楽天は2月13日、2019年12月期通期決算発表会を開いた。発表会に登壇した三木谷浩史社長は、10日に公正取引の立入検査があった楽天市場の送料に関する施策にも言及した。

 19年12月期の売上高に相当する「売り上げ収益」は前期比14.7%増の1兆2639億円。営業利益は、同57.3%減の727億円。純損益は318億円の赤字となった。赤字となるのは11年度以来8年ぶり。「投資フェーズビジネス」として挙げる「モバイル」「物流」への先行投資が負担となった。その一方でモバイル事業については光明が見え始めた。遅れているとされていた基地局の設置は20年2月時点で3301局まで到達。3月には4400局まで増設する見込み。4月にはサービスの本格開始を予定しており、料金体系は3月3日に発表するとした。

 3月18日に開始予定で、波紋を広げている楽天市場内の送料に関する施策では、新たな動きがあった。

 楽天市場ではこれまで、送料の設定を出店者の裁量にゆだねていた。一方、送料別として商品価格を著しく低く設定する出店者が登場。楽天市場では商品を検索し「価格が安い順」でソートすると、「送料込み」の商品(A)と「送料別」の商品(B)が一緒にソートされる。Aの場合は送料込みの価格でソートされるが、Bの場合は送料を含まない、商品価格でソートされる。そのため、送料を別にして商品価格を低く設定したBの方が上位に表示され、集客を見込みやすい。そして、その分の価格を送料に転嫁し、送料で“利ざや”を稼ぐという手法を楽天は問題視している。つまり、一見すると競合店より安いように見えるが「送料を加えると実は他の店よりも高かった」というケースで、実際にユーザーからも批判が高まっていると楽天は主張する。

 そこで、ユーザーにとって分かりづらくなっている「楽天市場上の価格表示」を改めることを狙いとし、税込3980円以上になる購入については「送料込み」の価格で表示するよう出店者に義務付ける「送料無料ライン」の導入を決定。3980円以上の購入については別途送料がかからないため「送料無料」という表現を使っていた。ただ、「無料」という表現が当初の狙いを外れて“独り歩き”してしまったとして表現変更に至った。今後は施策について「商品価格の合計のみを支払い、追加で別途送料を支払う必要はないもの」と定義して「送料無料ライン」という表現を「送料込みライン」へ改称する。

 導入まで残り1カ月近くなったこの時期の“方向転換”。何が何でもやる、と強気だったスタンスを変えた背景には公正取引委員会の存在もある。楽天は7日に、公取委から送料無料に関して調査開始した旨の連絡を“受領”したと発表。続いて、10日には立入検査があったとも発表した。三木谷社長は「(公取委の影響は)あったかなかったかでいえば、あった」と話し、今回は新たに送料施策によって楽天市場から撤退する事業者には経済的な支援などを行うと発表した。

●三木谷社長「公取は理解していない」「影響あるのは8%」

 楽天の発表では、公取委からの調査通知で関係法条として「独占禁止法第19条(同法第2条第9項第5号)」の提示があったとしている。同法条は、自らの立場を利用し、商習慣に照らして不当な行為などを行ういわゆる「優越的地位の濫用(らんよう)」に関するものだ。公取委は楽天が送料無料を出店者らに強いる施策だと判断し、問題視したとみられる。しかし、あくまで価格表示を是正するという観点から「価格をわれわれの裁量で左右しているつもりはないし、優越的地位の濫用には当たらない」と三木谷社長は重ねて主張。「時代の流れはフリーシッピング(送料無料)。こうした消費者の流れを、必ずしも当局が理解しているかというと、そうは思えない」と“三木谷節”も披露した。

 また、楽天側のデータによると、既に送料を無料(=送料込みの商品価格)としている商品の注文は、楽天市場全体の8割を占めるという。残りの2割から、出店者らの意見をヒアリングした結果に施策対象外とした商品や地域を除外すると、“送料無料化”で影響を受ける注文は全体の8%だと主張した。

 Amazon追随のためにも必要なピースである、今回の施策。開始予定まで残り1カ月ほどとなったが、どのような結末を迎えるのだろうか。