「風土計」【岩手日報】

2017.8.6高校の修学旅行は東北新幹線が開業した年で、それまで京都止まりだった行き先が広島まで足を延ばせるようになった。京都の寺院などはすっかり忘れてしまったが、広島平和記念資料館だけは強く記憶に残っている▼原爆について初めて認識したのは、いつのことだったろう。小学生のころに週刊漫画誌に掲載されていた「はだしのゲン」によってだと思う。5年前に亡くなった中沢啓治さんの被爆体験を基にした作品だ▼図書館で愛蔵版全10巻をあらためて読み直した。自伝「はだしのゲンわたしの遺書」によると、残酷な場面の描写には当時の漫画家仲間から叱責(しっせき)を受けたこともあったというが、本人は「もっとリアルに描きたかった」のだという▼「本当のことを子供たちに見せなければ意味がない」という信念だ。過激な描写への教育的配慮から、かつては一部の学校で図書室から撤去されたこともあり議論を呼んだ▼描かれた朝鮮人の強制連行や天皇制批判など内容の一部については、「事実誤認で一方的」といった批判もある。ただ反戦、反核をこれだけ分かりやすく伝えた作品はなかろう▼今年も8月6日が巡ってきた。作者は「原爆は死ぬも地獄、生きるも地獄」と説いた。72年を経てもまだ悲しみや苦しみは癒えない。核開発に執着するどこかの国の指導者にこそ読ませたい。

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