遺伝子操作の双子誕生、誰も言わない問題の本質とは

 世界中を驚愕させた、中国での「ゲノム編集による子どもの誕生」のニュース。今回の出来事は、技術の進歩とともに直面するさまざまな問題を、早くも社会に突きつけることになった。ゲノム編集にはどのような可能性と問題点があるのか、そして今後の議論はどこに向かうのか。サイエンスライターの島田祥輔氏が2回にわたり解説する。(JBpress)

【前篇】「今こそ知っておきたい『ゲノム編集』の大きな可能性」(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/54910)

 11月26日、中国の南方科技大学の賀建奎(He Jiankui)氏が、「ゲノム編集」を施した受精卵から双子を誕生させることが成功した、というニュースが世界中を駆け巡った。

 ゲノム編集という技術の簡単な原理と、すでに研究が進んでいる応用例について前篇で紹介した。後篇となる本記事では、ヒト受精卵(または受精卵をつくるための精子と卵子)へのゲノム編集における技術的、医学的、倫理的観点から問題をまとめた。そして、今回の騒動の本質に迫りながら、今後のゲノム編集を巡るルール作りについて考えてみたい。

技術的問題――本当に狙った遺伝子「だけ」変わったのか

 ゲノム編集は決して「完成された技術」ではない。大きな問題は、狙った遺伝子以外の場所も書き換えてしまう「オフターゲット効果」だ。もし、別の遺伝子が書き換わったとしたら、新たな病気を引き起こす可能性がある。

 また、細胞が1個のときではゲノム編集が起きず、細胞が2個に分裂した後で、片方だけゲノム編集が起き、もう片方では起きないことも想定される。「モザイク」という現象で、最終的には、ゲノム編集された細胞とそうでない細胞が混ざった状態で体が構成される。どのような影響があるのか、ないのか、未知数だ。

 賀氏は、生まれた双子の細胞を調べたところ、オフターゲット効果は確認できなかったと主張したが、それを第三者が検証するためのデータが公開されていないことも問題である。モザイクについても、どの程度検証されたのか不明だ。


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