ようやく対中防衛策の第一歩を踏み出した防衛省

 しかし、そのような批判を口にする前に、2020年のオリンピック・パラリンピック終了時期における日中の戦力差を直視すべきである。その頃、日本の航空自衛隊の戦闘機保有数はF-35Aが20機ほど、F-2が87機、F-15J(近代化された機体)が102機、F-15J(近代化できない機体)が99機、合計308機である。それに対して中国軍は、空自の近代化できないF-15Jと同等以上の性能を有する戦闘機(戦闘攻撃機、戦闘爆撃機を含む)を空軍が少なくとも898機、海軍が少なくとも320機、合計1218機以上保有していることになる。

 現代戦では重要性が著しく高まっている無人航空機に関しては、中国軍と自衛隊では比較することすらできない状況だ。現代の国際標準では軍用無人航空機とは呼べないレベルの無人ヘリコプターしか保有していなかった自衛隊は、ようやく無人航空機の重要性に気がつき、アメリカから無人偵察機グローバルホークを3機調達することになった。これに対して中国では数百社にのぼるベンチャー企業が無人航空機の開発と売り込み競争を繰り広げており、中国軍は少なくとも6000機以上の無人偵察機と無人攻撃機を保有している。

 戦闘機や無人機だけではない。早期警戒機、電子戦機、空中給油機、爆撃機、それに潜水艦、攻撃原潜、航空母艦、“中国版イージス”駆逐艦、ミサイルフリゲート、高速ミサイル艇などが航空自衛隊や海上自衛隊の戦力を圧倒しているだけでなく、日本各地を灰燼に帰すことができる長距離巡航ミサイルと弾道ミサイルを6000発以上手にしているのだ。

 このような状態でも、スタンドオフASMの開発が「周辺諸国に脅威を与える」「攻撃的兵器」などと本気で口にすることができるのであろうか?

防衛省の方針はベストな方策の1つ

 すでに中国軍に大差をつけられてしまっている軍用機や軍艦の戦力を挽回し、逆転するにはかなりの年月と莫大な予算が必要だ。その間、中国海洋戦力の脅威に対抗するためにベストな方策の1つは、今回防衛省が打ち出したスタンドオフミサイルを身につける方針である。

 ただし、スタンドオフASMだけでは、戦闘攻撃機数がわずか87機と少ないために、不十分である。陸上自衛隊にもスタンドオフ地対艦ミサイルを装備させ、海上自衛隊にもスタンドオフ艦対艦ミサイルを装備させ、国防当局が打ち出したスタンドオフミサイル戦力を身につける方針をより徹底して実施していくことが急務といえよう。

(北村 淳)


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