日本HPの「HP ProBook x360 435 G7」は、コンバーチブルタイプの13.3型2in1ノートPCだ。タブレットとしてもノートPCとしても利用でき、タッチ操作やアクティブペンでの操作にも対応する(アクティブペンはオプション)。

 ビジネスPCの作り込みに定評がある日本HPならではの丈夫なボディーやテレワーク向けの機能を備える他、APU(GPUを統合たCPU)にAMDの「Ryzen Mobile 4000シリーズ」(第3世代Ryzen Mobileプロセッサ)を採用することでコストパフォーマンスに優れる点も特徴だ。Ryzen 3 4300U(2.7G〜3.7GHz、4コア4スレッド)を搭載した最小構成は、Windows 10 Home(64bit版)をプリインストールして税別7万9800円(100台限定キャンペーン適用時)と手頃感もある。

 今回は、税別9万9800円(500台限定キャンペーン適用時)で販売されているRyzen 5 4500U(2.3G〜4GHz、6コア6スレッド)モデルをレビューしていく。

●丈夫さを兼ね備えたコンパクトでスリムなボディー

 ボディーのサイズは約308.5(幅)×222.9(奥行き)×17.9(厚さ)mmで、重量は約1.46kgとなる。液晶ディスプレイは360度の回転ヒンジを備えており、反対方向に折りたたんでタブレットとして使うこともできるし、テントのように立てかけた状態で使うことも可能だ。

 最近のモバイルノートPCとして考えると、やや重量はある。ズシリとした感触はあるが、剛性感や安定感は高い。液晶ディスプレイの開閉を繰り返してみたり、ベースボディー部分のみを持って持ち上げたりしても不安は感じない。開発段階では米軍の物資調達基準である「MIL-STD-810G」に準拠した耐久性テスト含め、2万時間にも及ぶ過酷なテストをなっているという頑丈さに対する“裏付け”もある。

 公称のバッテリー駆動時間は約14.9時間(JEITAバッテリ駆動時間測定法2.0)と長いのも特徴である。バッテリーレポートで見たバッテリーの設計容量は約44Whだった。モバイルノートPCとしては少し多めの容量だが、特別に大きいわけでもない。電力効率の良いRyzen 5 4500Uの搭載が、駆動時間の長さにつながっているのだろう。

●Zen2アーキテクチャの第3世代Ryzen Mobileプロセッサを搭載

 先述の通り、ProBook x360 435 G7は第3世代Ryzen Mobileプロセッサを搭載している。7nmプロセスの「Zen 2」アーキテクチャを採用することで、処理性能と電力効率の両面で第2世代Ryzen Mobileプロセッサからジャンプアップを果たしている。

 評価機が搭載するRyzen 5 4500Uは、第3世代Ryzen Mobileプロセッサとしては“中堅”に位置付けられる。それでも6コア6スレッド、最大クロック(周波数)は4GHzと、パワフルな仕様だ。モバイルノートPCとしては高水準のパフォーマンスが期待できる。

 グラフィックス機能(GPU)は、APUに統合された「Radeon Graphics」を利用する。こちらもIntelの一般的なCPU内蔵GPU(UHD Graphics)よりも性能が良い。

 評価機はメインメモリが16GB、ストレージは512GBのPCI Express接続SSD(NVMe対応)と、ビジネス向けには申し分ない容量を備えている。

●キーボードや液晶ディスプレイも好印象

 キーボードは6列アイソレーションタイプだ。キーピッチは公称で約18.7×18.7mmを確保し、変則的なサイズのキーも特にない。カーソルキーが独立して配置されるなど、使いやすい。キーストロークは公称で約1.5mmとなっているが、しっかりとしたタイプ感を得られる。

 13.3型液晶ディスプレイは光沢(グレア)仕上げで、画面解像度はフルHD(1920×1080ピクセル)となる。顔や光は映り込みやすいが、最大輝度が公称値で400ニトと十分にある上、ヒンジの角度も自由に変えられるため、視認性は確保されている。

 液晶の方式は公表されていないが、評価機を見る限り視野角は上下/左右どの方向でも広いため、IPS系の技術を採用していると思われる。

 エックスライトのカラーキャリブレーションセンサー「i1 Display Pro」を利用してディスプレイの色温度と輝度を計測した所、色温度は6633K、輝度は358ニト、色域は「sRGB」を100%(面積比では約103%)カバーしていた。本体価格を考えると、かなり優秀なディスプレイを搭載している。

 タッチパネルを搭載しており、タッチで直感的な操作ができる他、オプションとして2048段階の筆圧検知に対応した「HP Pro Pen」が用意されており、これを利用することも可能だ。

●充実した入出力ポート Wi-Fi 6にも対応

 通信機能は、Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)対応の無線LANと、Bluetooth 5.0を標準で装備する。

 ポート類は、左側面にUSB 3.0 Type-A端子を、右側面にmicroSDXCメモリーカードスロット、イヤフォン/マイクコンボジャック、HDMI出力端子、USB 3.0 Type-A端子とUSB 3.0 Type-C端子を備えている。USB Type-C端子はUSB Power Delivery(PD)による電源入力とDisplayPort Alternate Modeによる映像出力にも対応する。

