(城郭・戦国史研究家:西股 総生)

城の原型は弥生時代の環濠集落

 今回から数回に分けて、日本の城の歴史についてお話ししましょう。

 日本における城の原型は、弥生時代に生まれた環濠集落です。環濠集落とは、文字どおり、まわりに濠(=堀)をめぐらせたムラです。弥生時代には、稲作農耕が広まるとともに、金属製の剣や鉾(ほこ)、大型の鏃(やじり)といった武器が使われるようになりました。こうした中で営まれるようになったのが、環濠集落です。これは、戦争の時代が始まったことを意味します。

 ではなぜ、弥生時代に戦争が始まったのかというと、理由ははっきりわかっていません。人類史的に見るなら、人と人とのケンカや殺人事件などは、武器や環濠が出現する以前からありました。でも、殺人やリンチは暴力ではありますが、戦争とは違います。

 戦争とは、人を殺傷する専用の道具=武器を使って、組織的に行使される暴力です。ここでは、われわれの祖先は弥生時代になってから、戦争という行動パターンを選ぶようになった、とだけ言っておきましょう。

 弥生時代にはムラどうしが戦いながら、次第に大きなまとまり=クニができてゆきました。やがて、古墳時代に入り4世紀頃になると、そうしたクニの中から大和政権が生まれて、全国に勢力を広げてゆくようになります。古代国家の誕生です。