(城郭・戦国史研究家:西股 総生)

 城が大好きな人たちは、テレビや本などに天守の画像が出てくると、松本城だとか、彦根城だとか、福山城だとか、すぐに当ててしまいますよね。でも、城をよく知らない人は、なかなか区別がつきません。

 城マニアたちは、どこで天守を見分けているのでしょう? 実は、天守の見分け方がわかると、天守そのものを理解することができます。そこで、皆さんにも簡単な見分けるポイントを、いくつか伝授しましょう。

ポイント1:天守のサイズ

 まず第一に、サイズの違いがありますよね。3階建てと5階建てでは、一見してサイズが違います。ただ、天守の場合、中二階があって、外見の屋根の数と実際の階数が食い違う場合もあります。

 そこで、外見の屋根の数を「重(じゅう)」または「層」、実際の階数を「階」として、「何重何階」のように表します。姫路城や松本城なら5重6階、彦根城は3重3階です。

ポイント2:壁の色

 第二に、いろいろな天守を見くらべてみると、壁が白っぽいものと、黒っぽいものがあることがわかります。白は、壁に塗った漆喰(しっくい)の色です。漆喰は、古い民家や土蔵などの壁にも使われていますね。一方の黒は、壁の上に下見板(したみいた)という板を張ったもの。板の表面を保護するために漆などの塗料を施して、黒くなるのです。

 では、漆喰の白壁と板張りの黒壁と、どういう違いがあるのかというと、実用上の差はほとんどありません。はっきりいって、車を買うときと同じ。ホワイトボディーにするか、ブラックボディーにするか、城主の好みの問題です。

 というのも、天守の壁は、本当は厚さが数十センチもある土壁なのです。これは、鉄砲を撃ち込まれても壊れないようにするためで、土壁の中には、強度を上げるため小石を混ぜる、という念の入れよう。まるで、戦艦や戦車の装甲板ですね。

 今度、本物の天守の中に入る機会があったら、窓の所に立ってみて下さい。壁の分厚さを実感できるはず。漆喰の白壁が下板張りの黒壁かというのは、表面仕上げの問題でしかないのです。

 しかも、ほとんどの場合、屋根は瓦葺き。実は、戦国時代以前には瓦は高級品で、大きな寺のお堂くらいにしか使われていませんでした。それを城に応用したのは、防火対策です。天守とは、当時の技術で可能な限り、耐火性と耐弾性を追求した建物だったのです。