ソニーが8月4日に発表した2020年度第1四半期(20年4月〜6月)の連結決算は、売上高が1兆9689億1900万円(前年同期比2.2%増)、営業利益が2283億9500万円(同1.1%減)とほぼ横ばいだった。巣ごもり需要や新作タイトルのヒットでゲーム事業が業績に貢献した一方で、他事業は新型コロナの影響による業績不振が重荷となった。2021年3月期通期予想の純利益は前期比12.4%減の5100億円と見込んでいる。

●ゲームと金融事業が好調

 ゲーム事業は売上高が6061億900万円(前年比1486億4800万円増)、金融事業は4467億6000万円(1098億2500万円増)で好調だった。

 新型コロナの影響でプレイステーション 4(PS4)の生産に若干の遅れが生じたが、巣ごもり需要がPS4向けの新作タイトル「The Last of Us Part II」「Ghost of Tsushima」のヒットに重なるなど、ゲームソフトのダウンロード販売数が大きく増加。ゲームの有料会員サービス「プレイステーション プラス」(PS Plus)の会員数も6月末時点で4500万人まで拡大している。

 ゲーム制作に対する新型コロナの影響については、在宅勤務制度の導入や海外への渡航制限対策などを行うことで開発スケジュールに大きな問題は出ていないという。2020年末に発売する新型ゲーム機「プレイステーション 5」について、同社の十時裕樹副社長は「年末商戦に向けて順調に生産を続けている」としている。

 金融分野では傘下のソニー生命保険が4月から感染症予防のため対面での営業活動を停止していたが、6月には再開。新規顧客の獲得には苦戦しているが業績は回復し、前年同期比1098億円増の大幅成長を遂げた。運用コストの見直しで利益率を向上させたという。

●音楽、映画、エレクトロニクス、イメージセンサー事業は不調

 不調だったのは、音楽、映画、エレクトロニクス、イメージセンサーの分野。音楽事業は売上高が1771億1500万円(前年同期比251億3800万円減)、映画事業は1750億8900万円(同109億99万円減)、エレクトロニクス事業は3318億4600万円(同1520億6900万円減)、イメージセンサー事業は2061億8600万円(244億9200万円減)だった。

 音楽事業は、音楽ストリーミングサービスの成長とスマートフォン向けゲーム「ツイステッドワンダーランド」が好調ながら、新型コロナの影響でレコーディングやミュージックビデオの制作が遅れていることや、コンサートやイベントの延期、中止が相次いだことで収益が下落。十時副社長はツイステッドワンダーランドを取り上げて「今後の貢献が期待できる」と評価した。

 映画事業では、ビデオの販売やレンタルをのぞいて減収となった。映画館の閉鎖や入場制限により、完成した映画をリリースできない状態にある。ミュージックビデオと同様、人の移動制限で映画の撮影スケジュールにも大きな遅れが生じているという。映画館での上映が難しくなっている現状について、十時副社長は「業績への影響は2、3年に及ぶ」と厳しい見通しを示した。

 エレクトロニクス事業では、テレビ、オーディオ、ビデオカメラ、デジタルカメラ、モバイルなど全ての分野で減収となった。生産工場は現在、通常通り稼働しているが、新型コロナの影響で家電量販店などが閉鎖され、店頭での売り上げが大幅に減ったことが要因だという。

 イメージセンサー事業は、ハイエンドスマートフォン向けのイメージセンサーが新型コロナの打撃を受けた。スマホ市場が縮小していることに加え、ハイエンドスマホの購買層がローエンドスマホに移行している傾向があるという。

 十時副社長は会見で、「3年で起こると想定していた市場の縮小が1年で起こる」と危機感を示した。今後は投資を抑える他、「研究開発のテーマも選別や優先順位の見直しを行う」としている。

●米中の貿易摩擦については「コメントは差し控える」

 中国Huaweiを中心とした米中摩擦の影響について十時副社長は「特定の会社についてのコメントは差し控える」としながらも、「米中摩擦の影響はあるため、お客さまのベースの拡大、分散には引き続き注力したい」と話した。

 ソニーは2021年3月期の通期業績について、売上高が8兆3000億円、営業利益が6200億円、純利益は19年度より722億円減少して5100億円になると見込んでいる。