、その入口には数多くのハードルがある。運用口座の開設にマイナンバーの提示が必要であったり、ある程度の資金が必要だったりすることが、特に若年層にとっての障害だ。

 そんななか、ポイントを使って擬似的に投資を行えるポイント投資が人気だ。ドコモはdポイントを使った「ポイント投資」を約1年前の5月16日に開始。利用者数は50万人を超えた。

 「だいぶ調子がいい。事業計画の目標よりかなり上振れている」と、ドコモのスマートライフビジネス本部金融ビジネス推進部FinTech推進室の鈴木貴久彦FinTech担当部長は話す。

 1人あたり平均で1500ポイントを投資しており、これは実際のお金を運用するロボアドバイザーサービスに比べるとかなり少額だ。「まずはdポイントを使って投資に慣れ親しんでもらう。その点では大成功だと思っている」(ドコモFinTech担当の笠七菜実氏)

 約半数が「お金に関しての関心が向上した」とアンケートに答えており、46%が「ポイント投資の利用で、投資・資産運用を開始したくなった」としている。ポイント投資の好調が、ドコモがお金のデザインと組んで提供しているロボアドバイザーサービスTHEO+docomoの利用者増につながっている。「ユーザーの6割が、THEO+docomoの前にポイント投資をやっていた」と笠氏は言う。

 ただしポイント投資の好調さほどには、THEO+docomoは伸びていない。「順調という言い方はできる。ポイント投資は計画を上振れているが、同じくらいTHEO+docomoも伸びているわけではない。マイナンバー登録などのハードルが高い」(鈴木氏)

●テーマ投資の導入で狙うもの

 これまでのポイント投資では、株式の比率を上げた「アクティブ型」と債券の比率を高めた「バランス型」の2種類の投資先を提供してきた。いずれも、米国ETFに分散して投資するインデックス型投資だ。

 「投資というと、投機も一緒くたになって、仮想通貨やFXのように、丁か半かとなるのではないか、と思っていらっしゃる方が多い。ポイント投資は、バランス型とアクティブ型の2種類で、リスク幅はこのくらいだということを、まずは知ってもらうために始めた」(鈴木氏)

 6月24日に、特定の業界に絞って投資を行える「テーマ投資」を追加する。いずれもテーマに沿った世界の複数企業の株式に分散投資するもので、具体的にはお金のデザインと組んでETFを利用する。テーマは、SNSや通信などの企業を集めた「コミュニケーション」、医薬品などの「ヘルスケア」「生活必需品」「日経225」「新興国」の5種類だ。

 相場観や業界や企業に対する目利きの力がなくても、広く分散しつつ長期に投資することで、誰でも安定的なリターンを上げられるのがインデックス型投資の特徴だ。一方で、どの業界が伸びそうか? という予想が必要なテーマ投資は、考え方が少々異なる。なぜテーマ投資に踏み出したのか。

 「(これまでのポイント投資は)全世界型なので、何が原因で上がった、下がったかが分かりにくい。面白みに欠ける部分がある。1年間やってみて、そろそろ自分で考えて、これが原因で上がりそう、下がりそうと想像してもらえるのが、投資の面白さ。それを知ってもらうのにいい方法はないかと考えた」(鈴木氏)

 投資の面白さの一つとして、経済動向に敏感になることはよくいわれる。しかし現在のポイント投資では、何が原因で上下したのかは分かりにくい。全世界への分散投資のため、日経平均が上がってもポイント投資は下がることがあるし、米国の指数であるS&P500とも完全に連動しているわけではない。連動するETFがドル建てのため、為替の影響を最も受けている印象さえある。

 完全にお任せでほったらかしならばこれでもいいが、より投資を身近に感じてもらうには、異なったアプローチも必要だというのがドコモの考えだ。

 「一般の方は、株式です、債券です、分散投資といわれても、どういうものに投資しているのかなかなかイメージがわかない。テーマ投資では、自分たちが身近に恩恵を受けている企業が含まれるので、思い入れを持てるのではないか。理論的には、国際分散投資と、そんなに大きなパフォーマンスの違いは出ないと思うが、完全にお任せではなく選択肢を提示して、投資を身近に感じさせるきっかけにしたい」(ドコモの木村圭介アライアンス推進担当課長)

 ポイント投資ではテーマ型を提供するが、現金を投資する先としてのテーマ型は現状考えていないという。布石でもないと念を押す。

 「需要があれば(現金での投資サービスも)考えなければいけないが、一番重要なのはポイント投資の活性化だ。今後、THEO以外にもいろいろなパートナーシップを組んでいったときに、ポイント投資のユーザーは我々の大きな武器」だと鈴木氏は狙いを話す。

 検討時点では、テーマではなく個別株のほうがいいのではないか? という議論もあったという。ただし個別株と全世界インデックスの中間ということで、テーマ投資に落ち着いた。

 投資未経験者にとって最も始めやすい世界分散型のインデックス投資からサービスを提供したが、今後投資サービスを幅広く提供していくことを考えるドコモ。その最初のステップがテーマ型投資だということだ。

●ポイント投資の”裏技”は知っているが、そこへの対策ではない

 なお、テーマ投資と同時に、これまでリアルタイムだったポイントの出し入れを変更する。ポイントの追加(投資)は当日の14時までで、それが反映されるのは18時だ。

 ポイント投資は、前日のETFなどの成績を翌日17時に反映する仕組みだったので、これまでは成績を知ってからポイントの追加を行うことで、決して損をしないという”裏技”的な使い方がネットで話題になっていた。

 今回の反映タイミングの変更で、この裏技は実質的に封じられたことになる。

 「開始当初は簡単に使ってもらいたい。入金がすぐに反映されて、17時になったら(投資成績が)更新されるのが分かりやすい」(笠氏)という思いから、リアルタイム反映を実現していた。

 ここで反映タイミングを変更したのはどんな意図があったのか。

 「(裏技を)意識していないわけではない。それがあるのは分かっていたが、それに全部引きずられたわけではない。競合他社はさらに入出金タイミングが遅いので合わせた」(鈴木氏)

 もともとポイント投資は、現金を使ったTHEO+docomoの利用を促すための、教育的ツールの位置づけだった。ところが、ポイント投資が想定を超えてユーザー数を伸ばしたためか、18年12月にはTHEO+docomoを利用するとポイント投資の裏技利用にメリットが出る施策を打ち出した経緯がある。

 裏技を封印した今、ポイント投資の真価が問われることにもなる。


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