人類の未来を揺るがすバナナの致命的な弱点

 すでにもう十分に驚かされる話だが、しかし問題はもっと広範かつ深刻なようだ。本書『世界からバナナがなくなるまえに: 食料危機に立ち向かう科学者たち』の著者によれば、問題が生じているのはバナナだけではない。「私たちが依存する他のほとんどの作物に関しても同じ問題が生じている」。そしてそれゆえに、わたしたちはいま、甚大な被害をもたらす危機に直面しつつあるというのである。どういうことだろうか。

危機的なのはバナナだけではない

 現在、世界各地の人々の食生活は、ごく少数の作物に依存している。欧米のコムギとトウモロコシ、アフリカのキャッサバ、そしてアジアのコメというように。その証拠に、植物性食物の場合、人類が消費しているカロリーはなんと80%がたったの12種から、そして90%がたったの15種から摂取されている。そのように、いまのわたしたちの食生活はかつてないほど多様性に乏しくなっているのだ。

 そして、その傾向に拍車をかけているのが、利益優先の大規模農業である。農業において利益を最優先するならば、大きな利益を生む作物と品種に生産が集中するのも当然の成り行きといえるだろう。現に、いまや多くの地域で、同じ作物の同じ品種が同じように栽培されている(そしてその結果として、わたしたちの食はそれらの作物品種にますます依存するようになっている)。

 しかし、まさにバナナのケースで見たように、農業がそのように画一化されると、栽培作物は天敵などに対してきわめて脆弱になってしまう。というのも、害虫にせよ病原体にせよ、その作物のどれかひとつでも攻撃できるものは、その作物すべてを殺しうる能力を持つからである。そういう意味で、上述の主要作物もじつはバナナと同じで、つねに壊滅的被害の危険性に脅かされているのだ。

 わたしたちの食生活がごく少数の作物に依存していること。しかも、それらの作物も壊滅的なダメージを受ける可能性が十分にあること――それこそが、本書で提起されている最大の問題である。そして著者は、その問題の深刻さを示すとともに、迫りつつある危機を回避するための方法を論じていくのである。

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