札幌の大爆発で死者が出なかった科学的根拠

札幌の飲食店で爆発、42人負傷 原因調査続く。写真は消防ヘリ。東京で(2017年1月6日撮影、本文とは関係ありません)。(c)Kazuhiro NOGI / AFP〔AFPBB News〕

 ジメチルエーテルが熱くなっているようです。

 札幌市豊平区で12月16日夜に発生した雑居ビル爆発火災事故、当初は「プロパンガス」が爆発か、などと見られていました。

 ところが、不動産仲介業者が「消臭スプレー缶」のガス抜きをしたのち、瞬間湯沸かし器で手を洗おうとして引火したのが実際に起きた爆発で、プロパンガスによる火災は2次災害だった詳細が報道されるに及び、にわかに「スプレー缶は怖い」といった論調の解説があふれ返っているようです。

 中には「ボイスチェンジャーのスプレー缶も怖い」といった芸能人コメントもありました。

 もっとも、アヒルのような声になるこのスプレー缶の中身はヘリウムで、およそ爆発とは縁遠いものです。

 適切な訂正などなされないままマスコミから混乱した情報が垂れ流される様子は、3.11以降、日本のマスコミが科学について何を学んだか(何も学ばなかった)様子を如実に示しています。

 筆者は化学に疎く、爆発や燃焼にも詳しくありませんが、かつて「ボイスチェンジャー」にも用いられるヘリウムを液化して作り出す極低温での、金属や半導体の電子物性研究に携わっていました。

 そうした熱学的な観点から、高校生にも分かる範囲に限定して、この事故を契機に日本社会に共有されて意味があると思われる、2つ3つのポイントを記してみたいと思います。

「ガスボンベ」に「ガス」は入っていない

 最初に違和感を持ったのは、ガスボンベなどの容器に入っているのが、必ずしも「ガス」ではないという基本的な事実がすっ飛ばされている点です。

 今回の爆発事故や、スプレー缶全般にまつわる事故に関連して、科学者然としたキャラクターを演じつつ、都市ガスなど配管された気体燃料とごっちゃの話をするケースもあり、これはいけないと思いました。

 そこでまず、今回の爆発直後に、事故原因と疑われた「プロパンガス」から話を始めてみましょう。


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