文藝春秋は7月1日、自社刊行の「週刊文春」2020年上半期の実売部数が、前年同期比104.4%だったと発表した。

 期間中、最も売り上げたのは6月18日号「佐々木希、逆上 渡部建<アンジャッシュ>『テイクアウト不倫』」で41万9265部。2位が3月26日号「森友自殺<財務省>職員遺書全文公開『すべて佐川局長の指示です』」で40万8249部、3位が5月28日号「黒川弘務検事長は接待賭けマージャン常習犯」で35万9560部と続き、いずれの号も「完売」となった。

 完売を受けて、3月26日号の記事は文春オンラインで全文公開している(文藝春秋が「週刊文春」完売号のスクープ記事を全文無料公開 森友自殺職員の遺書も参照)。月別の実売部数では、多くの書店が休業した4月期も前年同期比100.4%、5月期が同111.2%、6月期が同112.9%と推移した。

●定期購読も急増 1万2000部に迫る勢い

 この間に定期購読も急増した。1月からの新規の定期購読契約数は7000部を超え1万2000部に迫っている。週刊誌はこれまで全体部数に占める定期購読の割合が多くなかったものの、同社は急増の原因を(1)新型コロナウイルスの影響で書店での購入が難しい時期があったことや、(2)19年末から実施している富士山マガジンサービスの定期購読キャンペーン、(3)読者の手元に雑誌が届くまでの時間を短縮した流通の改善などがあるのではないかと分析している。

 同紙の加藤晃彦編集長は「下期も、素晴らしいスクープ、連載、グラビアをお届けできるよう編集部一丸となって精進いたします」とコメントしている。

●「紙の出版物」が苦戦するなか“スクープ連発”で好調

 出版業界の調査・研究機関である全国出版協会・出版科学研究所(東京都新宿区)によれば、2019年の紙の出版物(書籍・雑誌合計)の推定販売金額は前年比4.3%減の1兆2360億円で15年連続のマイナスとなっている。また、今年に入ってからも流通業界の専門誌「商業界」が東京地裁より破産手続き開始決定を受けるなど、紙の出版物は苦戦を強いられている。

 新型コロナウイルスの影響で多くの書店が営業を取りやめる逆風下にもかかわらず、「文春」は独自のスクープを取り続けることによって昨年を上回る部数を売り、好調が続いている。(今野大一)