(遠藤 業鏡:広島大学経済学部 客員准教授)

 大手上場企業の取締役に占める女性の比率(2016年時点)は、フランス37.0%、イタリア30.0%、ドイツ27.0%、英国27.0%、カナダ19.4%、米国16.4%に対して、日本は3.4%と極めて低い(ILOの2019年レポート)。

 2018年6月に改訂されたコーポレートガバナンス・コードの原則4-11は、「ジェンダーや国際性の面を含む」多様性と適正規模を両立させる形で取締役会が構成されるべきとの文言となり(括弧部分を追加)、女性取締役の登用を促す方針を示している。

 こうした背景もあって、近年では女性役員の選任を求める海外投資家の圧力も強くなっている。資産運用大手の米ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズは、取締役に女性がいない企業に対して経営トップの取締役選任議案に反対票を投じてきたが、2018年からはこの方針を日本企業にも適用している(「日経ESG」2019年5月号)。

 機関投資家に株主総会の議決権行使を助言する米グラスルイスは、TOPIX 100の企業に女性役員がいない場合、経営トップの取締役選任議案に反対票を投じることを推奨していたが、2020年以降はこの方針を東証第一部及び第二部の上場企業に広げることとしている。

「ガラスの天井」打破を目指した積極的な株主行動(株主アクティビズム)は一般に歓迎されているようである。しかし、女性のエンパワーメントを考える際には職階を分けて考えることは有用である。以下では、2018年の「アドミニストレイティブ・サイエンス・クォータリー」に掲載されたEunmi Mun助教授とJiwook Jung准教授の共著論文を題材として、このような外圧が働く女性にどのようなインパクトをもたらしたのか(もたらさなかったのか)を紹介したい。

海外投資家による「世直し」のインパクト

 上記論文は、資本市場における海外投資家のプレゼンスが高まったことで日本企業の取締役会構造に変化があったか、2001〜2009年のデータを用いて検証したものである。海外機関投資家の持株比率が1%上昇すると、女性取締役が選任される確率が3.3〜8.5%上昇するという結果を導き出している。