経産省は「ゾンビ救済ファンド」を手放さない

 世間を驚かせた産業革新投資機構の取締役9名の辞任劇。田中正明社長らが不信感を募らせた経済産業省に対する批判もあれば、辞任する経営陣たちの行動に首をかしげる向きもある。産業革新投資機構と経産省、両者の主張が対立しているが、なぜこんな事態に陥ったのか。金融界を長く取材してきた経済ジャーナリストの町田徹氏に、問題の根源を聞いた。(JBpress)

「官民ファンド」は血税と借金でバクチを打つようなもの

――産業革新投資機構(JIC)で、田中正明社長をはじめ取締役9名が辞任しました。原因については「経産省が一度は示した高額報酬の約束を反故にしたからだ」「いや、経産省の変心により、JIC設立の理念を貫くことが難しくなったからだ」などと様々な見方が出ていますが、町田さんはどう分析されていますか。

町田徹氏(以下、町田) まず言っておかなければならないことは、JICのような「官民ファンド」は、そもそもその存在からして好ましくないということです。

 日本の官民ファンドを、中東諸国やロシアのような資源大国の政府系ファンド「ソブリン・ウエルス・ファンド(SWF)」と同列に論じる人もいますが、これは大きな間違いです。

 SWFとは、クウェートやサウジアラビアのような石油や天然ガスで稼いだ莫大な資金を原資に、国の将来に備えて大事に運用しようというものです。

 それに対して、日本の官民ファンドが運用するのは公的資金、いわば血税です。産業革新投資機構も「官民ファンド」とはいいながら、出資金3000億円のほぼ100%が政府出資。さらにおよそ1兆8000億円は政府保証付きで民間から借金することができる建て付けになっています。つまり、国民の血税に、さらに民間からの借金をつぎ込んでバクチを張るみたいなもので、そもそもその存在自体、筋が悪すぎると言うべきでしょう。

――JICの前身である産業革新機構は、経営難に陥った企業の救済に使われたことで、批判を浴びていました。

町田 もともと運用能力もないのです。だから産業革新機構は、大手電機メーカーのディスプレイ部門を結集させたジャパンディスプレイの設立に深くかかわるなど、破たん寸前の問題企業の救済にせっせと注力してきた。他の官民ファンドだって、JAL救済に利用されたりと、「国策救済」のツールになってきたわけです。能力がないうえ、筋違いのことにおカネを流用するのですから、運用の結果が良好なはずはありません。


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