ソフトバンクが5月11日、2019年度通期の決算説明会をオンラインで開催した。売り上げは前年から30%増となり、コンシューマー、法人、流通、ヤフー・その他の全てで増収。営業利益も前年から27%増を記録した。

 コンシューマー事業のモバイルとブロードバンドのサービスについては、2019年10月から施行されている改正・電気通信事業法の影響で端末の売り上げは減少したが、売り上げは前年比4%増に。宮内謙社長は、ソフトバンク、Y!mobile、LINEモバイルのマルチブランド戦略が引き続き順調に進んでいることをアピールした。

●約9割がソフトバンクの「メリハリプラン」に満足

 ソフトバンクは2020年3月から新たな大容量プラン「メリハリプラン」を提供。同社のユーザー調査によると、メリハリプランに変更した91%のユーザーが「満足した」と答えており、「情報変更や機種変更の際に、ほぼメリハリプランに変更している」と宮内氏は手応えを話す。

 ケータイからスマホの乗り換えユーザーを対象に、12カ月は月額980円とする「スマホデビュープラン」も、「家で過ごす時間が増え、多くの方々からスマホに変えたいという人が増えている」(宮内氏)ことから、2019年6月までの旧プランと比べて倍以上の伸びだという。

 Y!mobileは月間3GB、9GB、14GBのプランを2019年10月から提供しており、ソフトバンクとY!mobileの両方を扱うショップは全国で約1800店にまで拡大。これは2年間で1.5倍伸びたという。自社調査ではY!mobileの料金プランには94%が満足と回答しており、2019年度でスマートフォンの累計契約数は500万を突破した。

 さらに安いLINEモバイルは「小容量だけどSNSを中心に使うお客さんにミートした」と宮内氏。自社調査の満足度は93%、スマートフォンの累計契約数は、2018年にソフトバンク傘下となってから2倍超となった。

 ヤフーやPayPayとの連携も積極的に進めていく。ソフトバンクの新規契約でPayPayボーナスライト1万円相当をプレゼントする他、ソフトバンクユーザーならPayPayモールで買い物をすると最大20%還元をするといったキャンペーンを展開している。こうした施策により、PayPayがソフトバンク契約の動機になり、ソフトバンク限定のキャンペーンによって既存ユーザーの満足度向上につながるとしている。

 ソフトバンク、Y!mobile、LINEモバイルのスマートフォン累計契約数は2413万件に達し、2018年度から205万件(9%)の純増となった。また、スマートフォンの解約率は過去最低の0.7%まで下がった。

●5Gサービスの契約数は非公表

 通信トラフィックは2017年度から2019年度にかけて倍増しており、「基地局を常に増設している」と宮内氏。また(基地局のアンテナを最大128本まで増やして、ユーザーごとに専用の電波を割り当てる)Massive MIMOを活用することで、トラフィックが増えても対応できる強いネットワークを実現していると同氏は自信を見せた。

 3月には5Gの商用サービスを開始したが、ソフトバンクの強みは全国約23万箇所の既存LTE基地局を活用することと、LTE時代から蓄積してきたMassive MIMOのノウハウがあることだと宮内氏は言う。またKDDIと合弁会社「5G JAPAN」を立ち上げ、5Gの地方展開も進めていく。

 ソフトバンクの5G基地局は2020年度末までに47都道府県で1万局超、2021年度末までに人口カバー率90%を目指す。2021年度中には、5Gのみでネットワークを運用するSA(スタンドアロン)方式の通信をスタートさせ、5Gの特性である超低遅延や多数同時接続に対応していく。

 なお、現時点での5Gサービスの契約数は非公表だが、榛葉淳副社長によると、想定内のペースだという。

●5G基地局の建設に大きな影響はない

 5G基地局の建設については「10〜20%くらい(遅延の)影響がある」と宮川潤一副社長は説明するが、「もともと計画より50%上積みして発注している」ことから、「2020年度末までに約1万局は立ち上がると思う」とした。

 通信トラフィックに与える影響については、SoftBank AirやSoftBank 光などの固定回線は、テレワークが進んだことで「昼は倍になっている」と宮川氏。モバイル通信は固定ほどではないものの、「数10%増」とのこと。中でも「アップリンク(上りの通信)が想定以上に伸びており、50%以上の伸び」だという。

●コロナが収束してもショップの重要性は変わらない

 新型コロナウイルス感染症の影響については、ショップの営業時間を短縮したことで来店者が減り、新規契約は減少しているという。その一方で解約も減っているため、純増数という点ではバランスが取れているようだ。「端末が壊れたとか、どうしてもスマホに変えたいとか、『緊急の用事以外はショップに来ないで』と強い姿勢で告知している。ユーザーや店員の命を守ることに力を入れている」(宮内氏)

 ショップ運営の在り方が変わる局面を迎えており、「オンライン販売が増えていくことは間違いない」(宮内氏)としつつも、「まだスマホを自分で全部(使い)こなせる人は少ない。年配層もどんどんスマホ化していっている状況を見ると、代理店はもっとスマホを教える、使えるようにするという役割が大きいのでは」と話し、実店舗の必要性は変わらないことを示した。一方で榛葉氏は、オンラインショップが直販するだけでなく、来店前の確認事項を(Zoomなどを使って)ネットで行うようにするなど、新たな役割を持たせられる可能性に言及。「今回を機にブラッシュアップしていきたい」と述べた。

●新たな金融サービスがPayPayの収益化につながる

 スマホ決済サービス「PayPay」は、2020年4月にユーザー数が2800万を突破し、2019年度の決済回数は前年から17倍に及ぶ。5月9日には累計決済回数が10億回を突破した。加盟店は2019年度末に215万箇所に達した。2020年度は個人向けローン、ビジネスローン、あと払い、投資、保険といった金融サービスを強化する。ミニアプリから投資の疑似体験ができるサービスや、PayPay残高がなくても支払える「PayPayあと払い(一括のみ)」は、4月から提供している。

 PayPayではこれまで大規模なキャンペーンを中心に、ユーザーや加盟店獲得のための投資をしてきたが、これらの金融サービスは「PayPayを大きくしていく、収益化につながっていく重要なビジネスだと思っている」と宮内氏は説明する。

 ヤフーの広告出稿や旅行、飲食予約事業の利用が減少する一方で、Eコマースやヤフーサービスの利用が増加することで補えると判断。2020年度の売り上げ予想は、前年比で1%増の4兆9000億円、営業利益も1%増の9200億円を見込む。「小さすぎる感じもするが、新型コロナウイルスの影響を勘案して、固くきちっと増収増益を図っていきたい」(宮内氏)