 標準で付属するACアダプターは独自端子だが、USB PDに対応しているのでUSB PDに準拠するACアダプターやモバイルバッテリーも利用できる。

 画面の上部には、Webカメラとマイクを搭載している。マイクやスピーカーのノイズ除去機能も備えているので、追加投資なしでWeb会議やオンライン授業を快適にこなせる。カメラにはプライバシーシャッターも付いているため、使っていない時にありがちな盗撮への不安を解消できる。

 Webカメラには顔認証に対応した赤外線(IR)撮影ユニットも実装しており、Windows Helloを設定すれば画面に顔を向けるだけでログインできる。パームレストには指紋センサーも搭載している。

●ベンチマークテストで実力をチェック!

 ここからは、ProBook x360 435 G7のパフォーマンスをベンチマークテストを通してチェックしていこう。今回は、Ryzen 5 4500Uの上位APUであるRyzen 7 4700U(2G〜4.7GHz、8コア8スレッド)を搭載するASUS製2in1 PC「VivoBook Flip 14」、Core i5-8250U(1.6G〜3.4GHz、4コア8スレッド)を搭載したレノボのノートPC「ThinkPad T480s」のスコアも掲載する。

CINEBENCH R20

 まず「CINEBENCH R20」を使ってCPUの性能をチェックした。

 ProBook x360 435 G7のマルチスコアは「2298」だった。6コアCPUならではのスコアが出ている。そして、このスコアは4コア8スレッドのCore i5-8250Uの約1.9倍である。

 Ryzen 5とCore i5はミドルクラスのCPUだが、2年半前の製品からの大きな進化に驚くばかりである。

PCMark 10

 PCの総合性能をチェックする「PCMark 10」でも、やはり旧世代からの進化は顕著である。

 日常使いの快適さをチェックする「Essentials」、オフィスアプリのパフォーマンスを計測する「Productivity」、クリエイティブの性能を確認する「Digital Content Creation」と、全ての項目でProBook x360 435 G7のスコアはThinkPad T480sよりも大幅に向上している。

 バッテリー駆動時間をテストする「Modern Office Battery Life」では、13時間59分(ディスプレイ輝度50%)と公称値からわずかに少ないものの、十分な駆動時間をマークした。

3DMark/FF14ベンチマーク

 続いて、3Dグラフィックスの性能をチェックする「3DMark」を実行してみた。

 結果はCore i5-8250Uを搭載するThinkPad T480sを圧倒していることは当然として、上位APUであるRyzen 7 4700Uを搭載するVivoBook Flip 14をも上回っている。

 CINEBENCH R20の結果を見る限り、VivoBook Flip 14は順当なパフォーマンスを発揮していることから、放熱設計の違いでスコア差が生じることは考えにくい。ProBook x360 435 G7のベンチマークテストは、VivoBook Flipのテストから1カ月以上経過してから行ったことを踏まえると、グラフィックスドライバーなどの最適化や、CPUのパフォーマンス制御の違いなどが影響していると思われる。

 静音性も優秀な部類で、高負荷時でもあまり大きな音がしない。高負荷時にはキーボードの奥側が少し熱くなるものの、手が多く触れるパームレストは低く保たれていた。

 合わせて、実ゲームベースのベンチマークテストとして「FINAL FANTASY XIV:漆黒のヴィランズベンチマーク(FF14ベンチマーク)」も実行した。スコアの傾向は3DMarkの結果と同様で、CPUに統合されたGPUとしては良好だ。

 このテストの終了間際には、スマートフォンに接続して利用する赤外線カメラ「FLIR ONE」を使ってサーモグラフィーを撮影した。一番温度が上昇したのはキーボードの中央付近で、約43度となった。熱はキーボードやボディーを介してしっかり放熱されている印象だ。

●高い完成度とコストパフォーマンスを持つ2in1 PC

 ここまでHP ProBook x360 435 G7を検証してきたが、性能、機能、使い勝手、いずれも及第点以上で、欠点らしい欠点も見当たらない、とても良くできた製品だ。Ryzen 5 4500Uが持つ高いパフォーマンスと長時間のバッテリー駆動時間をしっかり両立している。

 sRGBの色域を100%カバーする400ニトの液晶ディスプレイ、充電と映像出力に対応するUSB Type-C端子、プライバシーシャッター付きの顔認証対応Webカメラ、指紋センサー、マイクのノイズ除去機能……とテレワークを始めとするさまざまな用途でスマートに使いこなすための装備もバッチリ備えている。タッチやペンでの操作もできるので、オンライン授業との相性も良いだろう。

 キャンペーンではあるが、9万9800円という価格を考えるとコストパフォーマンスは非常に高い。法人向けモデルではあるが、日本HPの直販サイト「HP Directplus」では個人でも購入できる。

 テレワーク環境を強化したい人、ワンランク上の体験ができる教育向けPCを探している人は、ぜひ検討してみてほしい。