大阪大学と兵庫県立大学による研究チームが2月に発表した「FibAR」は、3Dプリントした立体物に投影像を位置合わせする動的プロジェクションマッピング用ビジュアルマーカー(画像処理マーカー)だ。3Dプリントした対象にマーカーを埋め込むことで、映像が貼り付いているような追跡投影を可能にする。

 マーカーには、投影対象に埋め込む光ファイバーと、底面に設置する赤外線LEDを用いる。光ファイバーは投影対象内を張り巡るように何本も埋め込み、赤外線LEDも複数個設置する。

 投影対象の位置姿勢は、赤外線LEDから光ファイバー経由で導光させた赤外光の点滅を赤外線カメラで観測し計測する。点滅パターンが各マーカーのIDを表す。

 3Dプリンタは、透明素材を組み合わせて印刷可能なマルチマテリアル3Dプリンタを用いる。

 光ファイバーから発せられる赤外光を用いる利点は、カメラと投影対象との距離が大きく離れても観測可能なため、広い範囲での位置合わせができる点だ。

 一方で、光ファイバーを埋め込む空間的制限や、赤外線LEDを取り付ける個数制限がある。この制限を解決するため、最適な設置位置を自動的に計算するアルゴリズムを開発した。光ファイバー同士の重なりを回避しつつ、赤外光の減衰を可能な限り抑制する最適なマーカーおよび光ファイバーの配置を計算する。

※この記事は、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。