三菱地所は9月17日、東京駅前の常盤橋地区に高さ390メートルの超高層ビルなどを建設するプロジェクトの概要を発表した。街区の名称は「TOKYO TORCH(トウキョウトーチ)」。日本一の高さとなるビルに展望施設を設置するほか、低層部を中心に、ポストコロナ時代を見据えて約2万平方メートルの屋外空間を整備する。東京の玄関口の新しいシンボルとして、2027年度の全体開業を目指す。

●超高層ビルには350メートル超の展望施設

 再開発計画のコンセプトは「日本を明るく、元気にする」。同日開催した発表会で、吉田淳一社長は「グローバル競争の激化、災害の深刻化など課題は山積し、不透明性と不確実性が高い時代。さらに新型コロナの影響で停滞感が広がっていると感じる。そういった時代だからこそ、あえて明快で分かりやすいコンセプトを掲げた」と説明。日本を明るく照らすたいまつのような存在として「TORCH」と名付けた。全体の総事業費は約5000億円を見込む。

 今回発表したのは、プロジェクトの目玉となる超高層ビル「Torch Tower(トーチタワー)」を中心とした街づくりの概要だ。トーチタワーは高さ約390メートル、地上63階建てとなる。東京都港区で森ビルが建設している、23年完成予定の約330メートルのビルを超え、日本一の高さとなる。

 トーチタワーにはオフィスのほか、国際級ホテル、大規模ホール、商業施設などを整備する。地上から高さ350メートルを超える62階と屋上には、屋外空間併設の展望施設を設置。東京の都心を眼下に、富士山を見ることもできる眺望だという。また、外から見ても目立つ57階のホテルロビー階は、外気を取り入れるデザインとなっており、緑と風を感じることができる空間となる。

 3〜6階には約2000席を備える大規模ホールを設置。執行役員 常盤橋開発部長の茅野静仁氏はホールについて、「芸術・文化の発信はもちろん、都心型のMICE(国際会議などのビジネスイベント)の中核となる機能を持たせる」と説明。トーチタワーの国際級ホテルや周囲のMICE施設と組み合わせて、国際的なビジネス拠点としての利便性を高める。

 商業ゾーンは、飲食店とエンターテインメント施設を中心に整備。銭湯発祥の地ともいわれる常盤橋ゆかりの温浴施設「常盤湯」や横丁空間なども設置し、多様な施設を展開する。

●1階から8階へ、空中散歩道を整備

 総面積約2万平方メートルの広大な屋外空間の整備にも力を入れる。コロナ禍を経て、当初計画よりも整備面積を拡大した。

 トーチタワーと、隣接する「常盤橋タワー」(21年6月完成予定)の間には、約7000平方メートルもの広場を整備。また、トーチタワーには、1階から8階へと続く約2キロの空中散歩道(約5000平方メートル)を設置する。散歩道の先には、ホールの屋上があり、そこにも約2500平方メートルの庭園を整備。ビルで働く人たちがアウトドアオフィスやリフレッシュの空間として使うことを想定している。

 就業者向けの施設やサービスは、屋内でも充実させる。常盤橋タワーには、就業者向けのカフェテリアやカンファレンスルームなどの共用スペースを2フロア整備。また、就業者専用アプリによって、カフェテリアの席予約や注文、カンファレンスルームの予約、エレベーターの行き先予報などのサービスを提供し、快適にオフィスを利用できる環境を整える。また、多様な通勤手段への対応として大規模駐輪場を整備し、自転車通勤もしやすくする。

 トウキョウトーチでは、日本全国の地域の魅力を発信する取り組みにも力を入れる。すでに、錦鯉の産地として知られる新潟県小千谷市と連携し、「錦鯉が泳ぐ池」と同市のPRゾーンの整備を進めている。また、静岡県裾野市との協業で、軽量薄層緑化システムを活用した緑化空間も整備。「日本全国のコンテンツを体験できる場」(茅野氏)へと発展させる計画だ。

 吉田社長は「日本の国際競争力が低下する中、新しい価値を生み出さなければならない。世界の人々が『来てみたい』と思うものが必要。日本の“新名所”として、いろいろな機能を盛り込みたい」と意気込みを語った。ビルの高さだけでなく、ビジネスや観光、地域活性化など、さまざまな機能において、日本を代表する存在として幅広い層から親しまれる街を目指す。