充実する駅ナカ、業者それぞれのあり方は?

充実する駅ナカ、業者それぞれのあり方は?

 最近、駅ナカの弁当販売が充実している。駅弁だけではなく、駅ナカにはさまざまな業者が弁当販売のお店を出し、長距離列車の利用客や、駅周辺のビジネスパーソンをターゲットにして販売活動を行っている。

 一方で駅弁業者も、駅ナカでの販売だけではなく、駅弁大会や百貨店内での販売にも力を入れている。大きな駅では美食にあふれ、どんな食べ物を選んだらいいか分からないほどだ。

●駅ナカが充実する東京駅

 東京駅は、新幹線などの長距離列車が発車するターミナルであり、乗車する前に食べ物を調達したいという需要の大きい駅である。そんな東京駅には、駅ナカに食べ物の販売店が多くある。

 改札内だけでも、「ecute」が2つ、地下には「GRANSTA」がある。そこでは弁当や惣菜、お酒などが販売されている。また、NREの駅弁売店や、崎陽軒の売店、全国の駅弁が集結する「駅弁屋 祭」といったものがある。

 もちろん、改札口の外にもさまざまなお店がある。

 かつて「東京駅の駅弁はまずい」などと言われていて、乗車前、特に寝台特急の乗車前には少し時間を取って一旦改札を出て、大丸の地下で弁当を買うことを勧めていた人たちもいた。しかし、いまでは東京駅の駅弁もおいしくなり、駅ナカにはさまざまなおいしい食べ物があふれ、一旦改札を出なくても満足できるようになった。

 改札を出て、というのはちょっと説明が必要かもしれない。東京駅から遠方へと向かうきっぷは、例えば「東京駅発」ではなく、「東京都区内発」ということになっている。阿佐ヶ谷や赤羽、亀有といった日常生活のあるエリアでも23区内ならば東京駅から乗ったのと同じ扱いになる。ただしいったん改札に入ると、東京駅で途中下車はできない。

 もし東京駅の大丸で食べ物を調達するとなると、いったん東京駅までのきっぷを買い(あるいは交通系ICカードで乗車し)、東京駅の改札を出た上で買い物をし、改めて「東京都区内発」のきっぷで改札を通り、列車に乗らなければならない。つまり、最寄り駅から東京駅までの運賃を余計に負担する必要がある。

 現在のように駅ナカ、特に改札内に美食があふれていると、そういったことの必要性がなくなってしまう。「ecute」「GRANSTA」それぞれに弁当店や惣菜店があり、一方で駅弁はNREが全国の駅弁を集めて販売する「駅弁屋 祭」を運営するようになり、改札内でおいしいものを調達できるようになった。

 「ecute」や「GRANSTA」は市中の有名弁当店などがテナントに入り、立地条件のよさもあるせいか、多くの人で賑わっている。「駅弁屋 祭」には店に入りきれないほどの多くの人が押し寄せ、弁当を買っている。名店の味か、各地の有名駅弁か。そこに東京駅の「チキン弁当」「深川めし」などの安くて長きに渡って支持されている駅弁も入ってくる。

 東京駅では、さまざまな食を調達することができ、それを長距離列車で楽しむことができるようになっている。

●駅ナカを充実させるJR東日本

 JR東日本は、鉄道会社でありながら、「駅」という立地条件のよさを生かして、ディベロッパーとしても存在感を示している。その中でも駅ナカ事業は、特に力を入れている事業である。交通の結節点である「駅」を商業施設として活性化させ、利益をあげようというのが、JR東日本としての考え方である。

 もちろん、ほかのJRや私鉄も、こういったことをやっている。しかし、JR東日本は民営化後、ディベロッパーとしての存在感を大きく高めてきた。

 高級スーパー「紀ノ国屋」を買収し、駅ビルや駅ナカに店舗網を拡大したり、大きな駅では駅ナカの大規模開発を行ったりしている。

 2005年には大宮駅に「ecute」を開業し、駅ナカ事業は本格化していった。品川や上野などにも大きな駅ナカ施設ができ、弁当、手土産になるようなお菓子、飲食などを充実させていった。鉄道事業だけではなく、そういった事業にも力を入れるようになり、利益を上げている。

 鉄道会社は、駅ナカにさまざまなお店を出すことで利用者の利便性を向上させるだけではなく、そこからも利益が上がるようになっている。お店は、利用者の多い駅に出店することで、売り上げや利益を向上させようとしている。

 つまり「駅ナカ経済」が、活性化しているのだ。

●駅にこだわらない駅弁業者

 一方の駅弁業者も、地域の駅だけで販売することにこだわっていない。ドライブインなどを出店する駅弁業者もあれば、東京や新宿、上野などにある各地の駅弁が集まるお店に出品している駅弁業者も多い。山梨県にある小淵沢駅の駅弁業者・丸政では、新宿駅で販売するための駅弁を作っている。

 また駅弁業者によっては、百貨店や商業施設での販売に力を入れるところがある。京王百貨店の地下食料品売り場では、数種類の駅弁が販売されている。横浜の崎陽軒は、神奈川県内や東京都内などの百貨店やショッピングセンターなどで「シウマイ弁当」を中心に弁当を販売している。

 もちろん、冬になると京王百貨店では「駅弁大会」が開かれ、多くの人が集まる。駅弁業者はその行事に合わせて新作を開発することも多い。

 駅の中にさまざまな弁当店が入って選択肢が増えていくだけではなく、既存の駅弁も販売網を各方面に広げている。

 「駅」に集まるおいしいものもあれば、「駅」からはばたくおいしいものもある。長距離列車に乗ってどこかへ行く人や、都心で働く人たちは、美食の拠点である「駅」を十分に活用してほしい。

(小林拓矢)


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