(岡村 進:経営コンサルタント、人財アジア代表取締役)

 私はこれまでのビジネス人生の中で、世界的な経済危機、金融危機というのは何度も経験してきた。そのたびに、世界の“変化”と、日本の“不変化”を感じて来た。

 日本に対する不変化という評価にひっかかりを持つ方がいても不思議ではない。例えば女性登用など年々明らかに進化している。しかし世界女性活躍度ランキングともいわれるジェンダー・ギャップ指数では120位台、しかも年々順位を落としている実情をご存知だろうか。変化は相対的なものだ。

 コロナショックを目の当たりにして以来、頭の中にたびたび思い浮かぶのは、ビル・ゲイツのある演説だ。

ビル・ゲイツの千里眼


 2015年、アメリカの非営利団体が運営するTEDカンファレンスに登壇したビルの演説は、いまもYouTubeで確認することができる。彼はこう演説した。

「子どものころ、私たちが一番恐れていた災害といえば、核戦争でした」

「しかしいま、1000万人以上の人々が、次の数十年で亡くなるような災害があるとすれば、それは戦争と言うよりは、むしろ感染性の高いウイルスの可能性がある。ミサイルではなく、微生物です」

「その理由の一つは、これまで私たちは核の抑制に巨額の費用をつぎ込みましたが、疫病の抑制システムの創出については、ほとんど何もやっていないからです。私たちは次の疫病の蔓延への準備ができていないのです」

 このビルの演説から5年。彼の“予言”通りに、世界は新型コロナウイルスの猛威に晒されている。ビルの慧眼に、巨大企業マイクロソフトを一代で創設した経営者の実力の深淵を垣間見る思いがする。