「CROWDFUNDING NETWORK Powered by ENjiNE」を提供するRelic(東京都渋谷区)は1月9日、Fun Japan Communications(東京都港区)と共同で越境購入型クラウドファンディングサイト「FUN! JAPAN 海外ネットショップ」を開始した。

 FUN! JAPAN 海外ネットショップでは、海外への発送業務や商品情報などの翻訳作業、顧客対応といった越境ECに必要となる業務を企業向けに提供する。これにより、コストやリスクを抑えて海外へのEC展開や、PRなどを行えるという。

 少子高齢化により国内市場が縮小していく日本において、企業の海外展開は避けて通れない道へとなりつつある。中でも越境ECは海外市場へと打って出るための有力な手段の1つとされる。一方、越境ECを行う上では現地でのマーケティング活動や、物流手段、決済方法といったハードルがあり、企業が進出しづらい領域でもあった。

 こうしたことを背景に、Relicはアジア地域で人気の日本紹介メディア「FUN! JAPAN」を運営するFun Japan Communicationsとタッグを結成。当初、サイト上では「日本刀をモチーフにしたハサミ」や「瓶の口に挿入するコルク型スピーカー」などを販売するという。

●クラウドファンディングがマーケティングチャネルに?

 日本においてクラウドファンディングは、2010年3月にオープンした寄付サイトの「ジャストギビング」を皮切りに、「READYFOR」「CAMPFIRE」などが続々参入。当初は「寄付」「資金調達」といった使われ方が多かった。ところが、初期費用があまりかからず、クラスタごとにピンポイントでマーケティングできることから、最近はクラウドファンディングを「マーケティング」として捉える企業が増えてきているという。矢野経済研究所によると、国内クラウドファンディングの17年度市場規模は約1700億円。18年度には2040億円ほどにのぼるとみられ、200億円ほどだった14年度と比較して、4年ほどで10倍ほどに成長している。

 クラウドファンディングでは一般商品のマーケティングではなく、珍しい商品を扱うケースも多い。例えば、社内の企画会議で通らなかった企画を「β版」としてクラウドファンディングに出品するケースだ。従来であれば、卸や代理店を通して小売店で販売するため、一定以上のコストがかかる。ということは、それなりに売り上げを期待できる商品でなければ、販売することは難しい。

 しかし、クラウドファンディングであれば、初期費用はほとんどかからない。さらに、定価をメーカー内で決めることもできるので、さまざまな試行錯誤もできるという。「当社のサービスを利用している企業の担当者は、『クラウドファンディング』ではなく『テストマーケティング』として捉えている」とRelicの大丸徹也COOは話す。

●クラウドファンディングに必要なのは「ターゲティング」

 大丸徹也氏は「商品企画のクラウドファンディングで1000万円が集まっても、なかなかその後で一般層に広がらず苦戦しているケースは多い」と話す。その背景には、そもそもクラウドファンディングを利用する人の属性にある。

 クラウドファンディングの利用者は新技術に興味関心を強く持つ、いわゆる「イノベーター」層に属する人が多い。そのため、クラウドファンディングには成功しても、その後までプロジェクトが継続して成功するケースが少ない。

 「さらに分解すると、クラウドファンディングの失敗は、そもそもプロジェクトに魅力がないというケースと、ターゲティングを誤っているケースの2パターンがほとんど。また、せっかくクラウドファンディングプラットフォームを立ち上げても、プロジェクトが少なく、盛り上がりに欠けるケースも多い」と大丸氏は話す。

 こうした失敗の分析を踏まえ、Relicが提供するクラウドファンディングプラットフォームは「ネットワーク」の形を取っている。いくつかの制約はあるが、Relicが提供するクラウドファンディングプラットフォームを使い、自社でクラウドファンディングを運営するA社が出品を受け入れた場合、同じくRelicのサービスを使うB社のクラウドファンディングプラットフォームにも出品できる。これにより、さまざまなプラットフォームに出品できるため、商品がどういったターゲットに適しているのかを容易にテストできる。また、それぞれのプラットフォームに商品が多く並ぶため、閑散としたイメージを利用者に与えることもない。

 このうち、Relicはクラウドファンディングのシステム手数料や売り上げにかかる手数料でマネタイズしている。売り上げに関する手数料は、クラウドファンディングのパターンに応じて集まった金額の10〜20%を出品者から徴収。Relicと運営者で分配する。

 Relicのサービスは、2016年11月に日本経済新聞社と始めた「未来ショッピング」を皮切りに、今や各地の新聞社が導入し始めている。各メディアが率先して導入する背景には、「どこよりも早く面白いネタをつかみたい」といった思惑もありそうだ。

 今回の越境EC展開に関して、赤木宏志氏は「日本国内でうまく展開できていたことを、海外でも試したい」と話す。当初は台湾への展開だが、今後は世界各国での展開も視野に入れているという。

【お詫びと訂正:2020年1月16日9時23分の初出で、「Relicのサービスは、2016年2月に日本経済新聞社と始めた」となっておりましたが、誤りでした。正しくは「2016年11月」です。1月16日19時、該当箇所を訂正し、その他の箇所についても一部修正を行いました。お詫びいたします。】