東京工業大学 小池研究室の研究チームが開発した「Actuated Club」は、VRとゴルフクラブ型デバイスを用い、理想のスイングに修正してくれるゴルフ練習補助システムだ。

 一般的にゴルフスイングにおける軌道とクラブの姿勢は、打球の方向と弾道に大きく影響する。ボールの打ち出し方向はフェイス角度(クラブ先端の角度)、曲がる方向はクラブ軌道が影響する。そのため正しいスイングだけを繰り返し練習すれば、体がスイングを覚え、打った打球の方向も弾道も理想的なものになると考えられる。

 Actuated Clubは、触覚フィードバックによるクラブの軌道修正と、VR空間における理想的なスイング軌道の視覚フィードバックを組み合わせて正しいスイングになるよう導く補助システムだ。

 このシステムは、ジャイロスコープを搭載したゴルフクラブ型デバイスと、VRヘッドマウントディスプレイ、VRゴルフコースで構成される。測定したクラブの軌道から理想の軌道を予測し、軌道修正のためのフォースフィードバックを与える。

 スイングの予測には、RNN(畳み込みニューラルネットワーク)を採用し、ユーザーの周囲に取り付けた8台のカメラによるモーションキャプチャーシステムからクラブの回転やボールとの距離など7つのスイング特性を取得し、使用する。

 6人から収集した600スイングのデータを使用し、モデルを事前に学習、対象者の最初の40スイングも加えてパーソナライズされたモデルを構築した。

 ユーザーがスイングを開始すると起動し、予測結果が理想的な軌道から外れると、適切なタイミングでトルクがヨー方向の回転(左右)を発生させ軌道と姿勢を修正するよう促す。

 ゴルフスイング中に介入するため強力なフォースフィードバックが必要となるが、自ら身体を動かしているという主体性を損なわせないために、振動や筋電気刺激などの強力な触覚ではなく、ジャイロ効果によるフィードバックでユーザーにこっそり教える。

※この記事は、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。