新聞の凋落が叫ばれるようになって久しいが、業界の崩落スピードは年を追うごとに増しているようだ。

 日本新聞協会のデータによれば、2019年の発行部数は3781万1248部と2018年と比べて約5%減少した。5%を超える減少は2年連続で、10年前からは1200万部の下落である。

 デジタル版の会員数は除かれているが、2019年3月からの1年間で41万部(7.3%)を失った朝日新聞を筆頭に、大手5紙もABC部数を軒並み落としている。ABC部数には残紙(いわゆる押し紙)が含まれているため、実際に配達されている部数はさらに少ない。

 新聞社には不動産収入があるので「部数減=経営難」ではないが、新聞離れが止まらない状況なのは間違いない。ただ、それ以上に深刻な状況に陥っているのは末端の新聞販売店だ。2010年に1万9261店あった新聞販売店は2019年に1万5344店まで30%近く減少している(新聞協会経営業務部調べ)。

臨界点を超えた販売店の経営体力

 その要因は読者の新聞離れももちろんあるが、より経営に打撃を与えているのは主要な収益減だった折り込みチラシの長期的な落ち込みである。

 東京で複数の店舗を持つ新聞販売店に話を聞くと、ここ数年、読者が年5〜7%で減少しているのに対して、折り込みチラシによる広告収入は10%ほど下落しているという。部数が減少している販売店にとって、折り込みチラシは利益の源泉。それが右肩下がりで減少しているのだから経営的に痛い。

 しかも、そのような状況にもかかわらず、今回の新型コロナの影響で経済活動が縮小したのだから経営に対する打撃は深刻だ。販売店の苦境はいよいよ臨界点を超えた感がある。

 実際、新聞販売店の経営者が参加しているLINEのグループチャットには、断末魔の阿鼻叫喚がこだましている(以下、原文ママ)。

「最近毎日チラシが0から2枚 終わりましたね 5月も同じかと思われます」

「砂漠の中にいて オアシスも見えずに 喉がカラカラで声もでないいいい」

 このグループチャットには、高齢者向けサービスを手がけるMIKAWAYA21が新聞販売店向けに実施したアンケートがシェアされている。この中の3月の折り込み収入を聞いた質問を見ると、「ほぼ同じ」と回答した販売店はわずか1.6%で、30%以上のマイナスになったという販売店は65%に上った。緊急事態宣言が出た後の折り込み収入の減少を聞いた質問では、50%以上減少するという回答が90%を超えている。このままの状態が続けば、1〜3カ月で資金が枯渇すると答えた販売店も63%である。

 緊急事態宣言が解除されれば戻るという声も一部にはあるが、今回のコロナショックが起きる前から折り込みチラシは減少していた上に、この後、深刻な不況が到来するという指摘もある。折り込み収入が戻ると見るのは楽観的だろう。

「緊急事態宣言が終わった後、戻ってほしいという願望はあるが、実際に折り込みチラシが戻るとは思えない」(前出の販売店の経営者)

 頼みの綱だった新聞社からの支援も細っている。

 長期的な部数の減少や押し紙の負担について、新聞販売店はさまざまな名目で支払われる新聞社の報奨金で相殺している場合が少なくない。新聞販売店向けの奨励金も、部数獲得のための攻めの奨励金が多く、今のような右肩下がりの環境下では、攻めに出れば出るほど販売店の負担が増す。

 現に、コロナの影響で廃業を決めた販売店も出ている。