プロローグ/一匹の妖怪

「茨城県の風光明媚な地の沖合に海底油田があるかもしれない」

 こうした報道が7月下旬に流れました。「本当かな?」と思っていた矢先、民放テレビ局にて海底油田報道が放映され、日本は産油国になるかもしれないとの報道が続きました。

 テレビ報道では、油田・ガス田鉱区の調査開始から実際の生産まで30年間、約1兆円かかるという内容でした。

 その後この種の報道が相次ぎ、中東ドバイの例や南アメリカのガイアナ共和国などが紹介され、内容は視聴率アップの受けを狙い、次第にヒートアップしていきました。

 日本には油田・ガス田の探鉱・開発現場が(少数の例外を除き)存在しません。

 このため、油田・ガス田の探鉱・開発・生産・輸送分野は馴染みのない分野で、このテレビ報道ぶりでは、「日本は本当に大産油国になるかも?」と夢を持たれた視聴者もいるかもしれません。

「夢」をもつことは良いことです。しかしその「夢」が現実を無視した夢であれば、それは夢ではなく「夢想」にすぎません。

 最初は笑いながら見ていたのですが、今回のテレビ報道内容は日本国民をミスリードする内容をも含んでいます。

 報じるリポーターはもちろん悪気もなく伝えていたと思いますが、これでは「煽り運転」ならぬ「煽り報道」になりかねません。

 筆者はテレビ報道を観ていてこれは一言申した方がよいかもしれないなと思いました。

 油田・ガス田の探鉱・開発・生産・輸送とは具体的にどんな作業か、どのような問題点があるのか、テレビ報道内容のどこがおかしいのかを解説します。