年度末に向け、何かと気ぜわしくなる季節。外出の合間に少しでも作業をしようと、カフェやワークスペースに足を運ぶ人も多いのではないだろうか。そこで気になるのがPCのバッテリー残量だ。「客先で充電が切れた」などというヘマをするわけにはいかない。近くに“電源カフェ”でもあればいいが、不慣れなエリアではそうした場所を探すだけで時間を取られてしまう。

 そんなビジネスパーソンにおすすめしたいのが、大容量モバイルバッテリーだ。最近はUSB Type-Cポートを通じて電源入力できる「USB Power Delivery(以下、PD)」対応のノートPCが増えていることもあり、スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスだけでなく、ノートPCへの給電を想定したモバイルバッテリーも増えてきた。

 今回は実際に筆者が使っているものを例に、出先で“電源難民”にならないためのモバイルバッテリーの選び方を紹介していこう。

 モバイルバッテリーを選ぶときに大切なのは、充電したいデバイスに適したものかどうかだ。例えば、筆者が現在愛用しているノートPCは、NECの「LAVIE Pro Mobile」だ。PD対応のUSB 3.0 Type-Cポートを搭載しているため、モバイルバッテリーもPD対応のものを選べばいいだろう。

 ちなみにLAVIE Pro Mobileのバッテリーのもちは「約20時間」となっているが、使い方や設定によっては、これを下回ることも多い。本来ならスリープ状態になっているはずのところで、CPUがフル回転していたこともある。「さあ使おう!」と出先でPCを広げたのに、電源が使えるのはあと1時間程度だった――なんてことになれば、話に集中できなくなってしまう。

 こうした事態を避けるためにも、気軽に充電できるモバイルバッテリーは欠かせない。電源のないカフェやスペースでも作業できるし、移動中にバッグ内でPCと接続しておけば、複数の客先を立て続けに回るときも安心だ。

 さて、肝心のモバイルバッテリーだが、一口にPD対応といっても、15W未満のものから100Wほどまで、出力電力はさまざまだ。選ぶときにはまず、自分が使っているPCが何W以上からの給電に対応しているかを確認しておきたい。LAVIE Pro Mobileの場合は、15W以上のPDに対応しているため、ほとんどのPD対応モバイルバッテリーで給電可能だ。

 ただ、ワット数は少し大きめのものを選びたい。ワット数がギリギリのものだと、ネットに接続したり、画像を編集したりしてCPUに負荷が掛かっているときに、給電が追い付かないことも多いからだ。スリープ中や電源オフの状態でしか、ノートPCの内蔵バッテリーを充電できない可能性がある。

 ちなみに筆者が使っているのは、「AlsterPlus」というドイツ製のモバイルバッテリーだ。容量は2万7000mAh。海外のクラウドファンディングサイト「Kickstarter」で手に入れたが、現在は国内でも「TokyoMac x MacPerfect」というECサイトから購入できる。

 AlsterPlusの最大のポイントは、モバイルバッテリーとしてはもちろん、USBハブとしても使えるところだ。最大100WのPD対応USB Type-Cポートを2つ備えるだけでなく、QC(クイックチャージ)3.0対応のUSB Type-Aポートも2つ搭載。ノートPCやスマホ、タブレットなどを電源ボタン近くにあるUSB Type-Cポートにつなぎ、余っているポートにキーボードやマウス、外付けストレージなどをつなげて使うことができる。

 PD対応のノートPCは増えてきているが、中にはUSB Type-Aポートを搭載していないものもある。代表的なものでは、MacBookシリーズ、DELL XPSシリーズなどだろうか。他にも、モバイル性を重視してUSBポートを少なくしているノートPCもある。そうした端末を持っている場合は、ハブ機能は重宝することになるだろう。

 他にも、ダンボーバッテリーでおなじみのcheeroからも、PD対応モバイルバッテリーが多数発売されている。

●USB Type-Cポート非搭載のPCの場合は?

 まずはPD対応のUSB Type-Cポートを搭載したノートPC向けのモバイルバッテリーを紹介したが、会社から支給されているPCは、専用のAC電源が必要なタイプが多いだろう。MicrosoftのSurfaceシリーズも、最新シリーズならUSB Type-Cポートを搭載しているが、「Surface Pro 6」や「Surface Book」はAC電源が必須だ。こうしたPCを使っている場合は、ACプラグを差し込めるモバイルバッテリーを選びたい。

 筆者もLAVIE Pro Mobileを買う前は、AC電源必須なMacBook Air(13-inch, Mid 2013)を使っていたため、ACコンセント付きのモバイルバッテリーを重宝していた。それが米国のポータブル電源メーカー・Jackery(ジャクリ)の「PowerBar 83Wh」だ。

 Barという名前の通り、ずんぐりとした棒状のモバイルバッテリーで、正方形の側面の片側にACコンセント、他方にデジタル表示インジケーター、電源ボタン、USB Type-Cと、2つのUSB Type-Aを搭載している。

 AC出力は瞬間最大で100W(通常は85W)。USB Type-Aポートのひとつは最大18W出力のQC3.0に対応しており、電力入力ポートを兼ねているUSB Type-Cでも最大15Wで出力可能。

 サイズは160(幅)×65(奥行き)×65(高さ)ミリで、重さは約730グラム、容量は2万3200mAh。荷物はなるべく軽くしたいが、電力もできるだけ多く確保したいという人にはおすすめのアイテムだ。

 他には、サンワダイレクトの「700-BTL035」もおすすめ。2万2800mAhの容量を持ち、最大65Wで出力できるACコンセントを備えている他、合計で最大2.4Aの出力ができるUSB Type-Aポートも2基搭載。これひとつあれば、AC電源の必要なノートPCもモバイルデバイスも充電できる。難点は、約900グラムとやや重いところだろうか。

●購入時に押さえておきたい4つのポイント

 最後に、モバイルバッテリーを選ぶポイントを改めて整理しよう。

・出力方式: 手持ちのノートPCの充電規格を確認しよう。どんなに高出力なUSB Type-Cポートを搭載したモバイルバッテリーでも、AC電源からしか充電できないノートPCには使えないからだ。「こんなはずではなかった」と後悔する前に、しっかりと確認しよう。

・出力ワット数: 15W以上であれば給電可能なノートPCもあれば、30W以上でないと受け付けないものもある。自分の使っているものが何ワット以上の電力出力のものを受け付けるかをあらかじめチェックしておきたい。

・容量: さほど電力が必要ない人であれば5000mAhほどで良いかもしれないが、一日の大半を外で過ごすなら2万mAhほどあると心強い。筆者が使っているAlsterPlus(2万7000mAh)も、出先で4時間ほど使うと半分ほど減ってしまう。その分、ノートPC本体のバッテリーは消費していないので、スペック通りならあと20時間ほどは使えるのだが……。

・サイズ感: 同じ容量でもコンパクトなものの方が、当然荷物は減らせる。かばんの大きさや、使う人の体力や体格にもよるが、持ち運んでも負担にならないサイズのものを選びたい。

 もちろん「わざわざモバイルバッテリーまで持ち歩かなくても……」と思う人もいるだろうが、毎回電源がある場所を探し回る手間や時間を考えれば、多少荷物が重くなるのを承知でモバイルバッテリーを追加するのも1つの手ではないだろうか。ACアダプターの代わりにモバイルバッテリーを持ち歩くという選択肢もある。忙しいビジネスパーソンだからこそ、ワークスタイルに合わせた“電源問題”対策を考えてみてほしい。