2018年10月の設定から約2年半で、純資産額が計4427億円まで増加した日興アセットマネジメントの「グローバル3倍3分法ファンド」(3倍3分法)。1年決算型と隔月分配型を合計した純資産で見ると、国内ファンド全体でも14位まで躍進した。

 最大の特徴は、債券とREIT(不動産)と株式をバランスさせながら、先物を使ってレバレッジをかけ、3倍の運用額を実現している点だ。レバレッジ型バランスファンドの先駆けであり、その後、各社からレバレッジを用いたバランスファンドが登場している。

 今回、その日興アセットマネジメントから、レバレッジ比率を5.5倍まで高めた「グローバル5.5倍バランスファンド」(ゴーゴー・バランス)が登場した。2月12日に設定され、3月23日時点で約38億円の純資産となっている。3倍3分法との違いはどこにあるのか、またコロナショックによる基準価格への影響はどうなのか、商品を開発した有賀潤一郎部長に聞いた。

――グローバル5.5倍バランスファンド(ゴーゴー・バランス)では、さらにレバレッジ比率を上げた。どのような違いがあるのか。

有賀氏(以下有賀) グローバル3倍3分法を出してから、「もっとリスクテイクしたい」という声もあり、リスク許容度の大きい投資家がいることは分かっていた。ゴーゴー・バランスでは3倍3分法よりも、リスクを取れる投資家に買ってもらうことを目指している。

 3倍3分法は、リスクが株式のファンドより低めになることを想定していた。ゴーゴー・バランスは、株式ファンドと同じリスクまで取れる人に向けている。どちらも、リスクあたりのリターンは、だいたい同じくらいになるように設計している。

――ゴーゴー・バランスでは、株式、債券、不動産に加えて、新たに金を入れ込んだ。

有賀 3倍3分法のレバレッジ比率をそのまま増やすことはできない。例えば日経平均指数のレバッジでも2倍から3倍にすると、いろいろと効率が落ちやすい。リスク・リターン効率を落とさずに、リスク量を増やそうとすると、分散を増やさないといけない。金は株やREIT(不動産)、債券との相関が低いので、分散効果としては非常にいい。さらに、金にも長期的なリスク・プレミアム(リスクに対するリターン)があるという前提だ。

――5.5倍というレバレッジ比率を設定した理由は?

有賀 ゴーゴー・バランスでは株式の代替でありたいという思いもあったので、まず株式比率が100%相当になるようにした。その上で、3倍3分法と同様に、「株式とREIT」と「金と債券」のリスクが釣り合うよう大まかなリスクパリティを取った。これ以上レバレッジ比率を上げると効率が落ちるという比率だ。

 先物の証拠金の積み増しや、投資家の解約に備えた資金繰りの制約もある。現金(外貨を含む)と日本国債の合計保有比率は75%程度をめどとしている。

――組み込む資産のリスクを同量にするというリスクパリティの考え方を教えてほしい。

有賀 リスクパリティというと、市場の値動きによるリスクの増減によって組込比率を変えていくというイメージがあるかもしれないが、3倍3分法、ゴーゴー・バランスともに、基本となる資産配分を決めるにあたって、リスクパリティの考え方を用いた。

 各資産のリスクが変動しても、定期的にリバランスを行うことはしていない。一定のレンジをはみ出したら元に戻す運用だ。現在、市場が荒れているためリバランスは起こっているが、厳密さはあまり追い求めていない。

――株式や債券の国際分散について、3倍3分法では投資先の地域の比率を同率にした。ゴーゴー・バランスでは比率を変えている。

有賀 債券でいうと、3倍3分法では日本、米国、ドイツ、英国、豪州に5分の1ずつ投資していた。ゴーゴー・バランスでは、実際の市場を再現するように、米国、日本、イタリア、ドイツ、英国に比率を変えて投資している。先進国の国債市場をトレースする形だ。10年ものだけでなく、2年や30年ものも組み込んでいるが、デュレーションは約8年。3倍3分法でも同じくらいになっている。

 株式は(全世界の株式指数である)MSCI ACWI指数を参考に、国際分散比率を変えて、市場平均にそろえている。3倍3分法に比べると、日本株式の比率が減り、ジャパンバイアス(投資家が自国の株式比率を増やす傾向にあるというバイアス)がかかっていない。

――販売会社がネット証券中心に増えた。SBI証券、マネックス証券、楽天証券が既に取り扱っている。

有賀 ゴーゴー・バランスは非常に待ち望まれていた。2月12日に設定して、すぐにこれだけの販売会社に入ってもらっている。

――コロナショックによって、直近の基準価格高値から大きく下げている。見方によっては米国株価指数よりも下げが大きい。

有賀 3倍3分法ファンドもゴーゴー・バランスも、株式と先進国国債(先物)の逆相関に期待して設計している。一方で、金利の引き上げをきっかけとして株式市場が下落するような場合や、今回のように株式市場の下落時に合わせて国債の供給増(増発)が予想される局面では、短期的に同じ方向に動く場合もある。

 それでも、3倍3分法では運用額が巨大な割に、短期的な解約が少なく、持っていただいているありがたい状況だ。

 この相場になっても、究極の分散投資を目指している。株式REITと、債券と金がそれぞれの天秤(てんびん)に乗っている感じ。それぞれが打ち消し合う期待だ。3倍3分法もゴーゴー・バランスも、積立投資や長期投資をイメージして設計してきている。リスクを取れる、取り続けられる、引き受けられる投資家には、長期投資の対象として見ていただきたい。