ここ数年で着実な成長を遂げているHR Tech市場。働き方改革への社会的な要請も高まる中、業界をリードする企業はどのような取り組みを行っているのだろうか。そして、様々なテクノロジーが発展を遂げる中、それらをどのような視点で活用すれば、成果に繋げることができるのだろうか。HRに関するリサーチ等を通じて社会課題の解決に取り組む、jinjer HR Tech総研 所長の松葉治朗氏に話を聞いた。

社会課題と技術発展が市場成長を後押し

―― まず初めに、jinjer HR Tech総研について教えてください。

松葉 治朗 氏(以下、松葉氏) jinjer HR Tech総研は、ネオキャリアグループが保有している様々な人事データを活用し、社会課題の解決を目指すために発足しました。特に、HRのデータを軸に、他のテクノロジーとの融合を図ることに注力しています。例えば、InsurTech(インシュアテック)やFinTech(フィンテック)といった分野ですね。

 2018年には、東京海上日動様との業務提携、慶應義塾大学大学院の岩本隆特任教授との産学連携にも取り組ませていただいています。弊社の力だけでは解決できない課題がたくさんあるので、様々な企業や大学と連携して解決を目指す。そういった活動を進めている組織です。

 ネオキャリアグループがHR Tech市場に参入した2014年頃は、市場規模が徐々に伸びつつある状況でした。一方で、アメリカのHR Tech市場では人事・勤怠・給与がオールインワンになっているSaaS型のプラットフォームが普及していました。

―― 国内のHR Tech市場が拡大を続ける背景について、どのように捉えていますか。

松葉氏 市場成長の背景には3つの要因があると思っています。まず、テクノロジーについては、クラウドサービスとスマートフォンの普及が大きく関係しています。クラウド型なのでサーバー費用なしでサービスを導入できたり、スマートフォンやタブレットで打刻できるようになったり、といった具合です。2つ目は、ビッグデータの存在。活用できるデータが増えた影響は大きいでしょう。3つ目が最大の要因で、政府による働き方改革の推進です。そこには、少子高齢化に伴う労働力人口の減少も関係していますが、ギグワーク・ギグエコノミーの広まりといった働き手の変化も影響していると思います。