帝国データバンクは、2020年1月から12月におけるラーメン店の倒産数を調査した結果を発表した。調査によると、20年の倒産件数は46件となり、19年の36件を上回って過去最多を更新した。倒産が年間40件を超えたのは20年が初めて。

 20年は新型コロナウイルスによる緊急事態宣言の発出や外出自粛の広がりで、外食産業は軒並み経営環境が悪化。国内で新型コロナの感染が拡大した3月から9月は、家計の外食支出額が前年を下回り、特に4月は前年比6割減まで落ち込んだ。ラーメン店でも「長浜将軍」(福岡市)が4月に閉店するなど、新興店からチェーン店まで大きな打撃を受けた。

 厳しい状況のなか、「GoToイート」キャンペーンの実施やテークアウトサービスの拡大によって、一部業態では需要が回復した。しかし、麺類業態全体は苦戦を強いられていて、その中でもラーメン(中華そば)は3月以降前年を下回る水準で推移している。

 主な要因として、オンライン予約などに対応していないため「GoToイート」の恩恵が受けられない店舗が多かったことが挙げられる。また顧客が、密になるような狭小の店舗での飲食を敬遠したことも一因にあるようだ。

●上場するチェーン店4社が減収や赤字を予想

 大手ラーメン店でも業績は厳しく、上場するラーメンチェーン店のうち4社が20年度決算の前期比減収および経常赤字を予想した。日高屋は上場以降初めて、当期純利益が赤字に転落。幸楽苑も通期で前年比2割超の大幅減収となる見通しとなっている。個人店・大手チェーン店問わず、顧客の「ラーメン店離れ」が続いている状況だ。

 一方でグルメサイト「ホットペッパー」の調査で、デリバリーやテークアウトを除いて食べたい「外食」1位にラーメンが選ばれるなど、ラーメン自体の人気は依然高い。今後は顧客のニーズをいかにしてすくい、販売につなげるかが課題といえる。

 緊急事態宣言が発出されている地域では、飲食店の営業時間時短要請が出るなど、依然として飲食業界は厳しい状況に追いやられている。そこで、店内飲食を前提とした店舗運営から、デリバリーやテークアウトへ業態転換する、Eコマース事業を拡大するなど、新たな販売チャネルの開拓が鍵となる。

 ただ、ラーメン業界全体の特徴として低価格・薄利多売経営があり、販売チャネルを増やすこと自体が大きな負担となる店舗も少なくない。限られたリソースのなか、脱店舗運営の「新・ラーメンビジネス」をいかにして確立するかが、21年のラーメン業界の先行きを占う重要なテーマとなる。