あなたがAIデバイド「下層」に入る日 

 IoTとしてイノベーションが期待されるあらゆる分野が、近未来的に蓄積データの爆発と直面することも、物事を考える大前提となっています。そこで、具体的な「データ」例に即して、以下考えてみます。

 日本でも「移民」にまつわる問題が現実的に議論されるようになりましたので、欧州で英国がEUから離脱する程度には社会問題となっている中東移民の例で考えてみます。

スマホなくして中東移民なし
生死を分けるデジタルデバイド

 シリアなどの中東紛争地域から欧州を目指した移民は、例外なくスマートホンを持っていました。

 なぜそんなことが言えるかというと、脱出ルートの検索から闇ブローカーへの各種支払いまで、スマホの確保した高いモビリティを持った人たちだけが、EUへの国境を超えることができたからです。

 親しい友人であるミュンヘン工科大学のクリストフ・リュトゲ教授は、2015年前後までスマートホンの通信履歴から中東移民の大域的な動きを解析するという大きな仕事を手がけました。

 もちろん、幼児や高齢者など、本人がスマートホンでアクセスできないケースはあり得ますが、脱出グループの中に1人もこの種の通信ややり取りができる人がいなかったら、数千キロにも及ぶ道のりを移動して欧州まで避難してくることなど、できるわけがありません。

 この例を挙げたのは、21世紀、特に2020年代に必ず押し寄せると思われる「AIデバイド」の2重構造を、極めてクリアに見せているからです。

2重構造とは何か?

 シリアなどの紛争地域にあって、空爆や襲撃の恐怖におののきながら避難したいと思う人は莫大な数に上ります。

 でも、その中で実際に欧州などに脱出できた人は限られた人数しかいません。

 難民化の原因は様々で、およそ簡単には論じられませんが、少なくとも脱出するには、一定の情報ネットワークにアクセスできる(人が、親族など身近に最低1人以上いる)ことが必要条件であるのは間違いありません。

 つまり、以前から言われている意味での「デジタルデバイド」の下層に入ってしまうと、戦地から逃げ出すことがそもそも困難であるという、極めて重く深刻な現実があります。


関連記事

おすすめ情報

JBpressの他の記事もみる
主要なニュースをもっと見る
社会のニュースをもっと見る
経済のニュースをもっと見る
政治のニュースをもっと見る
国際・科学のニュースをもっと見る
エンタメのニュースをもっと見る
スポーツのニュースをもっと見る
トレンドのニュースをもっと見る
生活術のニュースをもっと見る
地域のニュースをもっと見る

社会 アクセスランキング

ランキングの続きを見る

社会 新着ニュース

新着ニュース一覧へ

総合 アクセスランキング

ランキングの続きを見る

東京 新着ニュース

東京の新着ニュースをもっと見る

東京 コラム・街ネタ

東京のコラム・街ネタをもっと見る

特集

特集一覧を見る 動画一覧を見る

記事検索