新聞テレビばかりか学術誌までフェイクニュースが席巻

 中沢新一氏の、当時のヒット作に「チベットのモーツァルト」という一書があります。

 実際にグルのもとで修業し「心滴」を1滴ずつ脳内にイメージしてそれが滴下する瞑想から意識が変性していく過程などを体験的に詳述した記載は、高校生の私たちにも十分ショッキングで、新しい才能の登場として喧伝されました。

 またこうしたフィールドに近接して、揺籃期にあったオウム真理教を中沢氏が推すような局面もあった。

 ともあれ、このような「内側からの視点」を含むリポート、さらには「学術業績」として提出された中沢氏の軽妙洒脱なエッセーなどは、物理や化学、数学などを専門とする理系の教授陣からは、およそ「学問」とは見なされず「小説」と映った。

 というのも、フィールドで内観を通して知ったドキュメントですから、客観的な証拠づけがなされていない。

 アンケートなど社会調査ならまだしも、自分自身がチベットで弟子入りして感じたことを、客観的な跡づけなしに記せば「それは小説かエッセーだ、学術ではない」という反論が出る、という構図になっているわけです。

 こちら側も、故・小出昭一郎先生を筆頭に、親しくご指導頂いた理系の先生方が、真剣にこれらを主張されるのを間近に見ていましたので、双方の言い分がよく分かりました。

 かつ、理学部物理学科の1学生であった私には調停の仕方など想像もつきませんでした。

 それから10年ほど経過して「アラン・ソーカル事件」として知られる、意図的な贋作論文投稿による問題提起があり、さらに20年が経過して、いままた同じようなことが問題になっている。

 つまり、およそ解決していない。問題の要諦はどこにあるのでしょうか?


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