人生100年時代に追いつかない生活者の心構え

(三矢 正浩:博報堂生活総合研究所・上席研究員)

 私の在籍している博報堂生活総合研究所は、1981年の設立から現在に至るまで、「生活者発想」に基づいて生活者の行動や意識、価値観とその変化をみつめ、さまざまな研究活動を行っています。

 前回に引き続き、世の中で生じている事象に対して、研究所に蓄積された研究成果やそれらに基づく独自の視点により考察を加えてまいります。読者の皆様にとって、発想や視野を広げるひとつのきっかけ・刺激となれば幸いです。

もはや「老後」はなくなった?

 最近さまざまなニュースや国の政策、企業の情報発信などを通じて「人生100年時代」という言葉を耳にする機会が多くなりました。この言葉が世に出たきっかけは、2016年に発売された書籍『LIFE SHIFT』(日本語版2016年10月発行、東洋経済新報社)。上述の「人生100年時代」をキーワードとして、これからの人生設計や生活のあり方について問うたもので、今でも根強く売れ続けている大ヒット書籍です。

 博報堂生活総研の「生活定点」では生活者のさまざまな意識や行動、価値観の変化について継続的に調査しています(首都圏・阪神圏の20〜69歳男女 約3000名に聴取、調査概要は記事末尾に記載)。そのなかで、「人生100年時代」というキーワードが広まったことが影響したのでは? と考えられるスコアの変化があります。

●「老後のことを考えた生活をしている」
 1992年33.3% → 2018年21.6%(過去最低)

 聴取をはじめた1992年から緩やかな低下傾向にはあるのですが、2016年から2018年にかけて、やや急なかたちでスコアを落としています。


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