対中国、「長篠の戦い」で勝つことを決めた米国

2 日米は、逆の道を辿って一体となる!?

 米国のASBは、海空軍の打撃力を中心として構想が発展していったものだが、陸軍・海兵隊がこの変化に背を向け彼ら自身の意識改革が上手くいかず、結果取り残されていた。

 まず、大きな変化を見せたのは米海軍であった。

 米海軍は、中国のA2/AD戦略に翻弄されるのではなく、中国が保有する対艦ミサイルの射程以上の長射程対艦ミサイルを多数装備化し、積極的に中国艦隊の撃滅、すなわち「船を沈める(潜水艦を含む)」ことを目標とした「Distributed Lethality(分散した態勢からの打撃)」に戦略を変えたが、その意味は大きかった。

 それを主導したのが太平洋軍司令官であったハリー・ハリス海軍大将である。

 彼は2017年5月、中国の侵攻を抑止するため陸軍が陸上自衛隊のように第1列島線に前方展開して縦深防御態勢を構築し、その態勢をもって米海軍作戦を強力に支援するため、「電磁波領域で優越を獲得するとともに中国海軍を撃滅すること」、すなわち「船を沈める」ことを強く要求した。

 そして、海軍演習であるリムパックで米陸軍が「船を沈める」ことを義務づけて、米陸軍の意識改革を強く迫ったのである。

 これら一連の流れに触発された米陸軍は、この2〜3年の間に地上発射型の対艦・対地ミサイルを第1列島線へ展開することの大きな意義について再認識した。

 これにより、今回のMPSでASBとの一体化に成功し、米海兵隊も「可及的速やかに長射程対艦ミサイルを要求する」として、「船を沈める」作戦に参画を表明した。

 ここに陸海空軍・海兵隊が一体化した対中マルチドメインバトル(MDB)(日本のクロスドメインの戦い方と同じもの)がいよいよ本格化することになった。

 このように米国、なかでもCSBAや米海軍大学などは、日本が迷走している間、逆に自衛隊の南西諸島防衛から地上発射型ミサイルの存在が海上作戦において死活的に重要な影響を及ぼすことを学び、米陸軍の強烈な反対に怯むことなく粘り強く意識改革を実施したのである。


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