舛添氏炎上発言の真意「道徳国家に芸術は開花せず」

 このような過剰な自粛の「空気」は、芸術や文化を窒息させてしまう。若い頃に留学したフランスは自由な国であり、それがパリを「芸術の都」にしている。

 しかし、実はそうなったのは20世紀になってからで、それまではキリスト教会の力が強く、聖書に書いてあることが教育の基本で、教育の自由はなかったと言っても良い。1870年に発足した第三共和政は、政教分離と世俗化を推進し、ついに1905年12月9日に「政教分離法(教会と国家の分離法)」が成立した。

 この法律によって、フランス国家の宗教的中立性・無宗教性が担保され、信教の自由も確立された。つまり、国家が教会から教育権を奪い取ったのである。国家は、非宗教性、世俗性、政教分離という「ライシテ」の三原則が貫徹することになり、教育も芸術も文化ものびのびと開花することになった。

「道徳国家」に芸術は開花しない

 日本は自由であってほしい。空気や雰囲気で特定の人やものを断罪する悪しき集団主義は、自由な個人の存在を抑圧する。日本は独裁国家や宗教国家ではない。タテマエでは基本的人権が守られた自由な国である。ところが、社会の実態を見ると、陰湿な形で芸術まで仕分けするようなことが行われている。つまり、タブーがあるのであり、それは芸術や文化を窒息させる。

 江戸の浮世絵は、ときの権力者の厳しい監視と検閲をすり抜けるために大変な苦労をしている。知恵の勝負であった。それが春画を含め、世界を驚嘆させる芸術作品を生み出したのである。

 私が「品行方正な芸人」に魅力を感じないのは、そのような芸人は権力にとっては利用しやすい存在だからだ。煮ても焼いても食えないような芸人は、権力者は怖くて使えない。だから、狂気の気配を感じる芸術が、私は好きなのである。

(舛添 要一)


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