独立開業支援を行うアントレ(東京都港区)は、20代から60代までの脱サラ経営者551人を対象に、コロナ感染拡大の経営への影響や、独立時の状況、独立前の副業などについて実態調査を実施した。

 会社員や前職に戻りたいと考える経営者は前回調査(2018年)からは2倍に増えたが、全体では15.7%にとどまり事業継続に意欲的な様子がうかがえる。業種別では「飲食サービス業(28.6%)」「理美容・エステ(25.0%)」「小売業(23.8%)」と、特に新型コロナの影響を直接受けやすい業種で前職に戻りたいという意見が多くみられた。

 新型コロナ感染拡大の業績への影響については、8割(79.3%)がマイナスの影響を受けていることが明らかになった。一方で、新型コロナウイルス感染対策で実施したことに関する質問では「未対応」が最多の36.0%だった。次いで「公的機関の給付金の活用」「感染予防対策」「公的機関の助成金の活用」と続き、支援制度の活用が目立った。独立2〜3年未満の経営者においては「設備投資の中止・延期」「採用計画の見直し」など投資計画を再設計する動きがみられた。

 感染拡大をきっかけに事業や業態転換まで取り組む企業は3割にとどまったが、独立2〜3年未満の経営者では7割に及んだ。「既存商品・サービスで提供方法を見直し」や「新しい販売経路や取引先を開拓」などに取り組むことで、事業継続を目指しているようだ。

●脱サラを決意した理由 トップは?

 脱サラ経営者が独立を決意した理由のトップは「もっと自分の自由になる仕事がしたかった(41.6%)」で、前回調査から3割増えた。「家で仕事がしたかった」も2割(19.5%)と高く、収入増よりも働く条件に魅力を感じている心情が見て取れる。

 また独立時の不安については「十分な収入が得られるか(60.0%)」が最多だった。「生活していけるか(51.0%)」「仕事が軌道に乗るか(46.7%)」など先の見えない将来に対する不安もうかがえる。

 独立初年度の年収については「300万円未満」が最も多かった。独立後すぐに収益を伸ばせる人は少なく、軌道に乗るまでは独立前より年収が下がる傾向にある。

 独立検討時にしておけばよかったと思うことは「自分と同じ環境、状況の人との交流(20.7%)」「同じ分野、業態の先輩との交流(15.3%)」「融資・助成金の知識習得(14.2%)」の順となった。

 独立前の副業については3割(26.3%)が経験していて、独立3年未満の経営者においては約半数(45.5%)が副業経験者との結果になった。そのうち6割(59.8%)は「副業していたことが独立に生かされた」と回答した。

 独立後の仕事の変化については「自分の裁量で仕事をすることが増えた」が7割だった。また、約半数(46.7%)が「仕事の成果を人から評価される機会が増えた」と感じている。自由に仕事ができる一方で、成果を人から評価される厳しさも受け止めていることが分かった。

●半数がリモートワークなどの在宅型を導入

 働き方については、脱サラ経営者のうち半数がテレワーク、リモートワークなどの在宅型を導入(予定も含む)と回答。独立3年未満の経営者では7割と、独立まもない経営者を中心として「在宅型」の選択が増えている。

 人間関係の広がりについては「仕事を通じた知人が増えた(41.2%)」が最多で、次いで「仕事で気の合う人・好きな人と会う機会が増えた(28.7.%)」と交友関係の広がりを実感する声が多くみられ、独立により新しい人脈が増えている傾向があった。

 一方で、独立1年未満の経営者はコロナ下で人脈形成が進まないこともあり「仕事を通じた知人が増えた」と回答した人は、2割(20.0%)にとどまった。