ようやく対中防衛策の第一歩を踏み出した防衛省

 しかしながら米軍当局や多くのシンクタンクなどでは、「どうせ中国の艦艇や航空機などは見せかけだけで、米海軍や米空軍と比較するにも及ばない代物に違いない」と考えられており、中国の海洋戦力が米海軍とその同盟軍にとって深刻な脅威になると分析していた「対中強硬派」の警告には、あまり耳を貸そうとはしなかった。

 何と言っても、その当時、アメリカの主敵はアルカイダなどのイスラム原理主義テロ集団であった。そのため、ワシントンDCの軍首脳や政府首脳それに政治家にとって、中国海洋戦力の脅威などは関心ごとではなかったのだ。

 そのような状況であったからこそ、太平洋沿岸のアメリカの同盟国や友好諸国の海軍が2年ごとにハワイを中心に集結して実施されている多国籍海軍合同演習「RIMPAC(リムパック)」に、仮想敵海軍である中国海軍を参加させることになってしまったのである。

(本コラム2013年7月18日「『中国封じ込め』にブレーキをかけるアメリカ海軍」参照)。当然「対中強硬派」は猛反発し、公の場で中国による対日攻撃「短期激烈戦争」の可能性まで公表するに至ったが、無駄であった(本コラム2014年2月27日「『中国軍が対日戦争準備』情報の真偽は?足並み揃わない最前線とペンタゴン」参照)

 しかし、リムパックでの中国海軍の行動や、南シナ海に人工島まで築いて軍事化を強化する動きなど、さすがのアメリカ国防当局や政府首脳も中国海洋戦力の強大化に危惧の念を抱き始めた。

(本コラム2014年7月24日「ホノルル沖に出現した招かれざる客、中国海軍のスパイ艦『北極星』」、2016年8月4日「リムパックで海上自衛隊を露骨に侮辱した中国海軍」、2016年9月26日「パールハーバー並みに大きかった中国の人工島基地」、2018年4月26日「米海軍提督の危惧『海洋戦力は次第に中国が優勢に』」)

 さらに2017年には東アジア海域で米海軍艦艇が続けて4件も衝突事故を起こし多数の死傷者を出すに至って、アメリカの海軍力は大丈夫なのか? という危惧が表面化してきた。それと連動するように、「対中強硬派」を煙たがっていた陣営も、中国海洋戦力の強大化が「張子の虎」などと言っていられない状況に至っていることをいよいよ受け入れざるをえなくなってきたのである。

(本コラム2018年5月31日「とうとうリムパックから閉め出された中国海軍」、2019年1月3日「そろそろ現実を直視せよ、米中の海軍戦力は逆転する」参照)


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