大都市になった上海から「お払い箱」になった人たち

 上海の地下鉄車内での飲食を見なくなった。以前は、お菓子やドリンクは当たり前、ファストフードのチキンの臭いが車内に充満することも珍しくなかった。しかし、最近は地下鉄の中で飲み食いする人を、めっきり見かけなくなった。

 それにはいくつかの理由が考えられる。1つ目はスマホの普及だ。飲み食いする以上に乗客はスマホに夢中になっているということだ。

 2つ目は、中国政府によるマナー教育の効果である。

 上海の街の目まぐるしい変化には慣れてはいるものの、最近「上海ってこんな街だったっけ?」と首をかしげることが増えた。街のいたるところで共産党のスローガンを目にするようになったのだ。

 工事現場を囲う臨時の壁には必ずと言っていいほど「富強」「民主」「自由」「平等」「公正」「法治」といった、社会主義の核心的価値観といわれる漢字が並ぶ。地下鉄駅の通路の壁面に貼られているのも共産党のスローガンだ。以前なら商業広告で埋め尽くされていたが、今は違う。

 こうした大量のスローガンは、少しずつ中国人の意識や行動を変えているようだ。例えば「文明」(道徳的で礼節がある)という教育的スローガンがある。筆者が地下鉄に乗ったときの話だ。駅に到着して降りようとすると、筆者の前に立つ熟年の男性が「さあ、お先にどうぞ」と降りる順番を譲ってくれた。以前の中国では考えられない出来事だが、これも「文明」教育のおかげなのかもしれない。地下鉄の中で飲み食いする市民の姿が減ったのも、大量の教育スローガンの効果と無縁ではなさそうだ。


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