令和2年度文部科学省補正予算(案)が発表された。GIGAスクール構想の加速による学びの保障への2292億円という大型予算、学校における感染症対策事業への137億円、学校等衛生環境改善(トイレ・給食施設等)への106億円といった比較的大型の予算も組まれている。

 ところが、国立大学における授業料減免(案)が4億円、私立大学等授業料減免等支援(案)が3億円でしかない。このコントラストには、唖然とするばかりである。

 国立大学の授業料減免の目的が、「新型コロナウイルスの感染拡大の影響によって、意欲のある学生が、経済的理由により修学を断念することがないよう、国立大学が行う授業料減免を支援する」となっており、私立大学授業料減免支援に関しては、「新型コロナウイルスの影響により家計が急変した家庭の学生に対して、授業料減免等を実施した大学等に対し、私立大学等経常費補助金により所要額の一部を補助(補助率1/2)」とある。

 国立と私立を合わせてわずか7億円である。これはあまりに少額であり、焼け石に水にすらならない。石はずっと焼け続けるであろう。ほとんどの学生にとって、この援助では役に立たない。

多くの学生はアルバイト収入なしでは生活できない

 国立大学の授業料は年間53万5000円、私立大学の学費は、文系で100万円を超え、理系で150万円を超えるのが普通である。

 そのため自宅生の比率が増え、私の学生時代には自宅か下宿かは通学に2時間かかるかどうかで決められたが、現在ではそれが2時間半になっている。

 今年度からはじまった高等教育無償化の対象となる世帯収入は、380万円であり、それは学生が高等教育を受ける機会をより広げたものの、十分ではないことは明らかである。私見によれば、せめて600万円にまで引き上げる必要がある。

 多くの学生は、決して贅沢な暮らしをしているわけではない。これは、学生と日常的に接触している私の偽らざる気持ちである。授業料は保護者に出してもらっているが、生活費は自分で稼いでいる学生は決して稀ではない。

 高校生の時から奨学金を借りており、大学卒業時には1000万円以上の借金を背負っている学生もいる。そういう学生は、たくさんのアルバイトを入れていたりする。たとえば、授業料を奨学金で支払い、生活費はアルバイトにより賄っているのである。貸与型の奨学金が大半を占める現在においては、そうして生活するしかなく、彼らには、卒業後、重い借金が課せられるのである。

 しかも、受験生人口が激減したため、私の学生時代だった1980年代とは違って、家庭教師や塾講師などのアルバイトで高賃金を得ることはきわめて難しい。学生のアルバイト先は、コンビニや飲食業が圧倒的に多い。そこに今回の新型コロナウイルスの蔓延で日本全国に緊急事態宣言が出されたために、学生のアルバイト先も急速に縮小しており、彼らが生活していくこと自体困難になっているのが現状である。