企業の経費精算クラウドサービスを提供するマネーフォワードが、従業員の立替経費の精算金を、銀行振り込みの代わりに電子マネーで送金できるサービスの提供を始める。企業側にとっては、振り込み手数料を削減でき、従業員側には精算の頻度が増すメリットがある。

 「経費精算の振り込みは、最高で1件あたり700円くらいかかるケースもある。それが10分の1くらい、少なくとも半額以下にはなる」。マネーフォワードのクラウド経費本部 今井義人本部長は、立替経費支払がキャッシュレス化するメリットをこう話す。

 対応する電子マネーは、みずほ銀行の「J-Coin Pay」、メタップスのグループ会社pringが提供する「pring」、そして「LINE Pay」(5月下旬予定)だ。いずれも、企業および従業員側が各送金サービスと契約する必要がある。

 他の経費精算クラウドサービスでは、ラクスが提供する「楽楽精算」がpringに対応。またコンカーはPayPayへの対応を発表している。LINE Payへの対応は、マネーフォワードが初めてだ。

●ペイロールカード解禁の前哨戦

 現在、給与を電子マネーで支払えるようになる規制緩和、いわゆるペイロールカード解禁の議論が進んでいる。一方、経費精算における立替経費については給与に該当しないという認識が一般化してきており、企業が電子マネーで支払う動きが出てきている。これは「ペイロールカード解禁に向けて、その前哨戦だ」と今井氏。

 電子マネーで支払うことで、企業側はコストを削減できる。企業によっては振込手数料を削減するため給与と合算して振り込んだり、振込手数料が安くなる特定の銀行口座を指定したりする場合もあった。銀行振込と違い、管理画面上でワンクリックするだけで送金が完了し、オペレーションも容易になる。電子マネーで精算できれば、経費精算の頻度が向上するというユーザー側のメリットも期待できる。

 ユーザー側が、現金ではなく電子マネーでの経費精算を受け入れるかという課題もあるが、マネーフォワードの事前調査によると比較的寛容なようだ。「ユーザーが受け入れてくれるケースはけっこうあるのではないか。クラウド経費を利用している企業の10%くらいが、電子マネー精算に移行することを想定している」(今井氏)

 立替経費の構造的な課題は、現金支払いと紙の領収書を使うため、従業員による不正が起こりやすいことだといわれている。現金を介さず、経費の立替から精算まで電子マネーで完結できれば、不正を防止できることも期待される。

 「LINE Payで経費を精算したら、その従業員は経費の立替にもLINE Payを使うようになる。経費精算システムと決済明細の連携が進めば不正も減る」と、今井氏は将来のエコシステムへの期待を話した。